特徴
- 2016年に公開。開発・製作はジョー・ハーマン(Joe Herman)氏
- 映写機流用・改造型のプロジェクト。3Dプリンタ由来のパーツは一切使っていません
- 対応フォーマットは8ミリと16ミリ
- Python 3+Qt5
- ラズベリーパイ単体でステッピングモーター1台とパイカメラを制御、ネットワーク経由でPCに直接データ転送を行う
- カメラはパイカメラのV1(500万画素)
- リードスイッチを撮影トリガーとして使用
- 一つのフレームを複数回露出時間を変えて撮影し、合成(「merge_mertens」アルゴリズム使用)して画質の最適化を行う
- 照明は当初ハロゲン電球を使用、後にLED化
- 照明の光を拡散させるためのディフューザーを使用
- 画質の面からカメラポートではなくビデオポートからの出力を推奨
- デジタル化した動画をVimeoで公開中
私見
2016年に公開されたテレシネプロジェクト。2013年、開発者のジョー・ハーマン氏が祖父の残した古いホームムービーを見つけ、動画をデジタル化するため映写機を改造して作り上げたものです。

デジタル化された動画はブレが少なく色抜けの非常に良いものでした。古い映写機を流用することでフィルム制御に成功した例だと思われます。
配線図から分かるように構造は至ってシンプル。ジョー・ハーマン氏曰く「手持ちに映写機さえあれば150ドル程度の予算で組めるはず」とのこと。
別に紹介した「ラズパイ・テレシネ」では一つのフレームを2度、露出時間を変えて撮影し、「enfuse」で合成し画質の最適化を図っていました。ラズパイ・フィルム・キャプチャーも同一フレームを2〜3回、露出時間を変えて(例:6ミリ秒/12ミリ秒/24ミリ秒)撮影し、それを「merge_mertens」アルゴリズムで合成していきます。
導入に際して難易度の高いのが映写機改造。シャッター羽根を取り外すなど序の口で、映写機仕様にあわせてモーターを上手く組みこまなくてはならず映写機の構造そのものへの理解が要求されています。