映写機用レンズの肖像 [07]: 独メイヤー・ゲルリッツ社 キノン・スーペリアー I f1.6 40ミリ

Meyer Görlitz Kinon Superior I F1:1.6 40mm for Pathex 200B Projector (Mid 1930s)

レンズ名メーカー名製造国焦点距離F値使用映写機製作時期レンズタイプレンズ構成長さ(鏡胴含む)外径(鏡胴含む)
キノン・スーペリアー Iメイヤー・ゲルリッツ社ドイツ40mm1.6パテックス200B1930年代中盤ペッツバール型3群4枚64.6529.9
前玉タイプ前玉外径前玉厚みスペーサー(間隔環)中玉タイプ中玉外径中玉厚みスペーサー(間隔環)後玉タイプ後玉外径後玉厚み
凸凹ダブレット26.19.115.25メニスカス21.14.21.621.15.0

数々の個性派レンズ(トリオプラン、オレストール、テレメゴール…)で知られている独光学メーカー、メイヤー・ゲルリッツ社が映写機用レンズの主力として製造していたのが「キノン・スーペリアー(Kinon Superior)」です。こちらの個体は焦点距離40ミリ、1930年代半ばの独パテックス社200B映写機に付属していたものです。

この時期の標準だったペッツバール型3群4枚のレンズ構成。前玉がかなりがっしりしていて厚みもあります。

フィルムの映写作例では四隅まで光量が落ちず、中心部分で細やかな質感を再現できていました。ただし画面の中央に比較的近い所から放射状に流れるような動きが見られます。

ミラーレスにマウントして撮影してみました。

キノン・スーペリアーは絞り開放で使用した際に周縁部にグルグルとしたボケが出やすいレンズとして知られています。個性的な写真を狙っている愛好家が探している一本ですが、今回テストした40ミリはそこまで極端な結果は出ませんでした。強い点光源を中央付近に集めるとバブルボケ/グルグルボケがはっきり出てくるのですが、狙い過ぎた感じになるので今回は避けました。

このレンズに関しては後年の焦点距離50ミリが有名で、ミラーレスにマウントした作例が多く紹介されています。昨今の改造レンズブームで入手しにくくなっているものの同レンズを搭載したバウアー社パンタリュクス映写機(Bauer Pantalux)が時折安く中古市場に出てくるので探している方はその辺が狙い目だと思います。

映写機用レンズの肖像 [06]: 仏エルマジ社 マジステール F1.9 45ミリ

Hermagis Magister F=1.9 45mm for Paillard Bolex Type DA Projector (Mid 1930s)

レンズ名メーカー名製造国焦点距離F値使用映写機製作時期レンズタイプレンズ構成長さ(鏡胴含む)外径(鏡胴含む)
マジステール仏エルマジ社フランス45mm1.9ボレックスDA型1930年代中盤ペッツバール型3群4枚46.025.0
前玉タイプ前玉外径前玉厚みスペーサー(間隔環)中玉タイプ中玉外径中玉厚みスペーサー(間隔環)後玉タイプ後玉外径後玉厚み
凸凹ダブレット20.08.0メニスカス22.54.60.522.44.0

パイヤール・ボレックス社の9.5ミリ/16ミリ両用DA型映写機に付属していたレンズ。同映写機はF1.9の40ミリを装備していたD型のアップデート版に当たります。鏡胴の形は他のマジステールとは異なるものの、レンズ構成はペッツバール式で変更はありません。

9.5ミリフィルムを実写してみたときのサンプル画像がこちらです。F1.6/40ミリとF1.9/40ミリがやや褐色気味の柔らかい描写をしていたのと比べ、F1.9/45ミリは彩度が低く、かっちりした印象の絵を返してきます。

ミラーレスにマウントした接写作例。被写体深度はやや深めでピントあわせがしやすいです。彩度が低いため「枯れた」感じの渋いアウトプットになりました。ピントがあっている部分の解像度はF1.9/40ミリより一段階高いものとなっています。

焦点距離40mmを装備しているボレックス社のD型映写機は250ワット光源での映写を前提とした一台です。焦点距離45mmを装備しているDA型は400ワットのランプで映写する形にアップデートされていました。無理に明るさを追求する必要がなくなり描写の精度を重視したレンズづくりに向ったのがF1.9/45mmだった、と見ることもできます。

映写機用レンズの肖像 [05]: 仏エルマジ社 マジステール F1.9 40ミリ

Hermagis Magister F=1.9 40m for Paillard Bolex Type D Projector (Mid 1930s)

レンズ名メーカー名製造国焦点距離F値使用映写機製作時期レンズタイプレンズ構成長さ(鏡胴含む)外径(鏡胴含む)
マジステール仏エルマジ社フランス40mm1.9ボレックスD型1930年代中盤ペッツバール型2群4枚52.025.0
前玉タイプ前玉外径前玉厚みスペーサー(間隔環)中玉タイプ中玉外径中玉厚みスペーサー(間隔環)後玉タイプ後玉外径後玉厚み
凸凹ダブレット25.08.0凸凹ダブレット20.07.5

パイヤール・ボレックス社の9.5ミリ/16ミリ両用D型映写機に付属していたレンズ。9.5ミリフィルムを実写する時に使用しているメイン機の一台でもあるため今回はレンズの分解は行いませんでした。鏡胴の形が異なるもの、同時に紹介しているF1.6の40ミリと同じく2群4枚のペッツバール式となっています。

9.5ミリフィルムを実写した際のサンプル画像。この時はピントあわせが上手くいかず、左側のフォーカスが外れ気味になっています。描写の質感は毛並の柔らかい表現などF1.6の40ミリに近いものがあります。四隅の光量低下が多少目立ち、周辺部に流れるような動きが見られます。

ミラーレスにマウントした際の接写作例。やはりF1.6の40ミリに似た感じ。開放での被写体深度はやや浅目。赤系の発色が鮮やかでピントのあっているやや先で二線ボケが出ています。ただしF1.6の背景に見られた玉ボケは見られず、ソフトに溶けるようなボケが出ています。

コントラストが強くはっきしりした絵面になる一方、白い部分で白飛びが発生。フィルム実写時にも画面上部に似たような傾向が出ているのが分かります。

映写機用レンズの肖像 [04]: 仏エルマジ社 マジステール F1.6 40ミリ

Hermagis Magister F=1.6 40m for Pathé Lux Projector (Early 1930s)

レンズ名メーカー名製造国焦点距離F値使用映写機製作時期レンズタイプレンズ構成長さ(鏡胴含む)外径(鏡胴含む)
マジステール仏エルマジ社フランス40mm1.6パテリュクス映写機1930年代前半ペッツバール型2群4枚50.030.0
前玉タイプ前玉外径前玉厚みスペーサー(間隔環)中玉タイプ中玉外径中玉厚みスペーサー(間隔環)後玉タイプ後玉外径後玉厚み
凸凹ダブレット凸凹ダブレット20.0

2014年にパテ社リュクス映写機のジャンク機体を購入した時に付属していたレンズ。仏パテ社の初期カタログで「エルマジ社製・焦点距離40ミリレンズ(Objectif supérieur foyer 40mm Hermagis)」と記載されているものでカタログ番号はF196、定価は90旧フラン。

レンズのコンディション(特に前玉)があまり良くなく周辺部に汚れが固着しています。今回実写にあわせて再度分解・清掃を行いましたがほとんど変化なし。前玉と後玉がそれぞれユニットになっていて、前玉は正面のリング部分を指で回すと簡単に外れるようになっています。後玉はカニメレンチで外す形。

前玉は色消しのダブレット(凸凹)になっているようですが汚れの固着でフレームから外すことができませんでした。後群も同じく凸凹のダブレットで、2群4枚型のペッツバール式レンズとなっています。

性能比較テストで9.5ミリフィルムを映写したサンプル画像。中心部分は綺麗に映っているのですが周辺部(特に左端から中央下)に乱れが見られます。ダメージがそのまま映写結果に出てしまっている感じですね。

ミラーレスにマウントして接写したサンプル。

ピントが合っている個所のわずかに奥側で二線ボケが出やすく、その近辺に被写体が多いとワシャワシャした感じになります。背景はジワリと滲んでいて全体としては品のあるレンズかなと。背景に点光源があると楕円に近い玉ボケが発生。作例右の画面左端に近い直線の描写にはレンズ汚れ起因と見られる歪みが見て取れました。

映写機用レンズの肖像 [03]: 仏パテ社 リュクス映写機用スタンダードレンズ

Pathé Lux Projector Standard Lens F=32mm (Early 1930s)

レンズ名メーカー名製造国焦点距離F値使用映写機製作時期レンズタイプレンズ構成長さ(鏡胴含む)外径(鏡胴含む)
パテ・リュクス映写機 スタンダードレンズ仏パテ社フランス32mm不明パテリュクス映写機1930年代前半ペッツバール型3群4枚40.030.0
前玉タイプ前玉外径前玉厚みスペーサー(間隔環)中玉タイプ中玉外径中玉厚みスペーサー(間隔環)後玉タイプ後玉外径後玉厚み
凸凹ダブレット15.65.7510.0メニスカス15.35.350.515.12.9

仏パテ社の初期カタログで「焦点距離32ミリの標準レンズ(Objectif ordinaire foyer 32mm)」と記載されているもので、30年代初頭のパテ・リュクス映写機に標準装備されていたもの。単品での市販はしておらずカタログ番号はありません。

パテベビー/キッド映写機用スタンダードレンズと同様4枚のレンズを組みあわせたペッツバール式ですが、ベビー用とは違って中玉と後玉の間に厚さ0.5ミリの薄いスペーサーが噛ませてあって3群4枚の形となっています。レンズ本体は直径で1.5倍ほど大きくなっています。

ベビー映写機用のレンズとは質感が異なり、コントラストをはっきり捉えたかっちり目の描写です。四隅が僅かに暗くなっていますが全体的に緻密な描写で歪みも小。ただし周辺部に流れるような個所も見られます。

ミラーレスカメラにマウントしてマクロ撮影で実写した結果。焦点のあっている部分は繊細かつシャープで、周辺にグルグルボケと歪みも発生。ペッツバール式レンズの癖や特徴が素直に出たアウトプットです。外に持ち運んで遊ぶ分には面白そう。

リュクス映写機用の標準レンズはもう一本所有しています。こちらは鏡胴が金属ではなく樹脂製で色が黒。筒の先端部分に欠けがあるものの映写そのものに影響はありませんでした。オマケで貰ったもので出所が不明、本当にリュクス映写機用かどうかも自信がありません。今回こちらも試し撮りして見ました。

金属鏡胴の個体と比べてややピントが甘く、背後にバブルボケが強く出ています

映写機用レンズの肖像 [02]: パテクソール・クラウス F=25mm

Pathéxor Krauss F=25mm (E. Krauss, Mid-Late 1920s)

レンズ名メーカー名製造国焦点距離F値使用映写機製作時期レンズタイプレンズ構成長さ(鏡胴含む)外径(鏡胴含む)
パテクソール・クラウスE・クラウスフランス25mm不明パテベビー映写機1930年代前半1920年代前半から30年頃3群3枚20.014.0
前玉タイプ前玉外径前玉厚みスペーサー(間隔環)中玉タイプ中玉外径中玉厚みスペーサー(間隔環)後玉タイプ後玉外径後玉厚み
10.01.92.010.52.552.3510.62.1

仏パテ社の初期カタログでは「極短焦点レンズ(Objectif court foyer extra F=25mm)」と記載されている一本で単品でのカタログ番号はF23k、定価は55旧フラン。今回比較テストにあわせて分解清掃、構成を確認したところスタンダードレンズとは異なり3枚3群のトリプレット型でした。

淡く柔らかい感じの発色・描写ですが、標準レンズと比べると一段シャープでケラれもやや目立たなくなっています。ただし標準レンズでは見られなかったフレア気味の部分や、流れるような放射状のボケが一部に発生しています。

以前に別項(「レンズの分解とパテクソール・クラウス f=25mmの話」)でも触れたように、2015年頃、映写機を集めてから割とすぐの時期にスタンダードレンズとの実写比較を行ったことがあります。

この時、パテクソール・クラウスの方は白く霞がかったソフトな感じで描写されていました。

ミラーレスにマウントして接写。クリーニングしたうえで実写に挑んだのですが、ソフトで甘い描写に変化はありませんでした。物足りない感じがしたため別構図で撮ってみました。

被写体深度は浅め、背景側に二線ボケ、手前が流れる感じになっています。ただし浮ついた感じは消えますよね。6年前のテスト結果も考慮に入れるとフレアの出やすい白基調のフィルムを苦手にしているのかな、と。

映写機用レンズの肖像 [01]: 仏パテ社 パテベビー/キッド映写機用スタンダードレンズ

Pathé-Baby Projector Standard Lens F=26mm ( Mid-Late 1920s)

レンズ名メーカー名製造国焦点距離F値使用映写機製作時期レンズタイプレンズ構成長さ(鏡胴含む)外径(鏡胴含む)
パテベビー映写機用 スタンダードレンズ仏パテ社フランス26mm不明パテベビー映写機1920年代前半から30年頃ペッツバール型3群4枚20.014.1
前玉タイプ前玉外径前玉厚みスペーサー(間隔環)中玉タイプ中玉外径中玉厚みスペーサー(間隔環)後玉タイプ後玉外径後玉厚み
凸凹ダブレット11.73.97.0メニスカス11.652.5511.72.2

仏パテ社の初期カタログで「短焦点レンズ(Objectif court foyer F 26mm)」と記載されているタイプで、現存しているパテベビー映写機の多くに標準装備されていたもの。単品でのカタログ番号はF22で定価は20旧フラン。

貼りあわせた2枚の前玉と、後群に凹レンズ+凸レンズを配した3群4枚のペッツバール式。後群の2枚の間にスペーサーはなく、軽く触れる形でセットされているため2群4枚と見ることもできます。

投影した9.5ミリフィルムをミラーレスカメラのセンサーで取りこんだ画像。1930年代以降のレンズと比べるとコントラストが低目で、周辺光量の落ちが目立ちます。歪みや流れは目立ちませんが、レンズの周辺部に行くほど色収差が強くなり滲んだ感じになります。9.5ミリフィルムが得意とする細やかなグラデーションもしっかり再現されており、全長2センチの小さなレンズとしては優秀なアウトプットだと思います。

レンズの向きを逆にしてミラーレスカメラに装着しカスミソウを接写した一枚。ピントが外れた部分の淡い滲み方はフィルム実写と同じ質感。

パテベビー映写機の弟機パテ・キッド用のレンズ(一番上の写真、左端のラッパ型フードが着いた一本)は鏡胴・フード一体型になっていますがレンズとその構成はパテベビー用と同じです。

] 映画の郷 [ 電子工作部:映写機用レンズの実写性能比較システムを作る(02)

映写機用レンズ比較システムの試作機でテストを行いました。テスト対象は仏エルマジ社のマジステール3本とメイヤー・ゲルリッツ社のキノン・スーペリアー。マジステールのF=1:1.6 40ミリは仏パテ社のリュクス映写機、F=1:1.9 40ミリはスイス製パイヤール・ボレックス社のD型映写機、F=1:1.9 45ミリはボレックス社のDA型映写機、キノン・スーペリアーF=1:1.6 40ミリは独パテックス社の200B型映写機についていたものです。

被写体は1922年公開『ちびっこギャング(Our Gang)』の英パテスコープ社抜粋版(「Fickle Flora」10240番)より犬の画像。

[エルマジ社マジステール F=1:1.6 40ミリ]

レンズ中央部付近の解像度は高く、犬の毛並みの質感や土表面の細かな陰影も綺麗に再現されています。周辺部では光量低下(ケラれ)が目立ち、流れるような感じのボケが発生しています。

[エルマジ社マジステール F=1:1.9 40ミリ]

中央で焦点を合わせているはずが何度やっても完全に結像しませんでした。レンズを一旦ばらして清掃しても結果は変わらず。他のレンズと比べて被写界深度が浅く、フィルムに発生しているわずかな凹凸でピントが外れてしまうようです。映写機で実使用する際にもピント合わせがシビアな一本ということになります。左上、左下の隅の光量低下はF=1:1.6 40ミリより大きくなっています。

[エルマジ社マジステール F=1:1.9 45ミリ]

四隅ぎりぎりはさすがに光量が落ちているもののケラレは比較的少なく、周辺部まできっちりピントがあっています。今回試した3本のレンズで実写能力は一番高かったです。画質がシャープで1:1.6 40ミリと比べてやや「硬い」感じの画質。また40ミリの2本が赤みを強調した色の出方をしているのに対し45ミリはモノクローム感が強いです。

[メイヤー・ゲルリッツ社 キノン・スーペリアー F=1:1.6 40ミリ]

「マジステール F=1:1.6 40mm」と「F=1:1.9 40mm」の中間位の画質、でしょうか。マジステールと比べて明るい部分がやや強く出ていてコントラストが強調されています。周縁部のボケ方はマジステール以上に激しく癖があります。

上に挙げたレンズの特徴(ケラれが目立つ、ピントがあいにくい…)は実写時に感覚として分かってくる話ではあります。今回のシステムを練り上げていくと複数のレンズを同一条件で並べた上で違いを可視化でき、必要ならグラフ化、数値化して定量的に比較できるようになります。

今回は試作機の位置付けで、テストによって幾つか問題がでてきました。

1)今回各レンズの焦点距離とF値から計算して3Dプリンタの補助パーツを製作したのですが、どこかで計算を間違ったようで焦点距離35ミリ以下のレンズで思っていた結果になりませんでした。

2)フィルムの平面性。フィルムは巻き癖がついてしまうためやや湾曲しがちで、しかも古い9.5ミリは湿度の影響で表面が凸凹しているものが多いです。一般的な映写機は金属(主に真鍮)のゲージ部でフィルムをサンドイッチ状に挟みこみ平面性を確保していますが、今回は2ヵ所の突起でフィルムを引っ掛けているだけなのでまだその意味で安定していません。

3)システムの精度の問題。今回のテスト方式ではレンズが僅かに斜めになっていただけでも結果が変わってきます。レンズの被写体深度を考慮しても十数ミクロン~数十ミクロンの精度が要求されており、測定ごとにピックテスターで条件を揃える必要がありそうです。

この辺をフィードバックした形で修正を施していく予定です。

ちなみに焦点距離35ミリ以下のレンズでもピントあわせには成功しています。ただし画像がセンサーの四方からはみ出る形になってしまいました。レンズの一番周辺の部分が見切れているため上のデータとは対等には扱えませんが、参考までにリュクス映写機用の32ミリレンズとパテベビー用のスタンダードレンズ、パテクソール・クラウス25ミリレンズの結果も公開しておきます。

リュクス映写機用32ミリとパテベビー用のスタンダードは解像度、ヒストグラム共に似たような結果が出ています。ただしベビー用レンズはサイズが小さいこともあって周辺部での光量低下が目立ちます。パテクソール・クラウスはサイズ的にパテベビー用レンズと同じくらいながらも光量低下が少なく全般的にクリアな映像になっています。

1920年代後半 米パテックス社 パテベビー 9.5mm映写機 PB-Ex モーター付き

映写機 [Projectors]より

Late 1920s US Pathex Baby 9.5mm Projector w/Replaced Motor

2013年に初めて入手したモーター付きのパテベビー映写機。仏パテ社が市販していたモーターは土台後部に設置しベルト2本で動力を伝えていくのですが、こちらの米国仕様は発想が異なっており本体側面に切りこみの穴をあけ、モーターで直接シャッターホイールを回す形になっています。2年程メイン機に使用。酷使したせいもあって2014年末に速度調整用の抵抗が焼き切れてしまいました。

かれこれ6年。先日、ジャンクのモーターを発見。

かなり汚れた状態。モーター自体が破損した訳ではなく配線が切れたまま放置されたように見えます。つなぎ直したら動くかも。クリーニングをして配線を補修、油を差してアップトランスした電源につないでみました。

最初数秒は何も起こらず「ダメかな」と思った瞬間、軸がキュィン、キュィンとゆっくり回り始めます。つまみを時計廻しに回すと音がウィーンと変わり回転数が上がり始めました。長い間使われていなかった古い金属が生き返る瞬間、大したこともしていないのに妙な達成感があります。

映写機の型はPB-Ex。元々A型からG型まで順にアップデートされていたベビー映写機でしたが、E型だけは「輸出用(Export)」の意味を含めて「PB-Ex」と表記されます。側面の金属製エンブレムも絵柄が米パテックス社仕様。

米国式モーターは動力を直に本体に伝えているためロスが少なく、速度の微調整がしやすいのが長所。一方で仏式に比べて重心が高く、速度を上げすぎるとややがたつきが発生、映写中に振動で位置が動いてしまうのが難点です。

2020年は自作スキャナーを回している時間が長く映写機を触る時間があまり取れませんでした。今年はもう少し時間をかけて映写機本体や周辺機器のデータをアップデートしていきます。

[メーカー名]
米パテックス社

[発売時期]
1920年代後半~末

[シリアル番号]
17415

[付属品]
スーパーパテベビーアタッチメント(シリアル:25306)

[対応フィルム長]
10/20/100mリール

[対応電圧]
105〜115V

[コンセント]
US仕様

1974 – 『サムライ – ジャン=ピエール・メルヴィルの映画人生』(Le Cinéma selon Merville、ルイ・ノゲイラ著、セゲルス社) 仏語版初版

« Le Cinéma selon Melville » (1974, Rui Nogueira, First Edition, Ed. Seghers, Paris)

ノゲイラ:この頃すでに9.5ミリの映画を何本か撮られていたんですか。

メルヴィル:初めて手に入れた動画カメラが手回し式のパテーベビーで1924年の1月、私は6才でした。当時パリ9区のショセ・ダンタン通りに住んでいて、初めて撮ったフィルムは自宅の窓から通りを映したものでした。建物の屋根にかかった子供向け石鹸の大きな看板、通りを抜けていく車、小舞踏病にかかった小犬…あの犬は通り向かいに住んでいた素敵な婦人の飼い犬だったかな。[…] 逆にパテーベビー映写機は手離せなくてね。あれ一台あると世界中の映画を自宅で見ることができたので。各作品の粗筋と写真一枚が掲載されていたパテーベビーのレンタル用カタログは世界で一番美しい物でした。西部劇あり、キートン、ロイド、ラングドンにチャップリンのフィルムをサルトーニ写真館で借りたものです。こんな感じで2〜4巻組のフィルムを毎週4、5本見るのが常になっていました。あの熱中ぶりは完全に常軌を逸していたのですが、私の映画の素養の根っこでもあります。

Nogueira: A cette époque, vous avez déjà tourné plusieurs films en 9 mm 5?

Merville: J’ai eu ma première caméra, une Pathé Baby à manivelle, en janvier 1924. J’avais donc six ans. J’habitais alors la Chaussée d’Antin et mon premier film je l’ai fait sur cette rue, de ma fenêtre. On pouvait voir le Bébé Cadum, les voitures qui passaient, un petit chien qui avait la danse de saint Guy, lequel appartenant à une dame charmante, de l’autre côté de la rue. […] je ne me suis jamais lassé de mon Pathé Baby projecteur, puisque je pouvais voir chez moi tous les films du monde. Le catalogue de films de location Pathé Baby, un catalogue énorme avec la résumé et une photo de chaque film, était la chose la plus belle du monde. Il y avait des westerns, tous les Keaton, les Harold Lloyd, les Harry Langdon, les Chaplin, etc. que l’on louait chez un photographe, Sartoni. Ainsi, toutes les semaines je pouvais voir quatre ou cinq films nouveaux de 2, 3 ou 4 bobines. C’était l’amour fou, complètement. La base de ma culture cinématographique.

(Le Cinéma selon Melville, Rui Nogueira, p.18, Ed. Seghers, 1974)

仏フィルム・ノワール界の重鎮(『サムライ』『仁義』『いぬ』)として知られるジャン・ピエール・メルヴィル監督が自身のキャリアを辿りなおしたインタビュー集。2003年に晶文社から邦訳が出ています。同監督が幼い頃パテベビー映写機/撮影機と出会ったエピソードが含まれているのでその部分をご紹介。

入手したのは15年以上昔の話。「メルヴィルの選ぶ戦前ハリウッド監督63傑」のリスト目当てで学生時代に数年かけて見つけ出しました。

リスト以上に印象深かったのが動画カメラと映写機のエピソードでした。フランスではトリュフォー監督も少年時代にパテベビーのカメラを使っていました。お気に入りの監督が二人も「パテーベビー」を経由して映画世界に入ってきている、一体どんなものなのだろう…気になりつつもいきなり戦前の映写機を使う発想には至らず数年が経過。頭の片隅にひっかった疑問は消えず、上手く動かなくてもいいからひとまず一台手に入れてみよう、と中古のパテベビーを購入したのがかれこれ10年前。

当初は失敗ばかりでしたが経験値を上げていけばどうにかなるもので、9.5ミリの実写やデジタル化は今の自分の生活に溶けこんでいます。第一歩を後押ししたのはこのインタビュー集で、その意味で人生を変えた一冊になるのかな、と。

1930年代中盤 仏パテ社 Lux(リュクス/ルックス) 9.5mm映写機 YC型

映写機 [Projectors]より

c1933 Pathé Lux 9,5mm Silent Projector Type YC

パテベビー映写機の後継機として1930年代初頭に発売されたのがリュクス映写機(日本では「ルックス」表記)でした。1931年のYA型に始まり30年代中盤まで幾度かのモデルチェンジを行っており、今回入手した機体は1933年に市販されたYC型となっています。後期型の大きな変更点は以下の3点。

1)劣化しやすく不評だった合金製のフィルムゲート部の改良
2)100Wおよび150Wランプへの対応とランプハウスの大型化
3)排熱機構の強化

社名をあしらった金属プレートや電流計のデザインが変更されるなど他にもマイナーチェンジ多数。

錆び付きや汚れ、細かなペイントロスが見られ幾つかのパーツ(背面のプレート、ランプハウスの屋根)が欠品しているなど完璧なコンディションではありませんでした。欠品パーツに関しては手持ちのスペアで対応。フィルム送りのメカニズムや光学系は生きていて実写できる状態でした。

レンズはベーシックなタイプの仏パテ社オリジナルレンズ(F=32mm)。当時のカタログを見るとスクリーンとの距離10メートルまでの映写に対応しており、1メートルの距離だと21×16センチ程度、4メートルの距離で96×72センチ程度の出力ができたそうです。パテ社オリジナルレンズを含め5種類のレンズ・オプションがあった話はまた次回に触れていきます。

黄色い線の辺りにベビー映写機が隠れています

リュクス映写機を側面から見てみます。小さいハンドクランクの部分に10/20mフィルムの格納部分があってその下にレンズ、さらにフィルム送り機能を収めた箱、送られてきたフィルムを収納するスペース、一番下に変圧器を組みこんだ土台と続いていきます。この構造はパテベビー映写機そのままで、リュクス映写機には30年代インダストリアルデザインに進化したベビー映写機が隠されていると見る事もできます。

リュクス映写機は日本にも輸入されていました。ベビー映写機の倍以上の価格設定で、安価な国産9.5ミリ映写機の普及と重なったため流通は限定的でした。映写時にフィルムを焼いてしまうリスクが高く、モーター音が大きいなど改良すべき点が多く数年後には後継機種に代わられていったものの、仏パテ社の創意が詰めこまれている映写機だと思います。

[メーカー名]
仏パテ社

[発売時期]
1933年

[シリアル番号]
21274 YC

[対応ランプ]
O型(115V 50W)
S型(115V 100W)
SS型(115V 150W)

[対応電圧]
90〜130V

[レンズ]
パテ・パリ F=32mm

1938 – 『パテータイムス 第三巻第二號』 「救國の乙女ジャンヌ・ダーク(『ジャンヌ・ダルクの驚異の一生』)」紹介

『ジャンヌ・ダルクの驚異の一生』より

Pathe Times 1938 February Issue
« Presents La Merveilleuse Vie de Jeanne D’Arc »

戦前に9.5ミリ小型映画の愛好家向けに発売されていた冊子では『パテベビー月報』、『ベビーシネマ』、『日本パテーシネ』、『パテータイムス』などが知られています。このうち『パテータイムス』昭和13年(1938年)の2月号で、「救國の乙女ジヤンヌ・ダーク」が取り上げられていました。

本文中に「パテスコープ提供」「特大二巻」「タイトル [間字幕] は英文」とあるように、英パテスコープ社が『聖ジャンヌ(St Joan the Maid)』として発売していた2巻物の英縮約版を輸入販売したものです。

齢二十に満たぬ一介の乙女が祖國フランスを救ひ世界の奇蹟として今尚人口に膾炙する聖少女ジヤンヌ・ダルクの悲壮な行為を史實に依り、叙事詩的に描いた雄篇。しかも九ミリ半愛好者に手頃な特大2巻に壓縮され乍ら些かも無理な感じのない近来の傑作です。學校用としては歴史科、修身科教材として應用でき、御家庭、アマチユアの集會には觀賞用として洋畫飢饉の昨今必ずや皆様を堪能せしめませう。

時は今純戦時状態に入り國民精神總動員愈々徹底されて居りますが、斯る崇高な祖國愛の事蹟に接するは絶對必要ではありますまいか。その意味に於ても本映畫を御觀賞されることを敢えてお奨めいたします。

以上の2段落の紹介文があった後、フィルム前半に当たる第一巻の字幕の日本語訳が丸々掲載されています。

『ジャンヌ・ダルクの驚異の一生』は日本で劇場公開されておらず、戦前に日本語で言及された文章を見たことはありませんでした。戦時下の「祖國愛」を鼓舞する形ではあるものの、9.5ミリフィルム経由で紹介が行われていたのを確認できたのは収穫でした。

また今年のNHK連続テレビ小説『エール』にパテベビー撮影機が登場した話は御存じかと思われます。本号のパテータイムスでは古関裕而氏を「この天才作曲家古關氏が熱心を通り越したとも評さるべき九ミリ半アマチユアであることを御承知の人はあまり多くはない。氏はコンテスト等には殆ど出品せぬが默々として素晴らしい九ミリ半映畫をつくつてゐる」と紹介しています。

時は1938年。戦時下となった緊張感や不安感が見え隠れする一冊でもあります。それでもまだ「供給に餘裕ある九ミリ半フヰルム」の見通しが述べられていました。いかに楽観的だったかを翌年思い知らされるわけで、日本における9.5ミリ文化が潰えようとするギリギリの瞬間が記録されています。

1930年代中盤 中村パテー商会 パテースコープ5型 9.5/16ミリ両用映写機

Mid 1930s Nakamura Pathe co., N.M. Pathe Scope 9.5-16mm Silent Projector Model 5

1930年代に日本の中村パテー商会が製造・販売していた9.5ミリ/16ミリ両用のサイレント映写機。シリアル番号は7004。

レンズは五藤光学研究所のF=50mmを使用。ランプは75V500W。

土台部分に3つのスイッチがあって左から順にM(モーター)、L(ライト)、P(パイロットランプ)。メインホイール側の側面にある二つのつまみがモーターの回転数と光量調整用。背面の下にノブがあって左右に回すと映写機の仰角を調整できます。


9.5ミリと16ミリの切り替えはゲージ等関連パーツを取り換えることで可能。金具の形状などボレックスDA〜G916映写機に似ています。一方で金属製ベルトをねじって掛ける形はパテックス社200B映写機に影響を受けています。

「モーターが動いたり動かなかったりする」という状態で入手。コードを繋いでスイッチを入れると確かに反応したりしなかったり。動いている時も回転数が不安定で火花が飛んでいます。

モーター部のカバーを外してみました。ブラシ式のモーターでルーターを挟みこむようにカーボン製のブラシがセットされています。このブラシの劣化・摩耗が火花、接触不良の原因かもしれません。交換して結果を見てみたいと思います。

折角の機会ですので他の部分もメンテナンスしておきます。モーターの軸は逆側で冷却ファンを回転させています。こちらもかなり埃がたまっていました。

今の状態であまり長く動かしたくはないのですが、フィルム送りの確認も兼ねて数分回してみました。数十センチ前の壁に映写したため小さくしか映っていませんがレンズ自体は良い感じ。F=50ですので3メートルの距離で映写すると綺麗に映せそうでした。

昭和11年(1936年)-『パテーベビー月報 第73号』

Pathé Baby Monthly No.73 (1936 March Issue)

大阪(南区安堂寺橋通り)に拠点を置いていたパテーベビー月報社が発行していた9.5ミリ小型映画専門冊子。16頁で年間購読料は24銭となっています。

以前に紹介した同年5月第75号は『メトロポリス』や『ハンガリー狂想曲』を中心とした構成でドイツ映画色が強い内容でした。紙面で触れられているように本号は3月10日の陸軍記念日を意識した軍事色の濃いものとなっています。

メイン企画は寶塚キネマ製作の『孝子五郎正宗』(S-403、特大鑵4巻)。紹介1頁に次いで3頁を費やして全字幕を掲載しています。

第二特集は「三月十日の陸軍記念日には」。
・『日露戰争回顧錄』(S-420、特大鑵3巻)
・『草に祈る』(G-256、特大鑵3巻)
・『戰友』(S-389、特大鑵1巻)
・『吉岡大佐』 (S-444、特大鑵1巻)
・『橘中佐』(S-446、特大鑵1巻)

それ以外の紙面は広告となっています。アルマ映写機、エクラA型映写機、コロネット撮影機など1936年のトレンドが伝わってくるラインナップでした。

パテベビー映写機・解体新書 [簡易版]

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5月末にジャンク扱いのパテベビー映写機を3台入手しました。どれも欠品や破損が目立ち実写には使えませんでしたがパーツ取りして一台分の組立てに挑戦。写真撮影を含めて1時間半くらいかかっています。

こちらの記事は簡易版で、個々のパーツの役割や組立て時の注意点は別項にまとめていきます。


1)背面部を取りつける [詳細版]

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鉤爪の機構を含んだ背面部を取りつけていきます。スプリングを正しく装着しないと映写できなくなるデリケートな部分です。

2)シャッター羽根を取りつける [詳細版]

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円形のシャッター羽根(3Dプリンタでの自作代用品)と、おにぎり型の変形ギアを噛みあわせていきます。1)と並んでパテベビー映写機の組み立てでは一番難易度が高い作業です。

3)正面部を取りつける [詳細版]

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4)ランプハウスを取りつける [詳細版]

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5)ギアカバーを取りつける [詳細版]

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6)土台部を取りつける [詳細版]

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7)蓋部分を取りつける [詳細版]

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8)フィルム保護用のガラスパーツを取りつける [詳細版]

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以上で基本的な流れは完了します。それ以外にもパテベビー映写機の実使用で役に立つノウハウは色々あります。折角ですのでこの機会にまとめてみることにしました。

補足1)ノッチ機構の仕組みを理解する [詳細版]

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補足2)レンズの分解とパテクソール・クラウス f=25mmの話 [詳細版]

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補足3)鉤爪によるフィルム送りの仕組み [詳細版]

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補足4)コンセントの形状と電圧の問題 [詳細版]

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補足5)ベビー映写機専用ランプについて [詳細版]

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補足6)カタログとマニュアル類


] 映画の郷 [ 電子工作部:パテベビー映写機のシャッター羽根を自作する

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1920年代に設計・市販されたパテベビー映写機は、本体のほとんどが金属製となっています。樹脂パーツを使っていないため寿命が非常に長く、一世紀近く経った今でも現役の機体も少なくありません。

そんなパテベビー映写機の最大の弱点として知られているのが円形のシャッターです。

元々の材質は金属なのですが、遠心力で回りやすくするため重さを確保する必要があって他のパーツと異なった材質が使われています。この素材が曲者で、早くからひび割れを起こしたり膨張して映写機内一杯に広がってギアを動かなくしたり多くの問題を引き起こしています。

手元の4台のパテベビー映写機で、1台がシャッター羽根を外した状態になっていました。この個体用に3Dプリンタでシャッターを自作してみました。

Replacement Shutter for Pathe Baby Projector

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Tinkercadでデザインしたデータを印刷し、塗装までしたのがこちら。

まずは六角レンチを使って映写機正面のナット(大、銀色)を外していきます。ナットとワッシャーを外すと本体のケース部分を取り外すことができます。

続いてシャッター羽根と軸を受ける板を外していきます。ナット(小、金色)2個を外し、横長の長方形の板をそっと手前に引き抜いていきます。軸の先端が見えますので、シャッター羽根をギザギザの滑り止めが付いた部分に差しこんでいきます。

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分解した手順を逆に戻って組み立て直していきます。金色のナットを固定する際、緩すぎたり逆に固定しすぎたりすると羽根が回らなくなりますので、クランクを回して動作確認しながら組み立てを行っていきます。

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ケース部分と蓋の部分を戻して作業完了。一時間ほどかかりました。パテベビー映写機の分解・組立ては何度か経験があるためそこまで時間はかかりませんでしたが、久しぶりだったため作業の手順を一部忘れて居たところもあって途中何度かヒヤッとしました。

] 映画の郷 [ 電子工作部:戦前9.5mmアルマ映写機のパーツを3Dプリンターで自作する

1月から3Dプリンターを使い始めていて、ようやく何ができて何ができないか分かるようになってきました。そこで先日、国産のアルマ9.5ミリ映写機のランプハウスのフード自作に挑戦。ふたつのパーツを別々に印刷して接着剤で貼りつける形になっています。

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成形が完了したのが上の写真。傾斜の部分に凸凹が見られます。

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パテで穴埋めした後に黒で塗装。左がデザインの下になったオリジナルのフード。右が今回自作したものです。オリジナルは一部に金属が使われています。

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完成品をランプハウスに乗せてみました。

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裏側から見るとこんな感じ。

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元々フードがあったアルマB型(手前)と今回自作パーツで補完したアルマA型(奥)。思った以上にデザインが複雑だったため完全コピーとはいきませんでした。違和感はそこまでないかな、と。戦前映写機のパーツを自作できるとリストアがはかどりそうです。

◇◇◇

合間に9.5mmフィルム用ホルダーも作ってみました。

フィルムが増えてくると管理が難しくなってきて、時に行方不明者も出てくる事態に。紐を通してまとめることが多いのですが、それだと真っ直ぐに並ばずに今度はケースの中でごちゃごちゃしてしまうのです。タグをつけて内容が分かるようにしつつ、整理しやすいようにとこの形になりました。フィルムケース穴に棒を通して端を円形パーツで留めるだけですがとても便利です。

1932年 仏パテ社 映写機・撮影機および周辺機器カタログ&定価表

pathe-baby-tarif-general-france01pathe-baby-tarif-general-france02左列にカタログナンバー、中央列に商品名と簡易スペック、右列に旧フランでの価格。

1ページ目に映写機とスクリーン、2ページ目に周辺機器、3~4ページ目に自家現像用の商品と続いていきます。当時のパテベビー映写機の価格は約600旧フランでした。これは現在の金額に換算すると5万2千円強(400ユーロ弱)に相当するそうです。

金額だけ見るとそんなものかとも思いますが、労働者の平均時給が3.19旧フラン(280円程度)、朝刊を0.3旧フラン(約26円)で買えた時代の話ですのでやはり高価なものだった様子がうかがえます。

1930年代初頭 日本 パテベビー映写機 チラシ

二つ折り見開き4ページ、出版社名明記なし。パテベビー映写機、キッド、リュクスの3台を中心としたラインナップで1932年前後と思われます。ベビー映写機75円、キッド映写機が29円、リュクス映写機が165円、手回し式カメラ(レンズF=3.5)45円、モトカメラ115円の価格設定となっています。

仏パテ社 パテベビー映写機 メンテナンスキット

1920s - Pathé Baby nécessaire d'entretien
1920年代 パテベビー映写機メンテナンスキット
パテベビー映写機のクリーニングやメンテナンスに必要な道具一式をまとめたもの。

1)マイナスドライバー
2)埃を除去ための筆
3)シャモア革のクロス
4)真鍮製のオイル差し
5)象牙製と思われるヘラ

5つの道具が含まれています(クロスは箱にしまったまま)。当初は紙製の箱入りで後に金属製の缶入りに変更されました。パテ社の製品カタログではカタログ番号F20が振られています(価格は15旧フラン)。