このページではパテベビー映写機のレンズの外し方、分解の仕方を説明していきます。
同映写機にはレンズの位置制御のパターンが二通りあります。つまみを回転しギアで移動させていくパターン(左)と、テコの原理を使ってレンズを前後にスライドさせるパターン(右)です。どちらもマイナスネジ一つで留まっているだけで、このネジを外すことでレンズと支えを外すことが出来ます。
スライドタイプも上の写真のように簡単に外すことが出来ます。
このレンズの正面にはギザギザになった輪の部分があります。ここを指で軽く押しつけるようにして反時計回りに回すと固定用のリングが外れてきます。
リングを外した状態(上)と前玉を外した状態(下)。前玉の下には樹脂の支えがあって、それを引き抜くと最後に後玉を取り外すことが出来ます。
二群三枚のレンズ構成です。後は必要に応じてレンズの清掃を行い、綺麗になったら手順を逆にしてレンズを戻していきます。
清掃を終えて元に戻したところ。小型ながら質の良いレンズです。
パテベビー映写機もオプションとして焦点距離の異なる複数のレンズが用意されていました。1932年の定価表では1ページ目に3パターンのレンズを備えた映写機が掲載されています。
・パテベビー映写機:パテベビー特製短焦点レンズ付き … 595旧フラン
・パテベビー映写機:エルマジ社(Hermagis)製レンズ付き … 610旧フラン
・パテベビー映写機:パテクソール・クラウス(Pathéxor Krauss)レンズ付き … 630旧フラン
次ページにレンズ単独の定価も掲載されています(それぞれ20、35、55旧フラン)。パテクソール・クラウスのレンズが最上位として扱われていたのです。
左がスタンダードタイプで右がパテクソール。スタンダードタイプは指でリングを外すことができましたがパテクソールはリングが奥まった場所にあってカニメが必要です。
5年前に2つのレンズの違いを比べてみたことがあります。映写機から等距離(75センチ)にスクリーンに置いた場合、パテクソール・クラウスの方が大きく映ります。ただし光量が同じだと解像度はスタンダードの方が上でした。ランプ部を改良し、ワット数を上げてパテクソール・クラウスを使うと大画面かつ高解像度で見ることができる、が5年前の結論でした。