1934 – 9.5mm 日本・個人撮影動画 「鰊の話」(北海道、積丹、ニシン漁、刺網、モッコ、奇岩)長谷川久敏氏制作作品

9.5ミリ (個人撮影動画・日本) より

“Herring Fishing in Hokkaido”
Early 1930s 9.5mm Japanese Private Documentary Film

1934年、北海道在住の9.5ミリ撮影家・長谷川久敏氏によって製作された50m物のドキュメンタリー作品。小さな漁村での鰊(にしん)漁の様子を記録した一本です。

人々が浜辺で漁の準備をしている場面で始まります。女性を中心に丁寧に網をほぐし修理していきます。

沖合の魚群に向けて船を進めていく漁師の姿。一糸乱れぬ動きで櫂を漕ぐ様子が壮観です

網起こしが始まります。ムシロをかぶせた「起し船」の男たちが網を興していきます。

舷に並んだ漁師たちが網を手繰ってニシンを網の端に寄せていきます。

学生と思われる若い漁師たちの姿も見られます。

港まで戻ってから陸揚げを行います。地元民が総出で「モッコ」と呼ばれる木製の四角い箱を背負い運搬を続けていきます。

木製のウィンチが稼働し網ごと運んでいく様子。

スタイリッシュにデザインされたの「完」の文字で動画は終了。

映像には看板など文字情報が含まれておらず、撮影場所の特定にてこずりました。ヒントになったのが一瞬姿を見せた奇岩。漁に向った船が回りこむように進んでいく中で撮影された場面。

ニシン漁が盛んな町で、漁場の近くに奇岩がある。この組みあわせであれば選択肢を絞れそうです。

調査の結果、余市郡余市町のローソク岩と判明しました。現在はもっと細い形になっているのですが、1940年代に地震の影響で割れたそうで、それ以前の姿が新聞記事に掲載されていました。

新聞記事にある「1934年」のシルエットを左右反転させたものと一致します

1932年公刊の『パテー・シネ』(大伴喜祐著、古今書院)には当時の9.5ミリ作品競技会の受賞作をまとめた「代表作品」の章があります。このリストに「北海道の鰊漁」が含まれていました(265頁)。東京ベビーシネマ倶樂部主催による昭和2年の競技会で第3等を受賞。製作者名は札幌在住の「長谷川久敏」氏。本編「鰊の話」には1934年のクレジットが含まれているため同一作品ではなく続編あるいはアップデート版でしょうか。9.5ミリ界隈で知られた実力者だったのは間違いなさそうです。


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