池田 富保/尾上 松三郎 [Ikeda Tomiyasu ]

日本・男優より

池田富保 直筆サインカード
Ikeda Tomiyasu Autographed Card

レヴェルを一歩高めた處において、扨「尊王攘夷」を製作した池田富保氏は未完成の人である。之からの人である。幾つかの大作は要するに氏にとつてのレツスンであつて氏の持つ才分は決してあの程度で止まる筈ではない。他の監督者が求めない、若くは求めて得られない、或別種の大物のみを覘つてゆく氏の意圖の雄大さ、氣魄の廣さは、敢て從来の未完成映畫を踏台として、將来に伸びてゆくに相違ない。一人の池田氏ある事によつて、日本にも何時の日かは必ず「カビリア」や「戰争か平和か」の如き巨大篇の出現が豫期出來さうである。只管に自重研儹を望みたい。

『日本映画年鑑 昭和二年昭和三年 第四年版』
(朝日出版社、1928年4月)

1892年、兵庫県に生まれる。本名は池田民治。父が中村駒次郎という芸名の旅役者であったことから、5歳の頃から舞台に立ち、未だ映画界入りする以前の尾上松之助の一座にも出演したことがあり、松之助には可愛いがられていたという。

1919年に尾上松之助の紹介で日活俳優部に入社。はじめは、中村喜当を名乗り、のち尾上松三郎となる。撮影の合間に書いた脚本が松之助に認められ、松之助が撮影所長になったことから、松三郎も監督部に転向。池田富保を名乗る。

1924年の『渡し守と武士』を第一回監督作品に、尾上松之助を主演とする松之助映画の監督として活躍し、『燃ゆる渦巻』『落花の舞』等を製作する。この後、『荒木又右衛門』『忠臣蔵』などで演出の才能を認められ、松之助の死後は日活時代劇の主席監督を務め、日活の春秋二季の大作時代劇の監督という重責を担った。代表作に『大久保彦左衛門』『水戸黄門』『尊王攘夷』『地雷火組』『維新の京洛』『修羅城』など数多くの大作がある。

尾上松之助の妹・キクノと結婚していた時期がある。戦後も日活、大映、新東宝で1953年まで監督作品を残す。1968年9月24日死去。

『日本無声映画大全』
(2000年、マツダ映画社監修)


[JMDb]
池田富保

[IMDb]
Tomiyasu Ikeda

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