1926 – 『ロイドの福の神』 (パラマウント、サム・テイラー監督) 35ミリ齣フィルム

齣フィルムより

Harold Lloyd’s For Heaven’s Sake (1928, dir/Sam Taylor,
Paramaunt/Harold Lloyd Corporation) 35mm Nitrate Film Fragment

ひょんな成り行きから福祉事業に絡む事になってしまった大富豪(ロイド)の奮闘とロマンスを描いた1926年公開作品、監督はロイド秀作の多くを手掛けてきたサム・テイラーが引き続き担当、ヒロインには『巨人征服』(1923年)以降欠かせない存在となったジョビナ・ラルストンが配されています。

齣フィルムは25枚ほど。下町娘ホープ(ジョビナ・ラルストン)との結婚を快く思っていない旧友たちが富豪青年(ロイド)を拉致し、結婚を思いとどまらせようと説得する場面以降に対応。

伝道所の常連が婚約破棄に激怒、酒に酔った勢いで乗りこんできます。ロイドはこれ幸いと旧友たちの手を逃れ、婚約者の許へと戻ろうとするのですが…

酔った連中は話を聞いてくれず一帯はカオス状態に。何はともあれまずはホープに連絡を入れ自身の無事を告げます。

仲間たちを連れて帰ろうとするも回転扉を抜け出せずひと騒動。大通りに出てからは皆がばらばらに動き始め轢かれそうに。車の往来の合間を縫って助けに駆け寄ります。

何度数えても人数が合いません。慌てていたため衣料店のマネキンを仲間と勘違い。

35ミリ齣フィルムで対応していたのはここまで。教会へ向かう途上のカーチェイス場面に先行した「起承転結」の「転」に当たります。

『福の神』にはインパクトの強い見せ場こそ少ないものの、良く練られた小技が小気味良く繰り出され、流れが綺麗にまとまっており全体の完成度は高いと言えます。また脇役(伝道所にやってくる町のチンピラ、彼等を取り締まる地元警官たち)のキャラ設定が立っていて中盤のモブシーンの面白さに直結していました。

[Movie Walker]


[IMDb]
For Heaven’s Sake