1925 – 35mm 『凸凹の密輸人退治』断章 (スヴェンスク・フィルムインドゥストリ社、グスタフ・モランデル監督) 独プリント

“Polis Paulus’ påskasmäll” (1925, Svensk Filmindustri, dir/Gustaf Molander) 1920s German “Pat und Patachon als Polizisten” 35mm Fragments

先日ドイツのイーベイで題名不詳の35ミリフィルム数本がオークションにかけられていました。そのうちの一本がこちら。

ホテルのレストランで開かれているパーティーが舞台となっていて
 1)仮面姿の女性が燕尾服の男の背後にそっと近づいてキスをして逃げ去る場面
 2)年配の男女4人が談笑し食事をしている場面
 3)仮面をかぶった背の高い男性が投げキッスを送る場面
 4)会食中の女性が嬉しそうに微笑むクローズアップ
と展開していきます。

最初に目に留まったのはクローズアップされたぽっちゃり系の女優さんでした。

Stina Berg in “Polis Paulus’ påskasmäll”

1910~20年代北欧で活動していた名脇役スティーナ・ベウです!見覚えがあったため手持ちのデータを確認したところ1925年公開のスウェーデン作品『Polis Paulus’ påskasmäll』断章と判明しました。日本未公開作品で邦題はなく、英題(The Smugglers 「密輸人」)をそのまま訳出しています。

本作はデンマークの喜劇ユニット「フュー・オ・ビ(Fy og Bi)」が主演した喜劇連作の一作。同シリーズはデンマークのラウ・ラウリッツェン監督の手による物が多いのですが、本作で初めて国外(スウェーデン)の製作会社・監督に委ねられることになりました。

物語はディナ(スティーナ・ベウ)が自身の経営するホテルに姪アンヌ・マリー(リリィ・ラニ)を招待したことから始まります。アンヌ・マリーとステン(エリック・バークレイ)の恋愛模様と、町の警察官(ハラルド・マドセン=凹)と浮浪者(カール・シェンストローム=凸)の追跡劇が同時進行していく中で最後は地元で暗躍している犯罪グループが摘発されてハッピーエンド。

グスタフ・モランデルの監督・演出はこなれたもので喜劇要素を大事にしつつも多層的な展開を上手くまとめあげており、凍りついた湖や森などの美しい自然描写を随所に盛りこんでいます。

オーストリアとデンマークの映画協会がそれぞれ不完全な35ミリ版を所蔵しており、2009年に両者を組みあわせて1時間42分のリストア版が制作されています。入手した断片はこの修復版の中盤、50分20秒~52分40秒辺りに対応している部分でした。

[IMDb]
Polis Paulus’ påskasmäll

[Movie Walker]


[公開]
1925年4月6日


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