昭和11年(1936年)1月: 『映画とレビュー 人氣花形大寫眞帖』冨士新年號附録

“Cinema & Revues Famous Stars Photo Album”
supplement to the “FUJI” magazine Vol.9, No.1 (Jan 1936)
published by the Dai Nippon Yubenkai Kodansha, Tokyo, Japan.

以前から何度か投稿で扱ってきた雑誌『冨士』の付録、今回は1936年度版で表紙は山路ふみ子さん。タイトルの通り映画と歌劇の二本立てで構成されています。歌劇編(松竹・宝塚)も充実して面白かったのですが今回は映画編のみの紹介となります。

冒頭は彩色のグラビアが並び、高杉早苗・飯塚敏子・水の江瀧子・小夜福子の4名が登場。続いて映画界から92名、歌劇界から82名の紹介が行われ、最後に特集記事が幾つか収められていました。

松竹の充実ぶりは圧倒的。三羽烏(高田稔、上原謙、 佐分利信)に加えて林長二郎、高田浩吉、阪東好太郎ら若手が成長を見せ、女優陣も田中絹代、桑野通子、川崎弘子と盤石の面々が並びます。バイプレーヤーにも味のある個性派(坂本武、小林十九二、近衛敏明)が集結。

日活は主要メンバーが大分入れ替わった印象があります。20年代に比べると小粒な印象は否めないものの実力派を揃えていてまだまだ健在。

華美な感じではないものの雰囲気のある俳優さんが揃っていたのが新興。

PCLの存在は短期間に留まりましたが現在でも根強い評価・人気を得ています。若手を中心に勢いのあった様子は伝わってきます。

大都、第一映畫、東京発聲辺りにも見るべき才能が埋もれています。

以前の『冨士』付録と比べて落ち着いた絵面が多数。不景気が体感できるほど広まっていた時期でもあって20年代〜30年代初頭の非現実な華やかさを前に押し出す人は少なくなっています。世相的に暗い方向に向かいつつも、照明や脚本術などの向上と相まって良作を生み出していたこの時期の邦画界に層の厚さ、底力を感じます。

[発行年]
昭和11年1月

[発行者]
大日本雄弁会講談社

[フォーマット]
164頁 26.2cm×18.9cm

[定価]
本誌と共に七十銭


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