] 映画の郷 [ 電子工作部:映写機用レンズの実写性能比較システムを作る(03)

先日の試運転の結果を受け、システムを若干修正した後に手持ちの映写機用レンズ10本でテスト撮影を行ってみました。使用したフィルムは前回同様に1922年『ちびっこギャング』の英パテスコープ社抜粋版より犬の画像(ただし別フレームに差し替え)です。LED電球(電球色、120ルーメン)で投影した画像を4/3型Live MOSセンサーで取りこんだもので、撮影後の画像処理などは行っておりません。

[1)パテ社 パテ・ベビー映写機標準レンズ F=30ミリ]

パテ社のカタログにはスペック表記がないのですが焦点距離30ミリだと思われます。他のレンズと比べやや解像度が低く淡い甘めの感じに描写されます。またレンズが小さいため周辺光量の低下が目立ち、周辺部に色収差起因の滲みが見られます。確かにパテベビー映写機で実写するとこういった感じの映り方をしますよね。レンズの小ささを考慮に入れると上々のパフォーマンス。

[2)パテ社 パテ・ベビー映写機用 パテクソール・クラウス F=25ミリ]

「1)標準レンズ」に似た淡く優しい発色・描写ですが、一段シャープでケラれもやや目立たなくなっています。ただし標準レンズでは見られなかった流れが発生していました。

[3)パテ社 パテ・リュクス映写機標準レンズ F=32ミリ]

ベビー映写機用のレンズと質感が異なり、「9) マジステール F=1:1.9 45ミリ」に近いメリハリのあるシャキンとした描写になっています。四隅が僅かに暗くなっていますが全体的に緻密な描写で歪みも小。被写体深度も深めでピントを合わせやすく、バランスの取れた使い勝手の良い良いレンズだと思います。

今回は日本製映写機のレンズもテストしてみました。

[4)五藤光学研究所 F=50ミリ]

やや解像度が低めでピントが完全にあいきらない感じ。グルグルボケのような乱れが見られます。それでも周辺部まで大崩れせず、並以上の力量を備えているレンズだと思います。

[5)アルマB型映写機用 標準レンズ(メーカー不詳)]

アルマB型用の標準レンズは無銘でスペック表記がありません。ややコントラストが強くシャープかつ細密な描写。四隅まで明るく、歪みもあまり目立ちません。系統的には「9)マジステール F=1:1.9 45ミリ」に近い印象。

[6)さくらプロジェクションレンズ F=2インチ]

一本だけ16ミリ映写機(さくらスコープ)用のレンズでも試してみたのですが、どう調整してもピントが上手くあいませんでした(中央部分ですらジャストにならない、像面湾曲?)。レンズを分解して確認して見たものの特に異常なし。もう少し調整を続けます。

前回の試運転でテストした4本のレンズも今回の条件で撮り直してみました。結果はほぼ前回と同じです。

[7)エルマジ社マジステール F=1:1.6 40ミリ]

レンズ中央部付近の解像度は高く、毛並みの細かな陰影も綺麗に再現されています。周辺部では光量低下(ケラれ)が目立ち、滲みつつ流れる感じのボケが発生しています。元々レンズのコンディションが悪く、前玉周辺部に清掃しても取れない汚れが固着してしまっているのでおそらくその影響が出ています。中央部の濃淡のグラデーションは素敵なのですが惜しむらくはその力が隅々まで発揮されていない感じ。

[8)エルマジ社マジステール F=1:1.9 40ミリ]

中央で焦点を合わせているはずが上手く結像しない感じ。他のレンズと比べて被写界深度が浅く、フィルムに発生しているわずかな凹凸でピントが外れてしまうようです。映写機で実使用する際にもピント合わせがシビアな一本ということになります。

[9)エルマジ社マジステール F=1:1.9 45ミリ]

40ミリの2本がやや赤みを帯び柔らかい感じの描写だったのに対し、45ミリはコントラストが強めで彩度も低く硬質な描き方をしています。周辺部の歪みやケラレも少なく、今回テストした3本のマジステールでは一番良いレンズの印象を受けました。

[10)メイヤー・ゲルリッツ社 キノン・スーペリアー F=1:1.6 40ミリ]

前回のテスト同様「7)マジステール F=1:1.6 40mm」と「8)F=1:1.9 40mm」の中間位の画質、の結果が出ました。ケラレはそこまで目立たないものの、比較的中心に近い部分から放射状の流れが発生。犬の毛並みの繊細な表現は良いですね。

個人的な予想より良かったのが3)と5)、9)。ほぼ予想通りだったのが1)と2)、4)、10)。期待値に届かなかったのが6)、7)と8)。

1920年代パテベビー専用の1)と2)は同系統のレンズで、コントラスト低めながらも暗い光源で細やかなグラデーションを再現できる能力を備えています。30年代レンズでは7)と8)が同じグループで、9.5ミリの柔らかな質感を生かしつつ周辺部まで明るく、解像度を上げる方向に進んでいます。一方で歪みや収差を低減し、コントラストを際立たせカッチリした質感に向っているのが3)、4)、5)、9)辺りのレンズ。10)メイヤー社キノンは独自路線のクセ玉ですね。

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