1922 – 『活動倶樂部』 大正11年1月号 新年特別増大號

情報館・雑誌(和書) より

Katsudou Club Vo.5 No.1 1922 January Issue
(Katsudou Club Publishing co., Tokyo)

1922年1月号は「新年特別増大號」と題され本文146頁+グラビア32頁+折込+付録の豪華版となりました(付録は入手できず)。表紙はコンスタンス・タルマッジです。

グラビアはポートレート写真としても出来の良いものが並びました。三色版折込でベティ・コンプソン、コロタイプ印刷でコンスタンス・ビニー、メイ・アリスン、ミルドレッド・デイヴィスにマーガレット・ド・ラ・モット。単色でシュトロハイム、アイリーン・カッスル、アグネス・エアーズらの米国勢、ヴェルナー・クラウスやフェルン・アンドラ等ドイツ俳優、アンリエッテ・ボナルド等イタリア女優、計32名の写真があしらわれています。

雑誌冒頭に活動倶楽部社社長・森富太氏からの「大正十一・初頭の感」と編集部一同からの謹賀新年の挨拶が置かれていました。

新作紹介ページでは大活輸入によるフイヤード監督の連続活劇『後のジユデツクス』、帝キネ製作で嵐璃徳一派による連鎖劇『実録忠臣蔵』などが紹介されています。

前号を受け、松竹キネマの実態を曝露・告発した「白日の下に曝されたる松竹キネマ(二)」とその反響をまとめた記事を掲載。綠川春之助氏による「今や改革の好機なり」は「敢て各會社に苦言を呈す」の副題通り、業界全体の刷新および改善を訴えたものです。

一方で前号からの揺れ戻しが見られ、ハリウッドからの現地リポート(「Oh! My Dear Lovely Hollywood」)やアリス・テリーの独自インタビュー(「映畫王國巡遊記録:アリス・テリー孃と語る」)など読み物として充実した寄稿が含まれていました。

前年末に開催された活動写真展覧会について3頁渡る記事を掲載、出品企業と出品内容の一覧がまとめられていました。

関連省庁、映画製作・配給会社(松竹、日活、國活、大活、ユニバーサル)、映画館、光学機器メーカー(小西六)、雑誌社、新聞社、説明弁士(生駒雷遊、駒田好洋、中川慶二)の名が並ぶ様は壮観。出品物は撮影機、フィルム、撮影用衣装及び小道具、ポスターやチラシ、映画館設計図など。先日投稿した尾上松葉出演、松之助主演作『史劇 楠公訣別』実演と撮影も含まれています。

この催しは国内における映画の認識を大きく変えたとされています。現在では東宮殿下(後の昭和天皇)との関り、あるいは 『史劇 楠公訣別』絡みで言及されるなどイベントの一部を切り取った扱いが多いように思われます。全体像が見渡せる資料は大変参考になりました。


[出版者]
活動倶樂部社

[発行]
大正11年(1922年)1月1日

[定価]
1円50銭

[フォーマット]
B5版、 25.7×18.2cm、180頁