今回9.5ミリ動画カメラを実使用するに当たってまず参考にしたのは歸山教正氏の『シネ・ハンドブック』(1930年)でした。もう一冊9.5ミリ専用の書籍が欲しいな…と見つけ出したのがこちらの『パテーの自家現像』。某古書店ブログで触れられているように直線をベースにした素敵なデザイン(フォントやその配列を含む)にはバウハウス等の影響を見ることができます。
第五章と第七章だけを御覧下さるだけでも、獨りで容易に好結果を擧げる事が出來ます。
冒頭にある通り現像の具体的な流れを詳述したのが第5章(薬品の配合)と第7章(現像の手順)。吉川氏本人の自筆イラストが多くあしらわれ9.5ミリフィルム現像の実際を視覚的に追うことができます。




現像用薬品(現像液/反転液)の配合については『シネ・ハンドブック』とほぼ同じ。ただし『パテーの自家現像』には9.5ミリ用の作業時間配分の一覧が掲載されていて参考になりました。





1930年頃に撮影された9.5ミリの個人撮影動画では時々画面に液体が流れたような跡を見ることができます。長期保管による褪色や変色だと思っていたのですが、現像液や反転液の洗浄不足による現像ムラなのだと気づきました。撮影者・現像者視点からフィルムを見てみるとまた違った発見があるものですね。
[出版年]
1930年
[発行所]
アルス
[定価]
壹円
[ページ数]
150
[フォーマット]
13.0 × 19.5 cm、函入