1926 – 『悲しみの聖母』リバイバル上映会招待券

Mater Dolorosa (1917, dir/Abel Gance) Invitation Card for 1926 Rerun

トリオンフ映画社は
貴殿を以下の上映会にご招待いたします

『悲しみの聖母』

アベル・ガンス監督作品

『若返りの泉』
『チュニジア』

上映会は1926年3月1日の14時半より
パリのドゥエ通り61番地、アルティスティク映画館にて開催

この招待券は2名様まで有効です

ガンス監督による『ナポレオン』の制作が盛り上がると同時に再評価を受けたのが初期作『悲しみの聖母』でした。

招待券に明記されているように1926年(大正15年/昭和元年)3月1日にリバイバル上映が開催されています。同年6月に9.5ミリ短縮版フィルムが市販されて知名度がさらに広がり、9月初頭には映画のノベリゼーション専門週間誌「フィルム・コンプレ」で小説版が発売されました。

フィルム・コンプレ誌1926年9月5日通巻274号

1910年代にはよほどの売れっ子でなければ監督名が前に出てくることはなかったため『悲しみの聖母』も公開後は見返されることもなく忘れ去られたままになっていました。 20年代になると監督を主軸に映画を理解していく見方が市民権を得るようになっていきます。この時期のフランスでは「質・量ともに合衆国、ドイツに後れを取っている」負い目が広がっていて、世界市場で勝負できそうなガンス監督にかける期待も大きかったのです。

一方で『悲しみの聖母』再評価そのものが『ナポレオン』(1927年4月公開)の宣伝活動の一つでもありました。多くの愛好家が「予習」にいそしみ来るべき大作の傾向と対策に余念がなかった、そんな様子を伝えてくれる資料です。