] 映画の郷 [ 電子工作部:ラズパイHQカメラで戦後9.5ミリカラーフィルムをスキャンしてみた

『ガラパゴス諸島~アフリカ旅行記』
(1960年、仏9.5ミリ個人撮影動画より)
ラズパイHQカメラ+タムロンH21レンズ

先日、綺乃九五式スキャナーにラズパイHQカメラを移植しました。このスキャナーにとっては大きな一歩となります。V2カメラを前提に設計された綺乃九五式は白黒フィルムしか処理できなかったのですが、このアップデートでカラーフィルムを扱うことができるようになったからです。

今回、1960年に撮影されたガラパゴス諸島~アフリカ旅行動画をスキャンしてみました。上がその際の無加工スキャン画像。

悪くない、と思います。後に触れるように幾つか問題はあるものの、設定次第では16ミリ並の再現度までいける手応えがありました。

ちなみに一回目に行ったスキャンは失敗でした。何も考えずに白黒設定(彩度/saturation)のみを変更しスキャンしたところ、連続撮影の結果が次の形に。

数回に一度自動の補正フィルターがかかっています。

パイカメラ・ライブラリーのオートホワイトバランス(awb_mode)初期設定で「’auto’」となっているため悪さをしているのだろうと考え「’off’」に変更したものの結果は変わらず。露出モード「exposure_mode」が未設定(=デフォルト「’auto’」)になっていたのが問題で、こちらを「’off’」に変えると安定しました。

ところが別なショットで新たな問題が発生しました。

ウミイグアナの群れを捉えた一枚。解像度は良いのですが…色合いが奇妙です。このフィルムは2017年に一度映写機で実写しており、その時のスクリーンショットが残っています。

絵としての解像度はHQカメラに劣りますが、色合い/カラーバランスはこちらの方が自然な感じがします。HQカメラは青の発色がやや人工的で、画面全体に強く出ています。ヒストグラムで確認してみると:

映写機版のヒストグラム(写真上)から分かるように、光の三原色の中で青がやや強く出ています。こういった被写体を撮ろうとした時、処理が上手くいかず青味が極端に強調される形で残ってしまうようです。冒頭の鳥のように青があまり含まれていない画像では綺麗な結果が出てきます。下のスキャンも似たような感じです。

空が澄んだ青になるのは良いとして、引きずられるように背後の島が真っ青になり、人の肌や植物も青みがかっています。カラーバランスを修正したところ下の感じになりました。

修正前(左)と修正後(右)

肉眼で見えていたのは右の感じだったのでしょうね。HQカメラを使用した際にカラーバランスが青に寄る話は海外ユーザーからも報告 (“The whitebalance is also very “blue””) されています。使用するレンズやセッティングに依存している可能性もありますが、今後HQカメラを使って実用的な作品を作ってみたいという方は留意しておいて良い話かと思われます。


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