特徴
- 2014年に公開。製作者はジェイソン・レイン氏(Jason Lane)
- キノグラフを念頭に置いた完全自作派のプロジェクト。アルミシャーシを骨組みにした設計でリール受け以外の全体が20×25センチに収まる
- 対応フォーマットは8ミリ(スタンダード/スーパー)
- 少なくとも2つのヴァージョンが制作されている(初期型はラズベリーパイ本体とヒートシンクの配置などが違う)
- レンズは1)初期型がスマホ用マクロレンズ、2)改良型はシュタインハイル社製の三枚玉トリプレット
- ラズベリーパイ単体でモータードライブ2台とパイカメラ制御、LED照明、データ転送などを行う。電源は交流12V一つ。
- 10×10センチの自作PCBボードを搭載(基盤CADソフトKicad使用)
- Python+OpenCV
- 一つのフレームを2度撮影(2回目は露出時間がやや長い)。Enfuseの手法で2枚の画像を合成、コントラストや色味を調整(別投稿にて詳述します)
- フィルム送りを物理的にカウントしている訳ではなく穴(パーフォレーション)をカメラで認識、撮影範囲を確定している。「穴の角」を見つけてから数学的な処理を行う発想。微調整やエラー対応を含めプログラム上でもこの処理のボリュームが一番大きい。
- マイクロSD上にデータを保存、NASサーバー化したHDDにデータを転送する
私見
映写機そのものを3Dプリンタ技術で圧縮した発想の一台。他のラズベリーパイベースのテレシネ機と比べ本体もプログラムもコンパクトにデザインされていて圧倒されます。
マイクロSDに毎回データを書き込むのが弱点でしょうか。8ミリフィルム一本をデータ化するのに5~6GBを想定、毎回書き込んでから転送後に削除するためマイクロSDの寿命を削っている感はあります。またカメラ回りとステッピングモーターをラズパイ単独で制御している点は好みが分かれそう。
ユーチューブにアップしてあったサンプル動画は現在閲覧できなくなっています。