04a – ラズパイカメラの選択と「口径蝕」

Raspberry Pi用の公式カメラモジュールは2013年に初代、2016年4月に第二代(以下「V2」)が発売されました。前者は画素数が500万画素、後者は800万画素となっています(英語のスペック対応表はこちら)。画素数が増え、センサーはソニー製にアップデート、解像度も上がっていますので選ぶならV2一択の気がします。ところが実際にテレシネで使用されているユーザーの意見はそうでもないのです。

私的な経験から言わせてもらうなら(どうも私一人ではないようですが)オリジナル以外のレンズをマウントした際にシアン色の口径蝕が出てしまいます。

My experience (which seems common) was that with anything but the stock lens, I saw odd cyan vignetting in the corners.

ラズパイ・フィルム・キャプチャーを設計したジョー・ハーマンさんがこんな話をしていました。同じ指摘がフランスからも。

V2カメラをオリジナル以外のレンズで使用する際、キャリブレーションでの修正が絶対に必要です。さもないと円を中心として周りに酷い歪みが発生してしまいます。

la camera V2 avec un objectif différent de celui d’origine nécéssite absolument de calibrer l’objectif. Sinon l’image est catastophique avec un disque très visble au centre.(source)

ジョー・ハーマンさんが書いていた口径蝕(vignetting)は日本では一般的に「ケラレ」と呼ばれている現象です。ただ、ケラレが「光量」の話なのに対しV2カメラでは「色調」の劣化である点が異なっています。

V2カメラ(互換カメラモジュールですがイメージセンサは本家と同じソニーのIMX219PQを使用)で撮影した画像を見てみます。オリジナルレンズを外し、国産50mmレンズをマウントして古い白黒写真を接写したのが下になります。

ラズパイカメラ(レンズ変更・設定無し)
設定なし
Histogram01
ヒストグラム

ラズパイカメラ(レンズ変更・白黒)
白黒(彩度「sa」を-100に設定)
Histogram02
ヒストグラム

一枚目:設定なし。画面の中心を取り囲むように元写真になかった赤みが発生しています。
二枚目:彩度「sa」をマイナス-100に設定、上と同じ構図で白黒撮影してみました。

下の画像を見ると光量低減は発生しておらず歪みも出ていません。IMX219PQセンサ+非オリジナルレンズでは色調(赤チャンネル)の異常が起こっているのです。ヒストグラムからはフィルターが上手くかからず赤が残ってしまっている、と見えます。カラーフィルムをテレシネする際に色合いは重要ですので確かにキャリブレーション(センサーのパラメーターを推測し修正する作業)が必要となってきます。

今回は基本白黒フィルムを前提としているため、ひとまず問題を棚上げして進めていくことができそうです。それでも外部レンズを使用する場合、必ずしもV2カメラがベターな選択とは限らない、と頭の片隅に置いておく方が良さそうです。