「戦前・戦中 髙島栄一・康彰氏旧蔵の葉書群」より

マキノ御室映畫部の幹部花形としてメキメキ賣り出した彼は有らゆる映畫に新進振りを發揮してフアンを喜ばせてゐる。最近製作の映畫では『愛しき彼』(都賀靜子、水谷蘭子共演)『靑春を掏摸取られた話』(湊明子、高山久共演)『光線を捕へた男』(マキノ正博、室町湊、津村共演)等の傑作がある。
『玉麗佳集』(1928年)
凸面兒杉狂兒、賣つたるもの哉である。マキノのみならず、本邦映畫界に絶好の三枚目、特色著るしいのが何よりの德、華やかな明るさは微塵もないが、世紀末的なあの哀愁感は、さうザラに見いだせるものではない。バイプレアー中名ある所以である。「學生五人男」「影武者」「闘爭曲線」「四谷怪談」そして「假名手本忠臣蔵」の伴内と新舊を問はざる奮闘は凝つて支那劇「愛しき彼」の主演となり本年掉尾に聲價一人昂つたのは彼にとつて最も朗らかなる自慢でなくてはなるまい。
『日本映画年鑑 昭和二年昭和三年 第四年版』
(朝日出版社、1928年4月)
1930年代のコミックソングを通じて名を上げ現在でも昭和歌謡の愛好家から評価の高い杉狂児。こちらは1928年、マキノ御室を離れ河合映画に移った直後の暑中見舞いハガキです。
印刷ながら定型文ではなく、自前の文章にそこはかとなく自虐臭を漂わせ、持ち味のアナーキーさに相反した繊細さ、生真面目さも透けています。
[JMDB]
p0209230
[IMDB]
nm0837475
[Movie Walker]
杉狂児 (スギキョウジ)
[誕生日]
7月8日
[出身]
日本(福岡)
[サイズ]
9.1 × 14.0cm
[データ]
髙島栄一氏宛、昭和3年8月9日巣鴨の消印有。