「フランス [France]」より
1928年公開『裁かるるジャンヌ』で主演を務めたファルコネッティの書簡。2015年末に仏イーベイで戦前の興行師イゾラ兄弟の旧蔵品が出品された際に入手した一枚。同兄弟はオランピア劇場やサラ・ベルナール劇場の支配人で、役者から監督、作曲家や作家まで広大な人脈を築き上げていた大物でした。
レターヘッドを備えた水色の便箋の表裏にメッセージが書かれており、内容は次のようになっています。
「ペローネ様
御心配は無用です。
契約の解除を同意・確認した旨、イゾラ様宛の手紙にしたためて
投函させていただきました。
今晩、遅くても明日朝までには受け取りになられるのではと思います。
良い思い出になりました、御安心くださいませ。
ファルコネッティ」
“Cher Monsieur Perronnet,
Ne vous-inquietez pas. La
lettre pour Messieurs Isola
dans laquelle je confirme
notre accord de rompre
mon engagement est postée
par la
poste, et vous la recevrez
ce soir ou demain matin
au plus tard.
Soyez assuré, je vous
prie, cher Monsierur,
de mon meilleur souvenir.
Falconetti”
モーリス・ペローネは当時サラ・ベルナール劇場のマネージャーを担当していた人物です。存命中のサラとは家族ぐるみでの親交があり、ペローネ氏の洗礼時に代母(marraine)となったのがサラでした。また画家としての才能もあり、サラの肖像画を多く残しています。
ファルコネッティは1927年に同劇場と契約を結ぶのですが、『裁かるるジャンヌ』の撮影がずれこんだため一旦同年に役を降りた記録があります。手紙で触れられた「契約の解除」はその一件を指しているのではと推察されます。