情報館・雑誌(和書) より
女性美號と題された1920年7月の活動倶楽部で表紙はメーベル・ノーマンド。






巻頭彩色グラビアはエルシー・ファーガソンとドロシー・ダルトン。単色グラビアにはこの時期の常連メンバー(ノーマ・タルマッジ、フランセリア・ビリントン、マリオン・デイヴィス、エニッド・ベネット、ロイス・ウィルソン、ドロシー・フィリップス、マーガリータ・フィッシャー)が並んでいます。




封切作品ではベルティーニ主演の『呪のうらみ』(La Piovra, 1919)、ノーマ・タルマッジ主演『禁斷の都』(The Forbidden City, 1918)、ルース・ローランド主演活劇『虎の足跡』(The Tiger’s Trail, 1919)等が映画小説として掲載され、トゥルヌール監督の『青い鳥』(The Blue Bird)とネル・シップマン主演『ふるさと』(Back to God’s Country)が講評されていました。


知らぬ人はいない大グリフイスは云つた。『女優は若くさうして美しかれ』と。女優は飽くまで美しい事を得策とする。さうして夫は、必ず映畫劇の上に良い効果を与えて居る事は、今は爭はればい良い事實として、各区にの映畫劇演出者の等しく叫ぶ聲である。
「映畫劇と女性美」森富太
次に述べなければならないのは、下半身の形である。先づ大腿部は太く倒圓錐形を示してゐなければ可けない。膝は出來るだけ小さく、脛は餘りふくれずに、思ひ切つて長く、くろぶしの上で細くくびれてゐるのを理想とする。アン・ペニントンの脚などは之に近いものだと云ひ得やう。
「女性美」綠川春之助
特集に関連し社長の森富太氏による「映畫劇と女性美」、綠川春之助による「女性美」、三田草鳥「微笑の乙女」、若樹華影「私の情熱に生くる女性」などを収録。


此處に本誌を中心とした、愛讀者諸君、及び本誌記者同人との斯界の研究、意見、吾斯界に對する指導等の目的で、眞に眞面目なさうして意義ある映畫研究會を設立しやうとの、動議が起つて、さうして早速その準備に取かゝり、此處にその槪略の發表をなす事となりました。
「活動倶楽部 映畫活動研究會の設立」
面白いのは特集以外の部分です。同誌が中心となった映畫研究會について設立趣旨の説明や発会式の予告が行われていました。この流れについては「映畵ヂヤーナリズム盛衰秘史」(木挽町人、キネマ週報1930年5月24日付第34号)が詳しく、6月19日に行われた第一回研究会には古川綠波、森岩男氏等が参加していたそうです。
同会の母体となった第一回の誌友懇談會(4月25日開催)を含め、この前後の活動倶楽部には編集部と読者の距離を縮めていこうとする試みが目立ちました。同時期のライバル誌に比べても「親しみやすい」構成で、誌上では質疑応答や読者論壇の他に、読者から編集部員へのメッセージとその回答をまとめたページが別枠で設けられたりもしています。


また活動倶楽部社が新雑誌(「オペラ」)や新叢書(「活動叢書」)、臨時特別号(「寫眞帖」)、名鑑(「世界活動寫眞俳優名鑑」)を矢継ぎ早に公刊していたのがこの時期であちこちに広告が挟まれています。このうち『空中魔』は国立国会図書館でデジタル閲覧可能です。
[出版者]
活動倶樂部社
[発行]
大正9年(1920年)7月1日
[定価]
七拾銭
[フォーマット]
B5版、 25.7×18.2cm、104頁