ラヴィニア・ウォーレン Lavinia Warren (1842 – 1919) 米 & プリモ・マグリ伯爵 Primo Magri 伊

小人症映画小史(03)

Lavinia Warren (aka Mrs. General Tom Thumb aka Countess Lavinia Magri) & Count Primo Magri
1909 Autographed Postcard

1900年代初頭、ラヴィニアとマグリ伯爵は夏になるとニューヨークのコニーアイランドにある「小人の町・リリプティア」に出演するようになった。リリプティアはいわゆる「小人の町」で、町としての機能を完全に残しつつもサイズ感だけを縮小しつつ、あちこちのサーカスや見世物小屋から雇い入れた小人症パフォーマー300余名が不自由なく生活できるようになっていた。

コニーアイランドを離れた後、ラヴィニアとマグリ伯爵はハリウッドへと足を伸ばした。新進著しい映画産業の中心地として東海岸に取って代わった直後の時期である。1914年にラヴィニアとマグリ伯爵は無声映画作品『小人求婚譚』に出演。ラヴィニアは『プチ婦人』、伯爵は『ノミ伯父さん』役を演じていた。

マグリ伯爵と再婚していた時期ですら、ラヴィニアはもっぱら親指トム将軍の未亡人として知られていた。ラヴィニア自身、トム将軍の名前の響きが備えた抗いがたい力を熟知していたのである。写真に「ラヴィニア・マグリ伯爵夫人」とサインする時も、「親指トム将軍夫人」と書き添えることが多かった。

『親指トム将軍:ある小人男の驚くべき真実のストーリー』
(ジョージ・サリヴァン著、2011年)

[…] early in the 1900s, Lavinia and the Count began to spend their summers as performers at “Lilliputia” at New York’s Coney Island. Lilliputia was a “midget city”, a complete village scaled in size to accommodate some 300 dwarfs who had been hired awar from circuses and carnival sideshows. […]

After Coney Island, Lavinia and the Count traveled to Hollywood, which had recently replaced the East Coast as the center of the fast growing movie industry. In 1914, Lavinia and the Count appeared in The Lilliputians’ Courtship. a silent film. Lavinia was cast as “Lady Petite”, the Count as “Uncle Tiny Mite”. […]

Even during the time she was married to Count Magri, Lavinia was generally known as Tom Thumb’s widow. She well knew the drawing power of Tom’s name. […] And while she signed souvenir photographs as “Countess Lavinia Magri,” she frequently added “Mrs. General Tom Thumb.”

Tom Thumb : The Remarkable True Story of a Man in Miniature
(George Sullivan, Clarion Books, 2011)

1842年米マサチューセッツ州生まれ。教職を本業とし、舞台で歌や楽器演奏を副業としていた時期にスカウトを受け芸人として独立。P・T・バーナム主催の巡業公演中に知り合った親指トム将軍(本名チャールズ・ストラットン)に見初められ1864年に結婚。婚礼の様子は大々的にメディアで取り上げられ、リンカーン大統領主催によるホワイトハウス歓迎会に招待されるなど当時最も知名度の高い小人症パフォーマーの一人となりました。本邦での知名度は高くありませんが日本語版ウィキの「小人症」でトップに置かれている無名の写真はラヴィニアさんの肖像です。

親指トム将軍とラヴィニア・ウォーレン婚礼の様子を
撮影したキャビネット写真(19世紀後半、個人コレクション)

1904年、コニーアイランドに大型アミューズメントパーク「ドリームランド」が建設された際、その人気企画となった小人の町・リリプティアに参加。1910年代後半に表舞台を退き夫と共に飲食店の経営を行い1919年に亡くなっています。

『コニーアイランドの歴史』(History of Coney Island, William Reynolds, NY: Burroughs & Co., 1904)より

最晩年に夫のマグリ氏と共に映画に出演。1915年に米ミューチャル社から配給された『小人婚活譚』(The Lilliputians’ Courtship)でフィルムは現存しておらず、姿が記録された動画は存在していないようです。

今回入手したのは1909年にパリで開催されたイベント「リリパットの小人王国」に参加した際の絵葉書。夫マグリ氏との連名サインが残されています。

[IMDb]
Lavinia Warren

[Movie Walker]


[出身地]
合衆国(マサチューセッツ州ミドルボロ)

[生年月日]
10月31日


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