9.5ミリ 伴野商店より
1920年代後半に伴野商店が自社の9.5ミリ作品を展開し始めた当初、御当地物のフィルムはそこまで重要視されていませんでした。カタログ番号70番台辺りから次第に数が増え始め(74番に『日本アルプス』、78番に『日本三景』)、20年代末頃にはカタログ内で結構な比重を占めるようになってきます。『日光旅行』は同社カタログの76番となっていて初期の御当地物9.5ミリに当たります。
カタログの150番台で発売された「新日本八景」のシリーズ(華厳の滝も含まれています)は鉄道省の協力を得て製作されたものでした。文部省ではなく鉄道省扱いなのが興味深い所。1920年代の好景気を受け、整備された国内インフラを活用して旅行の内需を掘り起こしていく目的が見て取れるからです。
訪れたことのある場所を動画で追体験する、未だ見たことのない土地の風光明媚に思いを馳せる…現在「ヴァーチャルツーリズム」と呼ばれるものの雛型とも言えそうな気がします。
[タイトル]
日光旅行
[メーカー]
伴野商店
[カタログ番号]
76
[発売年]
1920年代後半(1927年頃)
[フォーマット]
120m 白黒無声 ノッチ有