1912 – 9.5mm 『ナピエルコウスカ嬢のカンボジア風舞踏』(『浮世の荒波』抜粋) 1923年仏パテ社プリント

ナピエルコウスカより

『ナピエルコフスカ嬢のカンボジア風舞踏』
Napierkowska in Danses Cambodgiennes
(La Fièvre de l’or excerpt, 1912, Pathé Frères, dir/René Leprince & Ferdinand Zecca)

1910年代初頭~中盤にかけゴーモン社やパテ社作品で活躍したナピエルコウスカが大戦後、再度注目を浴びたのが1920年代初頭でした(1921年『女郎蜘蛛』、1922年『アンシャラー』)。『回想録』掲載が1923年の春。パテベビー映写機が市販されたのが同年の冬で、パテ社が最初に発売した9.5ミリカタログにこの『カンボジア風舞踏』が含まれていました。

この映像は1912年に公開された中編映画(『La Fièvre de l’or』)の一場面を抽出したもの。元々は社会派ドラマの中編で、金銭欲に取りつかれた男が亡父の銀行を乗っ取り投資ブームを仕掛け、人々が踊らされていく内容を描いています。途中の祝宴に登場したのがこの舞踏場面。

僕はあの踏が好きだつた、”浮世の荒波”(The greed for gold)の東洋趣味の踏りも氣に入つた […]。

「夕日の沈む頃」 水澤 武彦
(キネマレコード1914年10月15日付号)


昨年中と限らずに今迄見た内での最も好い三幅對のダンスを書けばパテー「ミイラ譚」のカリホニア孃がやつたダンス、パテー「血染のハンケチ」のミスタンゲツト孃のやつたダンス、パテー「社會の激浪」のナピエルコウスカ孃のやつたダンスであらうと思ひます。

「ダンスの入つた映畫」小林琴月
(キネマレコード1915年1月10日付新年号)


『La Fièvre de l’or』は日本でも公開されており、『浮世の荒波』あるいは『社會の激浪』の邦題でキネマ・レコード誌に何度か名前が現れています。

9.5ミリ版はトリミング幅が大きく、チラつきが多く、さらに白飛びで細部の潰れが目立つためオリジナルの良さはあらかた消え去っています。それでも1920年代中盤にナピエルコウスカを家で見ようと思ったらこの1分の映像しかなかったんですよね。カタログ番号47という最初期の一本は早い段階で売り切れ~絶版となり、現在の中古市場でもめったに見かけないものとなっています。

[IMDB]
La fièvre de l’or

[Movie Walker]


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