映画史の館・フランス より

(SEITA/Cinémathèque française)
1975年にフランス映画誕生80年を記念して製作されたマッチシリーズ。無声映画編(1~32番)とトーキー以後編(33~64番)の計64種類があって、今回入手したのは1/3弱に当たる19個です。
無声映画編には他に『ナポレオン』(アベル・ガンス)や『まごころ』(ジャン・エプスタイン)、『メニルモンタン』(キルサノフ)、『裁かるるジャンヌ』(ドライヤー)、『アンダルシアの犬』(ブニュエル)が含まれています。トーキー以後編にはヴィゴ、パニョル、グレミヨン、カルネ、デュヴィヴィエ、オフュルス、タチ、コクトー、ゴダール、ルイ・マル、シャブロル、トリュフォー等が並び、アラン・ドロンが主演したメルヴィル監督1967年作『仁義(ル・サムライ)』が最も新しい作品となっていました。
当時まだ発掘・発見されていなかった重要作もありますし、現時点でチョイスしていくとまた異なったラインナイップになるのでしょう。それでも仏古典~近代映画の定番をあらかた押さえた手堅いリストで仏映画史の復習にまたとない教材になっています。


1895 – 『水をかけられた散水夫』(ルイ・リュミエール)
「初の喜劇映画」
L’Arroseur arrosé


1901 – 『ある犯罪の物語』(フェルディナン・ゼッカ)
「リアリズム到来とシャルル・パテの勝利を告げた一作」
Histoire d’un crime


1902 – 『月世界旅行』(ジョルジュ・メリエス)
「映画固有の演出を本格的に採用した初の作品、フランス映画が世界的な成功を収めた」
Le Voyage dans la Lune


1903 – 『火を拝借』(ジョルジュ・メリエス)
「映像の詩学とトリック撮影の創始者」
Un peu de feu S.V.P.


1905 – 『一夫十妻』(リュシアン・ノンゲ)
「このドタバタ喜劇は仏映画が大衆に大受けする第一歩となった」
Dix femmes pour un mari


1907 – 『ボワロー君学校に参上す』(アンドレ・ディード)
「パテ社が発掘してきた仏喜劇の開拓者」
Boireau à l’école


1908 – 『ギーズ公の暗殺』(シャルル・ル・バルジ)
「映画の新時代を切り開き、欧州に芸術映画を到来させた一作」
L’Assassinat du duc de Guise


1908 – 『ファントーシュたちの恋のさやあて』(エミール・コール)
「ゴーモン社が発掘してきた仏映画史上初の才あるアニメーター」
Drame Chez Les Fantoches


1912 – 『ファントマ対ジューヴ警部』(ルイ・フイヤード)
「『ファントマ』第2話でアクション性の高い連続活劇が誕生」
Juve contre Fantômas


1912 – マックス・ランデ
「パテ社が発掘し、世界中で人気を得た初の天才喜劇役者」
Max Linder


1914 – 『コート・ダジュールの謎』(レオンス・ペレ)
「ゴーモン社による写真的な造形と、映像美探求の特徴が端的に示された一作」
L’Enigme de la Riviera


1915 – ミュジドラ
「仏映画が生み出した初めての現代的花形女優(『レ・ヴァンピール』ルイ・フイヤード)」
Musidora


1919 – 『戦争と平和』(アベル・ガンス)
「映画芸術を刷新した記念碑的大作」
J’accuse


1920 – 『海の人』(マルセル・レルビエ)
「レオン・ゴーモンの助力によりレルビエは映画をエクリチュールに昇華させた」
L’Homme du large


1921 – 『女郎蜘蛛』(ジャック・フェデー)
「ハリウッド大作に比肩するオベール社作品」
L’Atlantide


1923 – 『ネーヌ』(ジャック・ド・バロンセリ)
「サンドラ・ミロワノフとガストン・モド主演作。
郷土色重視とリアリズムは仏映画の定数の一つとなった」
Nène


1924 – 『狼の奇蹟』(レイモン・ベルナール)
「時代劇の成功」
Le Miracle des loups


1926 – カトリーヌ・ヘスリング(『ナナ』ジャン・ルノワール)
「古典主義回帰の試み」
Catherine Hessling


1952 – シモーヌ・シニョレ
「『肉体の冠』(ジャック・ベッケル)より」
Casque d’Or