1929年 日活・撮影稲荷前の女優揃え(『婦女界』昭和4年2月号)

1929年日活・撮影稲荷前の女優揃え

京都太秦の日活撮影所内に祀つてあります撮影稲荷の前に集まつた、日活の時代劇部と現代劇部の女優さんたちです。後列右より入江たか子津島るい子鈴川和子衣川光子、櫻井秀子、村松高子、前列右が常盤みどりで左が一色あけみさん。

『婦女界』1929年(昭和4年)2月号「婦女界グラフ 映画女優の生活 その一」

齣フィルムを収める小袋として使用されていた『婦女界』掲載の写真。二つの齣フィルム用に割かれていたのを画像加工でくっつけています。

右脇で存在感を放つおたかさんと左端を〆る横田永之助氏の圧で面白い構図に仕上がりました。今の三吉稲荷が出来る以前、太秦撮影所内にも稲荷があったんですね。村松高子さんはjmdbで「松村」と登録、「櫻井秀子」は櫻井京子かな。そろそろ無声映画の黄金期が終わりトーキーの足音が聞こえてきます。1925年(大正14年)の日活女優揃えと並べたい一枚ですね。

1929年頃 齣フィルム『時代劇マーク大会(大乱闘劇・大猛闘劇)』5冊254枚

1929年 齣フィルム『時代劇マーク大会(大乱闘劇・大猛闘劇)』
元々35ミリフィルムはコレクション対象から外しておりいわゆる「齣フィルム」も手元にありませんでした。ところが先日まとまった未使用の束が売られており、今回手に入れてみることにしました。

厳密な意味の「齣フィルム」は映写で実使用された35ミリフィルムをぶつ切りにして市販したり駄菓子屋の景品として扱ったりしたものでした。そういった古い「齣フィルム」のコレクションを見ていると、作品名と主役俳優を前に出したポスター風のフィルムが時折混じっています。あれは何だろうと常々思っていたのですが、どうやら当時(少なくとも業者から)「マーク」と呼ばれていた物に当たるようです。

1929年 『時代劇マーク大会』包み紙1929年 『時代劇マーク大会』フィルム
こちらは無声映画の有名時代劇の「マーク」が当たる駄菓子屋の引き物です。全く手つかずの状態で50枚を一束にした同じロットが5つありました。一つ一つが雑誌の紙を折って糊付けした袋に入っており、なおかつチラシも兼ねた小さな紙片にくるまれて中が見えないようになっています。後に触れる理由から1929年に制作されたものと推測され、1927~28年頃に公開された時代劇が中心となっています。

扱っている作品は河部五郎、大河内伝次郎、阪東妻三郎、林長二郎、市川百々乃助の5人の俳優の主演作のみ。

全ての袋を空けて(後で全部戻しました)統計を取った所、興味深い分析結果がでてきました。

1)各束に1つずつ、フィルムが2枚入った「当たり」がある(そのため合計枚数が250枚より多い)
2)俳優にもレア度があって、河部五郎が一番レア度が低く、市川百々乃助と林長二郎のレア度が高い
3)各俳優ごとの出演作でも出現率に濃淡があり、繰り返し出てくる作品と滅多に出てこない作品がある
4)タイトルやデザインに厨二病的な雰囲気があるものはレア度が高い

河部五郎主演『鬼傑の叫び』
河部五郎主演『鬼傑の叫び』
大河内伝次郎主演『血煙り高田馬場』
大河内伝次郎主演『血煙り高田馬場』
阪東妻三郎主演『血染めの十字架』
阪東妻三郎主演『血染めの十字架』
阪東妻三郎主演『阪本龍馬』
阪東妻三郎主演『阪本龍馬』
市川百々乃助主演『怪兇刄』
市川百々乃助主演『怪兇刄』
林長二郎主演『乱軍』
林長二郎主演『乱軍』
林長二郎主演『かゞり火』
林長二郎主演『かゞり火』

『鬼傑の叫び』はこのデザインで2枚含まれていて(出現率0.8%)、残りの5種は1枚ずつしか出てきませんでした。出現率0.4%はなかなかシビアな数字で幼い子供の射幸心を煽りたてています。

フィルムを個包装していた小袋は1929年『婦女界』2月号を再利用しています。コスト面からわざわざ雑誌を買ったとは考えにくく、手元にあった雑誌を流用したと思われます。当時の女性が行っていた内職の一つだったのではないでしょうか。

フィルム全てのスキャン画像と分析データは後日別記事で掲載する予定です。

1910年代末 – 尾上松之助 『今戸大八』&『平井権八』 幻灯用 齣ガラススライド 4枚

Late 1910s – 4 Magic Lantern Glass Slides
Onoe Matsunosuke in Imado Daihachi (1917) & Hirai Gonpachi (1916)

1910年代末と思われる幻灯用の齣ガラススライド4点。

フィルムを基にしたこの種のスライドについては神戸大学の福島可奈子氏が「大正期から昭和初期における齣フィルムの蒐集と文化」(『映像学』2018年99巻)で言及されており、1917年に活動写真興行取締規則が施行された際に映画館から締め出された子供をメインターゲットに発売された、との指摘がなされています。

今回入手したのは『今戸大八』(1917年9月公開)『平井権八』(1916年5月公開)の一場面をあしらったもの。コンディションは良くありませんが赤や緑?、水色や黄土色の彩色が一部残っています。