帝政ロシア/ソヴィエト初期映画史再訪 [06]

“Repeticionnyj metod v kino”
by Lev Kuleshov (1935 1st Edition)
レフ・クレショフは帝政ロシア末期~ソ連の映画界で活躍した映画監督・映画理論家です。1917年から映画批評や理論の発表を始めておりその長い思索の軌跡は1987年の全三巻ロシア語本『映画論全集』でまとめられることになります。英語圏でも1970年代中盤に公刊された『クレショフ選集』(カリフォルニア大学出版)でその思想の一部が知られるようになりました。
クレショフが戦前に出版した書籍は以下の4冊。
1929: 『映畫藝術』(Иск-во кино)
1935: 『映畫におけるリハーサルの技法』(репетиционный метод в кино)
1935: 『映畫監督術の実践』(Практика кинорежиссуры)
1941: 『映畫監督術の基礎』(Основы кинорежиссуры)
このうち主著の一つ『映畫監督術の基礎』はインターネット・アーカイヴでオンライン公開されています。
今回手に入れたのは第二著作『映画におけるリハーサルの技法』の初版本(4000部限定)。全64ページ。サイズは縦19.7×横13.5センチで表紙は布張りになっています。滲んだ収蔵印あり。

「Виблиотена Львовского Кинотехникума」…
リヴィウ(Львов)はウクライナの都市名。リヴィウ映画技術図書館の旧蔵書でしょうか。同名施設は現在リヴィウに存在しておらず、随分と前に閉鎖されたか別組織に吸収または改称されたと思われます。
内容的にはプレテネフ氏による序文(предисловие)の後に
「最初の実験」(первые опыты)
「利点(メリット)」(преимущества)
「実践」(практика)
「諸相」(перспективы)
4章構成となっていて、自作の『紅の戦線にて』(1924年)、『死の光線』(1925年)、『掟によって』(1926年)、『ベネチア製のストッキング』(詳細不明)等を引きあいに自説を展開していきます。







[出版者]
Kinofotoizdat (モスクワ)
[フォーマット]
1935
[生年月日]
64頁。19.7×13.5cm。4000部限定