1917 – 9.5mm 『意志』(アンリ・プクタル監督、ユゲット・デュフロ主演)

« Volonté » (1917, directed by Henri Pouctal, 1920s French Pathé 9.5mm Print)

資産家エロー家の跡継ぎルイ(レオン・マト)は日々周囲に流される人生を送っていた。

孫の将来を心配した祖母(ウージェニー・バド)は旧友の遺児である娘エレーヌ(ユゲット・デュフロ)をルイの嫁にしたいと考えていた。しかしルイは友人トジア(ポール・アミオ)に紹介された浮薄な貴婦人ディアンヌ(シュザンヌ・ランケル)との関係をずるずると続けていた。

周囲の勧めに従いエレーヌと式を挙げ、子供まで作ったルイ。だが過去と決別する事ができずいつしかディアンヌとよりを戻してしまう。正妻となったエレーヌに恨みを覚えていたディアンヌは偽の手紙で夫妻の仲を裂こうとした。偽りの告発を信じ、エレーヌとトジアが深い仲にあると疑ったルイはトジアに決闘を申しこむ…

監督のアンリ・プクタルは元々アンドレ・アントワーヌ人脈の舞台人で、1910年頃に映画界に参入してきました。パテ社を拠点とし1922年に亡くなるまで100作に及ぶ作品を残しています。中でもゾラの小説を原作とした『労働』(1919年)は映像美とリアリズムで突出した作品でした。しかしながら他にめぼしい現存作が無く、自国でも監督としての力量が正当に評価されないまま今に至っています。

中期作の『意志』(1917年)が9.5ミリ形式で発売されていたのは知っていて、何年も探していたのをようやく入手することができました。セットやカメラワークに舞台劇の硬さが残っていますが、時折挟まれるショットのアングル感や感情表現に垢抜けたセンスが見られます。

描かれているのは19世紀末のブルジョワ恋愛模様で現在からするとそこまで魅力的に映らないかもしれません。しかしよく見てみると資産はあるが意志が弱く正妻をないがしろにするダメ男、その正妻に敵意を抱きプレゼントの高価な扇を持ち歩くマウンティング好きな不倫女子、子育てに追われ自分の小さな幸せを守るのに精いっぱいのヒロイン…と実は今のワイドショーが面白おかしく暴きたてるゴシップの構造と変わっていなかったりします。色々と進化していないのかな、と。

フィルムケースのタイトル表示が赤地なのはキリスト教系の出版社「ボンヌ・プレス」がパテ社と提携して市販していた印です。夫が人生を悔い改める結末が評価されたものと思われますが、一方でクライマックスの決闘場面を丸々削除してしまったことで物語の説得力が弱くなっています。9.5ミリ版編集時に制作側で自己検閲が入ることもあった、と小ネタで知っておくのも良さそうです。

[IMDb]
Volonté

[公開]
1917年4月13日

[メーカー名]
仏パテ社/ボンヌ・プレス社

[カタログ番号]
852

[9.5ミリ版発売]
1925年8-9月

[フォーマット]
9.5ミリ、10メートル×6巻、白黒無声、ノッチ有

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