フィア・エーマンス旧蔵サインコレクション より
1910年代末のドイツ映画については数点の書籍資料が知られています。大半の入手が難しくなっている中で『フィルムの中の女(Die Frau im Film)』は個人による電子テキスト化が行われており、非常に貴重な情報源となっています。
同書は1919年にスイスで発行された書籍で、当時人気のあった独語圏の女優28名のインタビューを収めたものです。本サイトで紹介しているエルナ・モレナやリリー・フロールらを筆頭に、現在忘れられてしまった女優も多く含まれていました。
マグダ・エルゲンについては同書のインタビューが唯一の情報源とされています。それによると、ウィーン滞在時に映画撮影に初めて遭遇、メイン女優が乗馬の場面を拒否したため代役で出演したのが女優になるきっかけだったそうです。
メルセデス映画社の映画監督であるオットー・リンス=モルシュタットと結婚して初めて、自分の仕事に満足できるようになりました。映画が発展していく可能性を理解し、再び芸術と足並みをあわせていけると思ったのです。メルセデス映画社から、私の主演する映画シリーズが製作されることになっています。
「マグダ・エルゲン・インタビュー」『フィルムの中の女』より
Erst nach meiner Verheiratung mit dem Regisseur der »Mercedes-Film-Gesellschaft«, Otto Lins-Morstadt, fand ich Befriedigung in meinen Aufgaben. Ich sah die Entwicklungsmöglichkeit des Films und fand die Parallele zur Kunst wieder. Die »Mercedes-Film-Gesellschaft« stellt meine Serien her. (Die Frau im Film, 1919)
メルセデス映画社による主演作が公開されたという記録は残っておりません。その代りカール・ハインツ・ウォルフ監督が創設したKOWO映画社から、「マグダ・エルゲン主演ドラマシリーズ」として『墨西哥(メキシコ)の女』(1919年)が発表されています。

若きコンラート・ファイトとの共演作ながらフィルムは現存していません。その後は主演映画の企画そのものが途絶えており、脇に回る形で20年代の活動を続けていきました。1910年代の初期作ではアリィ・コルベルグやシャルロッテ・ベックリンと共演していた記録も残っています。
[IMDb]
Magda Elgen
[Movie Walker]
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