2000 – 『1895誌 第31号 アベル・ガンス 新たなる視点』(仏映画史研究協会編)

秘宝館・アベル・ガンス より

Revue 1895, No.31, “Abel Gance, nouveaux regards” (AFRHC, 2000)

今回ガンス氏の青年時代の写真紹介でも引用した「1895」誌のガンス特集。同誌についてはこれまでエクレール社特集号ルイ・フイヤード監督特集号の二冊を紹介済で今回が三冊目になります。

全体の構成としては前半に総論的な論考、後半に視点を絞った各論を置き、巻末に様々なデータ類をまとめています。「1920年代の映画監督8人が見たアベル・ガンス」(ベルナール・バスティッド)やガンス映画のノベリゼーションを扱った「セルロイドと紙」(アラン・カルー)など後半に興味深い論考を多数収録。フィルム視点で言うとロジェ・イカール氏の論考(「『鉄路の白薔薇』の染色版35ミリ断片の分析」)が目を引きます。タイトル通り染色版35ミリの分析を軸に同作のリストアの流れやその問題点をまとめたもので、物ベースで緻密な実証を行った優れた論文でした。

書籍の副題「新たなる視点」もあながち大袈裟ではなく2000年時点の研究最先端を上手くまとめた一冊と言えそうです。

気になったのは分析対象が1918年『第十交響曲』以降に偏っている所。1910年代中盤、『死の瓦斯』から『生きる権利』そして『悲しみの聖母』にかけてガンス監督が独自スタイルを確立していった時期に当たります。この辺の研究は21世紀に持ち越された形になっています。

[原題]
«Abel Gance, nouveaux regards» Revue 1895 No. 31

[出版年]
2000

[出版者]
仏映画史研究協会(l’Association française de recherche sur l’histoire du cinéma/AFRHC)

[ページ数]
356

[サイズ]
14.5 × 21.5 cm

[ISBN]
978-2-913758-07-0