1922 – 『若き日の夢』(メトロ映画社、W.S.ヴァン・ダイク監督) 35ミリ齣フィルム

齣フィルムより

Bessie Love & Irene Hunt in Forget Me Not (1922, dir/W.S. Van Dyke,
Metro Pictures Corporation) 35mm Nitrate Film Fragment

貧しき母の手に育てられる事ができないので、生まれたばかりの女の子は孤児院の前に捨てられた。その子は成長して美しい娘アンとなり同じ孤児院に養われているジミーと仲良しであったが、2人は別々の家庭へ引き取られることになり、娘は貧乏音楽家のもとにおいて音楽を仕込まれる。ジミーは今は相当の暮らしをしているアンの実の母のもとに引き取られた。母はかつて捨てた娘の行方を尋ねて求め得ず、かくはジミーを養うことにしたのである。数年の後、アンが音楽演奏会で大成功を収めたとき、聴衆の中にあったジミーは孤児院時代の恋人の面影を、その美しい演奏者に見い出だした。かくて、運命の手に弄ばれて、離れ離れに漂っていた母と娘も再会し、若人2人の上に歓喜の目が恵まれたのであった。


以前に9.5ミリ版断章を紹介した『ソウダスト・リング』(1917年)同様、ベッシー・ラブがおさげ髪の薄幸な少女を演じた一作。現在は遺失したとされているフィルムです。

齣フィルムは21枚あって染色パターンで2グループに分かれています。1つ目のグループはピンク色がかった調色をほどこされた屋外撮影の場面3枚。孤児アン(ベッシー・ラブ)とその恋人ジミー(ギャレス・ヒューズ)が金網越しにやりとりしている様子が収められていました。

IMDbの『若き日の夢』ページの画像ギャラリーに金網越しのキスシーンのスチルが登録されています。入手した齣フィルムはこの場面に先行する流れとなっています。

残りの18枚は黄色がかった染色で屋内撮影場面です。

音楽演奏会で成功を収めたアンが聴衆から賛辞を受けている場面。

演奏会でアンとジミーが再会。その後ジミーが養母のメアリー(アイリーン・ハント)を紹介。

ベッシー・ラブとアイリーン・ハントのバストショット~クローズアップ。

かつて生き別れた実の娘だと気付き、メアリーがアンを抱擁する場面。

物語的に偶然に頼り過ぎている感があるものの、監督は手堅い職人肌で知られるW.S.ヴァン・ダイク(『南海の白影』『影無き男』)でそれなりの水準でまとめているのだろうなと思います。恋人たちによる金網越しのやりとり、音楽会の後の再会はいずれも本作の見せ場、遺失した作品のかつての姿を十分にうかがわせてくれます。

[Movie Walker]
若き日の夢

[IMDb]
Forget Me Not