映写機用レンズの肖像より
アンジェニユー社は映画カメラ用レンズ(特にズームレンズ)に定評のあったフランスのレンズメーカーです。1950年代に映写機用のレンズも提供しており、ウルティエ社の映写機のメインレンズとしても活躍しています。
1953年型のモノフィルム映写機に付属していた個体の性能確認をしてみました。


コンディションにやや難があり前玉の内側周辺部にカビが広がり始めています。まずは分解清掃。2群4枚のペッツバール型です。
手持ちのミラーレスに装着した状態。マイクロフォーサーズのセンサーサイズだと四隅が軽くケラれます。
コーティングされた戦後レンズでフレアが出にくく、思っていた以上に鮮明で色写りの良いアウトプットでした。ピントの外れた背景は2線ボケが出にくく、滲んだような柔らかい描写です。アンジェニユー社のレンズはフワっと滲んだレトロな味わいが特徴と言われるのですが今回のレンズはまた違った出方をしています。
以前に自作した性能検査のシステムを使ってみました。周辺部は滲んだ感じで光量低下。戦前の9.5ミリ用レンズと比べると白飛びが少なく再現力が高いのが分かります。
セッティングを変えながら何枚か追加撮影、映写機専用にしておくのはもったいないですよね。今回映写機と別ルートで8ミリ対応レンズ(F=25ミリとズーム)を入手しているので、後日外に持ち出して比較したいと思っています。