01d – 「シネ・トゥ・ヴィド」システムの特徴

フラットベッドスキャナーを使用して映画フィルムをデジタル化できる話は以前から知られていました。スキャナーの正規対応ではありませんので1)セッティングが難しく、2)スキャン後の画像処理に手間がかかり、3)画質の調整が難しいため一般化するには至っておりません。

フラットスキャナー型テレシネ機
CineToVid by Wolfgng Kurz

このジャンルで早くから研究を重ね、独自のプログラム「シネ・トゥ・ヴィド」「ムービーエクストラクター」等を生み出してきたのがドイツのウォルフガング・クルツ氏でした。

・エプソン社(V700/V750プロ/4990)やキャノン(9900F)のスキャナーを用い、フィルムリールをArduinoで動かして自動連続でスキャンを行う。モーターがフィルムを一定距離動かし、スキャン完了すると次に移っていく流れです。
・「シネ・トゥ・ヴィド」は8ミリ/9.5ミリ/16ミリ対応、「ムービーエクストラクター」は35ミリ専用。
・「シネ・トゥ・ヴィド」は幾つかのヴァージョンあり。 »Suite »はJavaで開発されたシステムで8ミリのみ対応。後継の »Pro »は.NET Frameworkで開発されたものです。
・操作はUSB接続されたパソコン上から行う。「シネ・ストリップ・スキャナー」を使用し、セッティングからスキャン、画像の抽出までを一元管理する。
・電源はパソコンからUSB経由で供給された12V。
・解像度の下限は16ミリで2400dpi、8ミリで3200dpi
・音声は別プログラムで録音作業を行い後に合成する
・「S8トゥ・アヴィ」の名で公開されていたシステムの発展形。8ミリデジタル化が母体となった企画でした。
・2019年5月にヴァージョン3.1修正版を公開。
・フラットベッドスキャナーを使用しない後継機「シネフレーム・キャッチャー」を2019年4月に公開。
・サーバーの閉鎖に伴い、2019年に公式HPが閉鎖された模様

シネフィルム・キャッチャー
CineFrameCatcher by Wolfgang Kurz (2019)

【感想】

「シネ・トゥ・ヴィド」でデジタル化された8ミリのサンプル動画より。1973年ベニスで撮影されたスーパー8(撮影カメラ:バウアーC2B、使用フィルム:コダクロームII)の一部です。

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コダクロームらしい鮮やかな発色ですよね。

「シネ・トゥ・ヴィド」は中古スキャナー、Arduino、ステッピングモーター+ドライバに自作パーツを組みあわせたもので、他の自作テレシネ機に比べると相対的に導入コストを低く抑えることができます。

動作するための要件の縛りがきつく、発案者のクルツ氏と同じ環境を持っていないと完全には動作しないのが難点。

また画質がスキャン時のフィルムの置き方に左右されやすく、僅かでもフィルムが浮いた状態(あるいはフィルムが歪んでいる状態)でスキャンされると微小な歪みやピンボケが発生し、完成動画に「揺れ」が出ます。構造上、スキャナーの被写体深度は非常に浅く設定されているという話なのだと思います。後継機の「シネフレーム・キャッチャー」は固定カメラでの撮影となっており、クルツ氏自身も最終的にスキャナーから離れていった感じです。

【参照リンク】
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