01c – 「キノグラフ」の特徴

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・2014年に公開された完全自作型のフィルム・デジタル化専用機
・開発・製作者はマシュー・エプラー(Mathew Epler)氏
・16ミリと35ミリに対応(8ミリは現在開発中)
・フィルムを横に寝かせた形で作業を行う
・アルミフレームとアクリルシート、3Dプリンタ由来のパーツでボディを組んでいる。水平垂直の微妙な調整を考慮し、本体の正面に顕微鏡を改造したカメラマウントを置き、デジタル一眼レフカメラを装着している
・駆動部分はArduinoを C++のオープン・フレイムワークスで動かしている
・製作費は本体1200ドル+カメラ2000ドル

作業手順としては:

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左から右へフィルムが一定の速度、間隔で送られていきます。

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本体正面に設置されたデジタル一眼レフカメラが自動撮影。その先にモニター代わりのパソコンが見えます。

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横倒しの形で撮影されます。

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フォルム送りの穴(パーフォレーション)とフレームの上下左右を自動検出しトリミングを行っていきます。

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実際にトリミングされた画像。

【感想】

2014年にオープンソースとして公開されたArduinoベースの完全自作機で、デザイン性と完成度の高さで知られています。

2007年に開発者マシュー氏が80本ほどの古いフィルムを見つけたことから始まったプロジェクトだそうです。現代テクノロジーを駆使してフィルムスキャナーを自作するとこの形になるのだろうと思います。画質も高く専門業者とほぼ遜色ない出来映え。

Vimeoにプロジェクト紹介の動画が投稿されていました。デジタル化した短いサンプル(1分53秒目から)を見ると、動画が小刻みに上下左右に揺れているのが分かります。先の写真にも「動画安定化機能はまだ作成中です(Note: image stabilization is still in development)」の註あり。

これはキノグラフだけでなく完全自作派のテレシネ機全般にいえる弱点です。緻密なプログラミングでフレームの上下左右をトリミングしていく訳ですが、それでも様々な要因が重なってコマごとに数ピクセル程度の誤差が出てしまうようです。小さなフィルムを拡大するとその誤差が拡大され、オリジナルフィルムにない「揺れ」が発生することになります。どうクリアするかが今後の課題かなと思われます。

キノグラフは公式HPを持ち、そのオンラインフォーラムはフィルムデジタル化に興味のある人たちの活発な意見交換の場となっています。