情報館・俳優名鑑より
大正14年(1925年)4月、「寫眞報知」誌の臨時號として公刊された国内外俳優の名鑑。国立国会図書館のデジタル・アーカイヴで閲覧可能、俳優紹介で何度も引用させてもらっています。実物も手元に置いておこう…と取り寄せてみたところ、国立国会図書館収蔵分とは版が異なっていると分かりました。


国立図書館収蔵分は1)題字、2)人名索引、3)名鑑・米国、4)名鑑・欧州、5)広告(白黒4ページ分)、6)名鑑・日本、7)奥付の構成になっています。
今回入手した版は1)題字、2)口絵(彩色8ページ)、3)名鑑・米国、4)名鑑・欧州、5)名鑑・日本、6)人名索引、7)奥付となっており、多色刷りを含めて10ページ以上の広告が全体に差し挟まれる形になっていました。




『墓石が鼾をする頃』(東亜)『絵巻金色夜叉』(帝キネ)
口絵は1925年に公開された8作品(洋画3作と邦画5作)のものです。






各セクションの扉の裏には広告があり日本の映画会社各社が新作をアピール。この辺は国立国会図書館の収蔵版には含まれていませんでした。
奥付に明記はされていなかったのものの今回入手したのが大正14年(1925年)の初版と思われます。上映終了作品の広告を省き、彩色ページを減らしてコストカットを図った再版が翌年に出されたと見ています。




俳優名鑑にはハリウッド俳優142名、欧州俳優40名、日本の俳優120名を収録。文字情報が少ないため略歴や代表作は別資料を当たる必要があるものの、邦画部門に秀逸な写真が多く全体が落ち着いた調子でまとめられているのが特徴です。