パテベビー映写機・解体新書 補足1)ノッチ機構の仕組みを理解する

「ノッチ(notched)」の言葉はこの数年スマホ関連で目にする機会が多くなりました。画面の一部にカメラが組みこまれているためその部分が「くびれている」デザインを指しています。ただそれは最近の話で、それ以前に「ノッチ」という単語を頻繁に使っていたのがパテベビー映写機のユーザーでした。

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9.5ミリ小型映画の「ノッチ」はフィルム脇に入ったくびれの部分です。パテベビー映写機は映写中にこのくびれを認識する機能を備えていて、ノッチの2コマ後の画像(サンプルで言うと字幕部分)で一定時間停止する仕組みになっていました。

字幕でコマ数をとられないようするための工夫でしたが、一般化するまでには至らず1930年代初頭には使われなくなっていきます。逆に20年代に市販されていたフィルムを見ようとした時にノッチを「読める」映写機を使わないと字幕が正しく再生されません。


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パテベビー映写機では、背面部にノッチを「読む」仕組みが組みこまれています(写真の黄丸)。映写機の組み立てで説明したようにこの部分にはバネが噛ませてあります。フィルムが普通に流れている間はこのパーツが左側(赤矢印)に押されています。ノッチの部分が来るとフィルム幅が狭いため、金具が右側(緑矢印)に押し出され「一時停止」の機能が発動します。

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フィルムが通常に流れている状態では赤い方向に力が働いています。内部ではテコの原理で金具の先端が横長のアームを「ロック」して手前に引き留めています。

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ノッチの部分が来ると金具が緑方向に押し出されます。この時にロックが外れ、中央のパーツ全体が上(1枚目青矢印)に押し出されます。この時テコの原理で金具の先端が手前に押しこまれ(2枚目赤矢印)、ハンドクランクにつながった金色のギアと噛みあいます。

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これを別角度から見てみると、ロックが外れている間は青方向に力がかかっています。シャッター羽根と連動した「おにぎり型のギア」も同時に青方向=映写機正面側に引っ張られており、そのためフィルム送りの爪が機械の外に飛び出ない(=フィルムを送らない)状態になります。ハンドルを幾ら回しても空転し「一時停止」となる訳です。

しかしどこかで停止状態を切る必要があります。

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ハンドクランクを回していると、ロックの外れたパーツの先端はギアの切り込みに沿って次第に左に移動していきます。

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これが左端まで行きつくとそこで留め金となっていた部分が切れて先端が跳ねあがります。この時バネで右側へ向かう力(1枚目水色矢印)が働き、金具の先端が緑方向に戻っていきます。同時にテコの原理でピンクの方向に金具が動き、再度「ロック」されます(2枚目ピンクの丸)。

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ロックが再びかかった状態です。このポジションだと「おにぎり型のギア」が映写機背面側に引っ張られているので、フィルム送りの爪が機械の外に飛び出します。一時停止は解除されフィルムが再び送られ始めるのです。