パテベビー解体新書 実践編 より
9.5ミリフィルムを扱っていると、金属ケースにフィルムをはめ直さなくてはならない状況が多々発生してきます。引っ張り過ぎ外れてしまったパターンだけではなく、裸で入手したフィルムを手持ちのケースに移したり、スキャンなどの必要に応じて敢えてフィルムを取り外して再度戻す機会も出てきます。とはいえ特別難しい作業ではありません。所要時間は慣れると数分程。必要なものはピンセットとニッパー(ハサミ、カッターでも代用可)のみ。まずは
(1)固定用の金具を外す
パテ社製金属ケースには軸穴に固定用の金具がはまっています。まずはこの金具を取り外します。
フィルムケースをひっくり返すと「-」型の穴の先に僅かな段差が見えています。これが先ほどの金具ですので先の細い道具(ピンセット、マイナスドライバーなど)を使って押し出していきます。
「C」型の金具が押し出されてきました。
金具を外したところ。やや歪んでいましたが実用に問題はないためそのまま使っていきます。
(2)フィルム先端の形を整える
フィルムを戻す際、先端の形がまっすぐだと上手く入らないため形を整えます。
今回はニッパーを使いました。ハサミでもカッターでも代用可能。
(3)フィルムの先端を固定する
ここからが本番です。
固定用のC型金具をはずすと、フィルムを通す細い穴が見えます。先ほど形を整えたフィルム先端をこの穴に差しこみます。
上手く先端を入れることができました。この時、軸穴が回転してフィルムが外れがちです。空いている指で穴の部分を押さえておきます。
次が一番難しい部分で、片手でフィルムとケースを持ちながら、もう一方の手でC型の金具を押しこんで固定していきます。この時のコツとして、「C」の開口部がフィルム先端と重なるようにし、その後時計回りに回転させねじこんでいきます(成功例・中央)。
単に真っ直ぐ押しこんでしまうと、フィルム先端を通す穴と「C」の開口部が重なってしまいフィルムが抜けやすくなります(失敗例・右)
上手くフィルムを固定することができました。このままフィルムを巻き取って完成です。
フィルムに強い巻き癖が残っていると差し込みが上手くいかなかったりします。その時はフィルムの形を整えてから作業すると失敗が少なくなります。
ちなみにこの作業には正式名称がありません(英語の”rehousing”=「家に戻す」がしっくりくるかなと)。9.5ミリフィルムのガイドブックでも見た覚えがなく、愛好家にとって避けられないある種の「名もなき家事」の位置づけになっています。