2017年4月30日、京都市の北西に位置する吟松寺を訪れ、柳さく子地蔵のお参りをしてきました。
GW中だったため朝早くでも金閣寺の周辺は賑わっていました。それでも混雑を抜け、寺脇の道を北上していくと人だかりは消え、静かな住宅地となっています。たまにすれ違う地元の人がこんな一角まで何をしに来ているのだろうの訝し気な顔をしていました。
川のせせらぎの音が聞こえてきます。木立の影にきらめいている紙屋川を左手に進んでいくと次第に道が細くなり、やがて苔むした石垣とお寺が見えてきます。
京の紅葉の裏名所として知られている浄土宗のお寺です。この季節には訪れる人もいないようでした。
墓地の奥に柳さく子地蔵がありました。1920年代半ばに松竹でトップクラスの人気を誇った女優さんが、身よりもなくひっそりと亡くなり、危うく無縁仏となりかけたところを旧友の武井龍三氏に救われこのお寺へと流れ着いたものです。
2年前に一度訪れた際、手ぶらではあれなのでと古い舶来のネックレスを持参しました。今回訪れた時、雨風にさらされた首飾りは鈍く錆びついていて辺りの風景に馴染んでいました。
10年以上京都に住んでいたのでお気に入りの場所はたくさんあるのですが、今一番落ち着くのはこの一角かなという気もします。焚かれた線香が頭を垂れている中、持ってきた古銭と絵銭を土産代わりに置くと最後にもう一度手を合わし、吟松寺を後にしました。