1912年 – 9.5mm 『液體空氣の實驗』(仏パテ社/伴野商店)

「9.5ミリ動画 05c 伴野商店」より

壓搾機械の方法で零度以下二〇〇〇度に冷却すると空氣は液體となります。而してその状態に於てそれは不思議な特質を所有します。パテー ベビーはこゝに思實に映寫して甚だ興味あるその多くの實驗を明かにお目にかけます。

『パテーベビーフヰルム 解説書 No. 1』
(大橋善次郎編集・出版、1926年)

伴野商店のカタログで189番として紹介されたフィルムで、1920年代中盤に仏パテ社で市販された動画に日本語字幕を付け直したもの。初出はさらに古く、1912年に「科学入門シリーズ」の一貫として公開された記録が残っています。

l-air-liquide05.jpg

カイゼル髭の男性が液体空気の作り方やその特性を紹介していきます。「有害ではありません」と管に口を近づけそのまま飲んでしまうなど科学物としてはなかなかワイルドな展開も含んでいます。

1912-06-08-cine-journal-l-air-liquide
1912年6月8日付の仏シネ・ジュルナル誌より
「液体空気(L’air liquide)」の文字が見えます

1912年は映画業界が軌道に乗った直後の時期ですでに多くの製作会社が勃興し多様なコンテンツを提供していました。ドラマだけではなく、地誌や科学も素材とされ毎週のように各社が新作を提供していたのです。

結果として、1912~14年の製作となる短編ドキュメンタリーが相当数残されました。1920年代中盤に仏パテ社が9.5ミリソフトの市販化に取りかかった時、この時期の動画が復刻の対象となりました。先日デジタル化した『消えゆく民 アイヌの人々』(1912年)も同じ流れで製作~公開~ソフト化された一本です。

[タイトル]
液體空氣の實驗

[原題]
L’Air liquide et les applications du froid intense, série instructive

[メーカー]
伴野商店

[仏パテ社版カタログ番号]
74

[フォーマット]
10m(ノッチ有)


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