


« Aryudhya, Bangkok » (Thailand late 1920s) Ayutthaya/Viharn Phra Mongkol Bopit
from US 9.5mm Home Movies shot in South and South East Asia
1920年代後半に東南アジアを訪れた米国人観光客が記録した7本のフィルムより、タイのアユタヤとバンコクで撮影された映像をまとめたもの。フィルムケース側面には「Aryudhya, Bangkok」の手書き文字があります。
フィルムの冒頭、まずは巨大な仏像が映し出されます。あまりの大きさに全身が収まりきらず頭から足元にカメラが下りてくるとそこには指の長さ程の観光客が立っています。座仏像の周辺に立つ卒塔婆のような塔。
後半、通りの場面に切り替わり歩いている人々が映し出されていきます。市街地ではなく小さな町のような感じです。最後にまた仏教寺院の映像。剣を掴んで仁王立ちになった鬼神像の前で観光客が何かを話しているとことで動画が終了。
名の知れた遺跡だろうと予測できたものの、画像を検索しても似たような大仏、廃墟は出てきませんでした。動画そのままの姿では現存していないようなのです。やりかたを変えて調べたところ修復される以前のウィハーン・プラモンコンボピット(Viharn Phra Mongkol Bopit)とその周辺と判明しました。


修復された礼拝堂(左)と金箔をほどこされた現在の姿(右。いずれもグーグルマップより)。
プラモンコンボーピットはタイ国内では最大級の大きさ(高さ13メートル)を誇る大仏です。18世紀のビルマ軍攻撃により寺院は一部を残して破壊されていて、1950年代中盤に礼拝堂を再建。1990年代に仏像に金箔がほどこされたそうです。


動画途中に登場してくる塔はプラモンコンボーピットの北に位置する仏教寺院(ワット・プラ・シーサンペット)で、3基の仏塔に王の遺骨を納めたもの。





仏像は複数アングルから撮影されており、また台座周りを歩き回っているショットもあって1920年代当時の状態を確認する資料として貴重ではないかと思われます。地元民の信仰の対象としては修復された姿が正しいのでしょうが往時の廃墟感にも魅力があります。