] 映画の郷 [ 電子工作部:映写機用レンズの実写性能比較システムを作る(01)

今年になってから9.5ミリ映写機用レンズの実写性能を比較するシステム作りを始めました。運用できるレベルには達しておらず試行錯誤中ながらもある程度形が見えてきたので経過報告です。

システムのコア部分に転用した独イハゲー社のカメラ用アクセサリー2点(マクロ撮影用ベローズ & 金属製エクステンションチューブ)。どちらも本来はカメラとレンズの間にかませて使用するものです。

左の写真はイハゲー社のアナログカメラにマクロ撮影用ベローズを実際につけてみたところ。蛇腹を伸ばすと焦点距離が長くなり、小さな被写体を接写できるようになります(右は桃色のカスミソウを撮影した一枚)。

両者ともに単体ではマクロ撮影にしか使えないのですが、今回は3Dプリンタで製作した補助器具を埋めこみ別種の機器に流用していきます。

スケッチブックでイメージ作り。センサー/レンズ側とフィルム/光源側の二つのパーツに分けて作っていくことにしました。

【センサー/レンズ側】

金属製エクステンションチューブは竹の節に似た構造になっていて幾つかに分けることが出来ます。今回はこのチューブを二つに分け、一方の内側に樹脂製リングをかませたレンズを埋めこんでいきます。

映写機用レンズには共通規格としての「マウント」概念がないため外径や長さがまちまちです。レンズの外径を図り、フィットする形でリングを作っていきます。

左は仏エルマジ社のレンズF=1.6 40mm(レンズの外径30.0ミリ)を装着した時の様子。右は同社のレンズF=1.9 45mm(レンズの外径28.0ミリ)をつけた際の様子。

【フィルム/光源側】

金属製チューブの残り半分にも3Dプリンタで作ったパーツを埋めこんでいきます。9.5ミリフィルムの断片(3コマ分)を固定できるフィルムフォルダーです。二ヵ所の小さな突き出しをフィルムの穴(パーフォレーション)にはめて固定する形です。

このフィルムホルダーをセットする仕組みを作っていきます。複数の樹脂パーツを組みあわせたもので、四角い箱型の部分がランプハウスとなっており、1)LED電球、2)背面の光を反射させるお椀型のミラー、3)パテベビー映写機から取り出したコンデンサーをはめこんでいます。LEDの電圧が12Vだったので単三電池8本を外付けにして電力を供給します。

フィルムホルダーをはめこんだ金属製チューブを置きます。電源のスイッチをオンにするとフィルムが一コマ分、チューブの中央部で照らし出されます。

センサー/レンズ側パーツとフィルム/光源側パーツを向かい合わせにセットします。マクロ撮影用ベローズの土台部には2ミリ弱程の隙間があるので、光源側パーツの土台から伸びた薄い板を差し込む形になります。

組みあわせたところ。フィルム部分が光っています

同じ状態でセンサー/レンズ側から見たところ。レンズを通して見ているため天地左右が逆転しています。センサー/レンズ側にはカメラをセットするマウント(EXAKTAマウント)がありますので、マウントアダプタ(マイクロ4/3-EXAKTA)経由でミラーレスカメラ(マイクロ4/3マウント)を取りつけます。

蛇腹でレンズとの距離を調整し、映写された画像の幅とセンサー幅が一致する地点を見つけさらにピントをあわせていきます。上手くいくとミラーレスカメラの画角(3:4)一杯に拡大された映像が映り、デジタル撮影ができるようになります。

冒頭には「映写機用レンズの実写能力比較システム」と書きましたが、その実態はミラーレスカメラを土台にしたデジタルフィルムスキャナーです。

イメージ図は上のようになっています。右側からランプハウス、フィルム、距離を置いて映写機用レンズと並んでいて、この部分には簡易化した映写機が隠れています。一般的に映写機は投影された映像を「スクリーン」に映しますが、今回はスクリーンに置き換えた剥き出しのカメラセンサーで画像データを取りこんでいく訳です。

一方、映画フィルム用のスキャナーは照らし出されたフィルムをセンサーとレンズをセットにした「カメラ」で撮影するという発想になっています。

センサー~レンズ~フィルム~光源までの並びは同一。映写機で投影した画像をセンサーで取りこむ前者と光で照らされたフィルムをカメラで撮影する後者は発想こそ異なっているものの物理・光学的には同じことをしている話になるのです。


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