フィア・エーマンス旧蔵サインコレクション より
獨逸有数の劇作家の一人カール・シユナイデール氏に依つて作劇された原作を、リヒアルト・ルウエンバイン氏に依つて舞臺監督されたもので、舞踏家として、相當に知られた、イヴエン・アンデルソン孃を主役として演ぜしめた映畫である。
獨逸近時の映畫傾向を、最も良く現はした作品で、原作は非常に陰惨なもので、暗い沈痛な氣分に満ちたものである。
『蛇身の舞』(華影評、『活動倶楽部』1921年12月号)
キネマ旬報映画データベースには1919年に「松竹がドイツ映画を多数輸入した」の記述がふくまれています。今回「忘れじの独り花」で紹介している流れに対応するもので、この時に第一弾公開『蛇身の舞』に主演していたのがイーフェン・アンデルゼンでした(Jven表記もあり)。ヘッダ・ヴェルノンの夫であり、第一次大戦前に彼女の主演作を多く監督していたフーベルト・モエストが発掘してきた女優さんです。 第一次大戦でドイツ映画の紹介が一時途絶えていたこともあり、同作の公開は歓迎され一部からの評価が高かった様子もうかがえます。
1919年の映画雑誌では「デンマークの優美な花形」と紹介され、記事中にもやはりデンマークへの言及があります。
この後数作で映画界から引退、その後の詳しい消息は不明ながら数年後、英国のリトルシアターで踊りを披露した記録(バラエティー誌1923年9月号)は見つかっています。映画の役柄でも踊り子役が多くこちらが本職だったのでしょう。
[IMDb]
Iven Andersen
[Movie Walker]
イーフェン・アンデルゼン