パテベビー映写機・解体新書 補足3)鉤爪によるフィルム送りの仕組み

補足1)のノッチ機構の説明で見たように、パテベビー映写機ではフィルム送りのパーツがロックされている間は爪が出てきてフィルムを移動させ、ロックが解除されると爪が出ずに空転する仕組みになっていました。

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ゲージの外に出た状態でフィルムを送っている爪
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ゲージの内側に隠れた状態で空転している爪

この一対の爪は単なる上下運動をしているのではなく、楕円を描くように動いています。

パテベビー映写機の複雑なフィルム送りを可能にしているのがパーツの項目で紹介した「おにぎり型」のギアです。このギアの膨らみは、上下にスライド可能な四角い枠に収まるようになっています。

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おにぎり型のギアが回転しながら爪のついたフレームを上下運動させている様子

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非常に雑なイメージですが、中心のずれたおにぎり型が回転しているとその縁に当たっている部分が上下する論理になっています。

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このおにぎり型ギアは段差のある薄い金属板に囲まれる形になっています。左の写真のように段差の高い所ではスプリングが効いていて爪が上に戻ろうとする(隠れる方向)動きとなり、右のように段差の低い部分では爪を下に押しこんで映写機の外に出そうとします。

おにぎり型のギアによる上下動、段差による前後移動を組みあわせることでフィルムを送る楕円運動が生み出されてくる訳です。このパーツの扱いには注意が必要で、無理に力をかけて段差や形が歪んでしまうとフィルム送りが正確に出来なくなってしまいます。

もっと単純な仕組み(円いギアに等間隔の突起をつけてフィルムを送るなど)を考えることは出来ると思います。しかしその場合は仕組みがやや大きくなります。パテベビー映写機の内部はシャッター羽根とノッチ機構ですでに手狭となっているため、薄いパーツを背面に寄せて動かすのは省スペースの点から理にかなっていると言えます。