ゾーヤ・ワレフスカヤ (Zoya Valevskaya / Зоя ВАЛЕВСКАЯ、生没年未詳)露/ウクライナ

帝政ロシア/ソヴィエト初期映画史再訪 [16] & 絵葉書館・ロシア/ソ連/旧ソ連構成国 より

Zoya Valevskaya Late 1920s Ukrainian Postcard

帝政ロシア末期に映画女優としてデビュー。革命の余波を受け一度キャリアが途切れるも1920年代末にソフキノ(Sovkino)を拠点に女優業を再始動させます。1927年のウラジミール・ガルディン監督作『詩人と皇帝(Поэт и царь)』では出演時間は短いながらも主人公の詩人プーシキンの運命に大きな影響を与える女性イダリア・ポレティカを演じました。

『詩人と皇帝』より

やはりソフキノで製作された次作『吹雪(Пурга)』で初のヒロイン役が回ってきます。同作は厳冬のシベリアを舞台とし、調査隊に同伴してやってきた英国人女性と現地で自給自足の生活を送っている青年の悲恋を描いた一作です。

『吹雪』より

『吹雪』はロシア連邦文化省の公式サイト「Культура.РФ」で完全版が公開されています。欲にまみれ虚栄の生活を送っている欧米人と、質素ではあっても大地に根付いた人生を送るロシア人を対比させたプロパガンダ作品ではあるものの、コンパクトにまとまっていてゾーヤ・ワレフスカヤの魅力を良く引き出していました。

『少女の大いなる悲しみ』のポスター

花形女優となったワレフスカヤは1929年に全ウクライナ寫眞映畫部(VUFKU)に籍を移します。『少女の大いなる悲しみ(Велике горе маленької жінки』と『判事レイタン Суддя Рейтан』にヒロイン役で出演。残念なことに両作ともフィルムは遺失したとされています。

この2作がゾーヤさんにとってソ連邦およびウクライナでの最後の出演作となりました。

私生活についてほとんど知られておらず、生年や生地についても情報も未詳。VUFKUに籍を移しているところをみると元々何らかの形でウクライナと接点を持っていた可能性が高いと思います。短期間ではありますがドイツ生まれの映画人ハリー・ハッソと結婚、この時期に拠点をドイツに移しています。Z・ヴァレフスカなどの名前で単発的にドイツ映画に出演した記録が残っており、ヴァルター・ルットマンが監督した1931年のセミドキュメンタリー映画『血の敵(Feind im Blut)』が現存しています。

[IMDb]
Zoya Valevskaya

[Movie Walker]
Waleskaja


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