「フランス [France]」より

やはりルイ・フイヤード活劇の常連で、『ジュデックス』でルネ・クレステの弟役を演じていたエドゥアール・マテが残した直筆書簡。ファルコネッティの手紙と同様、パリの大物興行師だったイゾラ兄弟が保管していたコレクションの一部となります。
「日曜に記す
劇場支配人さま。
今晩上演されるオペラ作品『ミニョン』の座席を二つ御手配いただくこと可能でしょうか。知人の歌手エドメ・ファヴァールの晴れのデビューに立ち会いたいと思っております。
誠にお世話になります。オペラ=コミック座には午後6時前後に着けるかと思います。
何卒よろしくお願いいたします。
エドゥアール・マテ」
当時オペラ=コミック座の支配人をしていたイゾラ兄弟に同劇場のチケットを所望しています。「知人」として紹介されているエドメ・ファヴァールは女性ソプラノ歌手で、オペラ=コミック座での初主役となった『ミニョン』が1915~25年まで10年に及ぶロングランを記録しています。「晴れのデビュー」とありますので大戦中の1915年ごろの手紙でしょうか。

マテが当時、映画俳優業の他に何をしていたのか全く知られていません。交友関係が伺い取れるだけでなく、パリでイゾラ兄弟と契約を結んでいたことも分かる資料です。
“Ce dimanche
Nos chers directeurs,
Voudriez-vous m’octroyer amicalement deux places pour ce soir “Mignon” afin que je puisse assister aux heureux débuts de mon [illisible] amie et interprète E[dmée]. Favart?
Je vous en serai infiniment reconnaissant et pourrai vers 6h à l’Op[éra]. comique.
Veuillez agréer, nos chers directeurs, l’expression de nos sentiments les plus dévoués et de nos sincère remerciement,
Edouard Mathé”