千種百合子 [Chigusa Yuriko]

東亞キネマサイン帖より

本名岡村久子、東京堀越女學校二ヶ年修業後横濱フイリスト女學校卒業。伊太利人ローシーに就き歌劇の指導を受け國活撮影所、松竹を經て東亞キネマに入り現在に至る。主なる主演映畫は「黄金の彈丸」「蜘蛛の巣」「男女男」「泣くな人々」「運命を盗む」「草笛」「愛の讃歌」「田舎醫者」「善玉惡玉」「旅人の告白」「戀愛二重奏」「女王蜂」「惡女房」「新生の聲」「港の人」「興國の宣言」「放蕩息子」等。身長五尺一寸、體重十三貫二百匁。趣味はマンドリン、人形蒐集。嗜好物はお菓子、西洋料理。現住所は京都市上京區等持院南町三十八番地。

『日本映畫俳優名鑑』（1928年7月、映畫世界社）

若くして歌劇を志し、ローヤル館で歌劇女優デビュー。同館が解散後観音劇場、金龍に出演。映画界に転職し、國活～日活～東亜キネマへと転籍、神戸にあった甲陽スタジオの現代劇に出演、20年代後半に同社人気女優の一人となります。この中で1927年の探偵物『黄金の弾丸』が現存。神戸をロケ地にしているため地方史的な価値も高く、現在でも時折サイレント映画の企画で上映されています。

また、昭和初期に美容整形術の先駆者として活躍した内田孝蔵氏による『整形のいろいろ』（1930年初版）に登場、「目尻切開と眼下の脂肪除去」を行った患者さんとして「手術前／手術後」の写真が掲載されています。

[JMDb]
千種百合子

[IMDb]
Yuriko Chigusa