「フィア・エーマンス旧蔵サインコレクション」より

2017年8月から9月にかけて、リガ映画博物館で無声映画期の女優、マリア・レイコの回顧展が開催されていました。自国ラトビアでもほぼ忘れ去られていた女優だったため、この企画で初めて名前を知った人も多かったようです。

(フリッツ・メンデル氏旧蔵スクラップ帖より)
1900年代末にドイツへと移り、演劇の下積みを重ねながら知名度を上げていきます。古典劇を得意とし『ハムレット』や『ファウスト』でヒロイン役を務める機会もあったそうです。1917年からラインハルト劇団に所属、同時期に映画にも出演し始めるようになります。当時ケンタウロス映画社を拠点としていたハンス・コーベ監督やヨハネス・グウター監督作品に多く出演していました。
1935年、産褥で亡くなった娘の葬儀のためソビエトへと向かい、帰路、友人の勧めでソビエトで劇団に所属することになります。折しもスターリンによる敵対勢力の粛清が吹き荒れており、マリアさんは同僚らと共にスパイ容疑で逮捕され、1938年2月、型通りの裁判で有罪宣告され銃殺されました。享年51。大国の思惑に翻弄されたラトビアの20世紀史そのものの人生でした。
リガ映画博物館での回顧展は生誕130年を記念して開催されたものです。ラトビア出身女優は他にリア・マラ(Lya Mara)もいましたし、ドイツ無声映画が多国籍な環境で発展していった様子が伺えます。
[IMDB]
nm0500408
[Movie Walker]
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[誕生日]
8月14日
[出身]
ラトヴィア(リガ)
[サイズ]
8.6 × 13.4cm
[データ]
Verl. Herm. Leiser, Berlin-Wilm. 1102. Atelier Nippold, Frankfurt a/M
1920年2月19日の日付入り