1920 – 『獅子奮迅』(The Veiled Mystery、1920年、ヴァイタグラフ社) 35ミリ齣フィルム

齣フィルムより

Antonio Moreno in The Veiled Mystery (1920) 35mm Nitrate Film Fragments

1920年に公開された15章仕立ての連続活劇で、『呪の家』(1918年)、『曲馬団の秘密』(1919年)、『見えざる手』(1919~1920年)を通じて日本でも人気のあったアントニオ・モレノが主演を務めた一作。

左は『活動写真雑誌』1920年9月号の新作紹介欄より。右は『活動倶樂部』1922年6月号の大活広告ページ

『活動写真雑誌』(1920年9月号)では原題を直訳した『覆はれた大秘密』として紹介されていました。日本では1年半後の1922年4月、『獅子奮迅』の題名にて千代田館で封切りされた記録が残っています。

物語は大学生ラルフ・ムーア(アントニオ・モレノ)を中心に進んでいきます。ムーア家には以前から謎が付きまとっており、15年前にラルフの姉が誘拐され姿を消す事件も起こっていました。覆面姿の謎の人物とその一党が家に災いをもたらしていると知ったラルフは恋人ルース(ポーリン・カーリー)、使用人トム(ジョージ・リード)と共に一味を追い詰めていく…展開を取っています。

齣フィルムは覆面団が蒸気船アヴァロン号に乗っているとの情報を掴んだラルフが車で海岸に向かう場面で始まっています。

ラルフはボートを借りてアヴァロン号を追跡。

「ラルフが追ってきている」、洋上で電報を受け取った悪党団は入港を待たず船から脱出を図ります。

輸送していた箱を海へと投げ落とし、その後潜水服を着て船から脱出。

ラルフがアヴァロン号に乗りこんだ時は既に遅し、敵は逃れ去った後であった…という流れです。

1918~22年頃の中期連続活劇で重要な役割を果たしたアントニオ・モレノの遺失作の一つ、そして本サイトでも何度か紹介してきたポーリン・カーリー出演作でもあります。断片ではありますが1920年前後に実写されていた連続活劇の一部を入手できたのは喜ばしい限りです。

[Movie Walker]


[IMDb]
The Veiled Mystery