1919 – 連続活劇 『ティーミン』 (ルイ・フイヤード監督)仏語小説版 ロマン・シネマ全12冊揃

「ルイ・フイヤード」より

« Tih-Minh » (1918, Gaumont, dir/Louis Feuillade)
1919 « Romans-Cinéma » French Novelization

2004年、米映画批評家のジョナサン・ローゼンバウム氏が自著の『エッセンシャル・シネマ』でお気に入りの作品千本をリストアップしました。国外の映画愛好家が「このうち何本見れるか」とチャレンジする機会も多く、英語圏では大きな影響力を持っています。同リストには94本の無声映画が含まれており、グリフィスの7作とキートンの6作に次いで多く取り上げられていた監督がフイヤード(5作)でした。

『ティーミン』(1918年)はフイヤード監督が第一次大戦後に初めて手掛けた連続活劇となります。全12話、トータル5時間ほどの上映時間。ゴーモン社が35ミリポジを保管しており2018年から4Kデジタル修復プロジェクトが始動、一般公開から百年目となる2019年に最新デジタル版が完成しました。

『ティーミン』の各エピソード公開にあわせ、毎週木曜日に小説版も出版されていました。24頁ページの冊子形式で、表紙は二色刷り。小説版は単に映像を文字に起こしただけではなく映画版で言葉不足のまま展開されていた個所が説明されています。

フイヤード活劇史において『ティーミン』は物語の「語り」を変える意識が表面化してきた一作となります。

前半4エピソードの主人公はどのような事件に巻きこまれているかを知らず防戦一方となっていて目につくアクションの要素が希薄。中盤4エピソードでは新登場のキャラクター(フランシス)を迎え次第に反撃に向かい、後半に敵を壊滅させる流れになっています。初期作と比べるとスロースタートな展開ながら計5時間の流れを配慮した起承転結と全体の完成度を意識。この傾向は次作『バラバス』にも継承されていくものです。

『ティーミン』のゆったりした物語の流れは同作の弱点にもなっている部分です。旧来の連続活劇のめくるめくアクションやジェットコースター的展開を期待していると肩透かしを食らいます。逆に活劇ジャンルを幼稚とみなしていた一部の映画愛好家がこの作品で初めて活劇を評価した例が見られます。型通りの連続活劇は十分に観てきたという中級~上級者、主流からは外れながらも個性のある活劇を見たいという方が楽しめそうな作品になっています。

2020年ボローニャ復元映画祭でデジタル修復版が上映された際に2021年末にDVD版が発売される旨が告知されており、今後フイヤード活劇再発見の中心となっていくのではないかと期待されます。日本語環境で見れる機会がいつになるか分かりませんので最後に各章の要約を付しておきます(各章のスクリーンショットはGPアーカイヴより)。全体の流れはある程度掴めるのではないでしょうか。

[IMDb]
Tih Minh

[Movie Walker]


[公開]
1919年2月~4月

[出版社]
ルネッサンス・デュ・リーヴル社

付録:連続活劇『ティーミン』各章要約

プロローグ:

冒険家ジャック・アティス(ルネ・クレステ)がインドシナから帰国、車から降りてきた青年の隣には黒髪の女性の姿。現地で世話になったティーミン(マリ・アラルド)であつた。互いに憎からず思っていた二人の運命を一通の電報が変えてしまう。ジャックは単身インドヘと向かわなくてはならなくなった。名残を惜しむ中、ふと不吉な予感に苛まれるティーミンであつた。

第1話:忘却薬

インドでの仕事を終えて帰途についたジャック。しかし彼の動きをこっそり追っている怪しげな一団。ジャックがインドで手に入れた一冊の書籍を狙っているようである。悪党団の狙いは見返しに残されたインド語の手書き文書。まずはキストナ(ルイ・ルーバ)が世間話に紛れて書籍を借りようと試みるが、ジャックの下男(ビスコ)がいたずら書きと勘違いして文章を消してしまったため失敗。悪党達はティーミンを拉致、催眠術をかけて彼女に紙片を奪わせようと試みる。だがしかしティーミンは無意識で抗い言なりにはならなかつた。悪党団は薬を飲ませ女の記憶を消すとジャックの元に返すのあつた。

第2話:事件は夜に二度起きる

インド語のメッセージを書き写した紙片があると知ったキストナ一団はその強奪を計画。「事件の真相を教える」を口実に海岸までジャックを呼び出してから溺死させようと画策。謀略を感じたジャックは下男プラシッドに身代わりを依頼し海岸へと行ってもらい、自身は部屋の薄暗がりに隠れて約束の時間を待つ。部屋の窓から侵入してきた一つの影。机を物色したところを取り押さえたところ以前にキストナという人物から紹介されたサンタフェ侯爵夫人ではないか。女から事情を聞こうとするも、一瞬の隙をついて逃げられてしまうのであつた。

第3話:シルケー館の秘密

記憶を失ったティーミンは病院で療養しながら次第に体調を取り戻していつた。悪党の一味は再度女を拐して紙片との交換条件にしようと画策。ティーミンを見張っていたアティス家の下女ロゼッタの気を逸らしている間に誘拐に成功。一方、キストナを疑い始めていたジャックは下男プラシッド共にキルケー館に潜入、地下室に幽閉されている多数の女を発見。表情は一様にうつろだった。最近巷で多発していた婦女子誘拐事件の被害者だと気づくまで時間はかからなかった。館の一角には怪しげな薬品を調合しているキストナの姿。いったんは館を離れようと試みた二人だったが、プラシッドが庭に仕掛けられた罠に掛かってしまう。館に鳴り響いた警報音。「私を殺すまではしないでしょう。行ってください」、プラシッドの言葉にジャックはその場を離れるのであつた。

第4話:ケースに潜む男

囚われの身となったプラシッドだったが機転を利かせ薬品をすり替えたのが功を奏し、意識を失わずに済んだ。服を運ぶための籠の底に身を隠す。使用人たちは何も気づかず籠を車を乗せた。行先は悪漢が秘密の拠点としているコートダジュールの豪邸であった。プラシッドは館の二階に幽閉されていたティーミンを発見。薬を飲まされていたが動けるようではあった。プラシッドは女を誘導して小舟に乗せ無事脱出に成功、ティーミンをジャックのもとに送り届けるのであった。ジャックは旧友の外交官フランシス(エドゥアール・マテ)に連絡をとり、ヒンディー語文章の解読を試みる。

第5話:精神病院にて

英国から到着したフランシスだったが、駅では悪漢たちが先回りして待っていた。「迎えに来ました」に騙されて乗った車の行先は精神病院であった。悪党一味のジルソン(ガストン・ミシェル)はフランシスの叔父だと身元を偽って「甥に妄想癖があって」と病院長に説明をしていた。病院職員たちはフランシスを独房に閉じこめてしまう。奸計を見抜いたジャック達は病院に乗りこみ友人の救出に成功。フランシスによるとヒンドゥー語の文章は「第29文書」と呼ばれる国家機密で、英仏の国防にも関わるこの書類の入手を目論んで独スパイが暗躍しているとの話だった。

第6話:夜鳥

「第29文書」がフランシスの手に渡ったと知った悪党団は狙いを外交官に変える。フランシスの執事として雇われた青年は隣室で働いている美しい小間使いに心を奪われてしまう。この小間使いに変装していたのはドロレス侯爵夫人だった。ドロレスは執事を薬で意識不明にさせると部屋の物色を始めた。だが帰宅したフランシスにつかまってしまう。ジャックは女を尋問し悪党団の所在地を突き止めようと試みる。

第7話:よみがえる記憶

旧知の医学者クルーゼルの力を借り、ドロレスに催眠をかけて尋問を開始。「機密文書の存在をどうやって知った?」女の口から語られたのは、かつて仏領インドシナで起こったある事件の話だった。当時ローランソンという外交官がトンキンに赴任していたが、在任中に老いた地元民からラジャーの隠し財産と欧州の国防に関わる秘密を記した書籍の存在を知らされる。その時の会話に偶然立ち会ったのがドイツの間諜ジルソンであった。深夜、ジルソンは外交官宅に侵入し秘密の書かれた書類を奪おうとするが見つかってしまう。ジルソンはローランソンを射殺し逃亡。このローランソンこそティーミンの父であった。女の告白を聞いていたティーミンは次第に過去の記憶を取り戻していく。

第8話:ヴェールの下に

悪党団は反撃の機会を狙っていた。ドロレスを奪い返したのち、次の目標はティーミンだった。尼僧に変装したキストナがジャック宅に入りこむのに成功。ティーミンを銃で脅して機密書類の在りかを白状させようとした。危うく命を失いかけたティーミンたちであるが、執事プラシッドとその婚約者ロゼット(ジャンヌ・ロレット)の活躍で悪人たちの撃退に成功する。

第9話:慈悲の枝

一旦は平穏を取り戻したかに見えたジャック達。だが悪党一味は次の襲撃機会を狙っていた。内通者として潜りこませた小間使いを通じてジャック達の動きは筒抜けだった。ジャックとフランシスが悪漢の捕縛に向かおうとした時ティーミンも同行を望んだのだが「危険さに晒す訳にいかない」と断られてしまう。諦めきれないティーミンは荷物の片隅に隠れこっそり後を追おうとするが、その動きをキャッチした悪党団が反撃に出る。

第10話:13日の金曜日

キストナは「金曜日」の伝言を付した白い粉末を内通者に送りジャック達を人事不詳に陥れようと試みる。小間使いの一人が敵に通じていると知ったジャックは謀略を逆手に取り、騙された振りをして悪党一味をおびき寄せようと試みる。金曜、何も知らずやってきたキストナ達を返り討ちにするのだが、一党が退却中にティーミンと鉢あわせとなり、これ幸いとばかりに女を拉致しようと試みる。再度危地に陥ったティーミンを救ったのは意外な人物であった。

第11話:第29文書

ジャック達の尽力が実り、スパイたちへの包囲網が着々と完成しつつあった。だがキストナ一味は最後の反撃を試みる。早朝、まだ就寝中のフランシスの部屋を襲い身動きをとれなくしてしまう。英国からフランソワ宛に届いた書簡を見ると第29文書がすでに無効化された旨が記されていた。「もはやこれまでか」。フランソワを救出にやってきたジャック、プラシッドらに追われ悪漢たちはアパルトマンの屋根伝いに逃走を試みる。

第12話:正義の鉄槌

ジャック達は車で逃走したスパイ団を追跡していく。逃げ場を失った悪党たちは次第に仲間割れを始めていた。最後に残ったキストナとジルソンの二人もまた互いを警戒しながらの逃避行を続けていく。車のガソリンが切れ、徒歩での移動を強いられたジルソンは地元の採掘場で使われていた鉱石を運ぶケーブルカーを思い出した。何としても逃げ切りたい悪党一味とそれを必死で追うジャックと仲間たち。最後の追跡劇、ジャックを待つティーミンらの想いの行方や如何に。

1920 – 連続活劇『虎の足跡』 (ルース・ローランド主演、1919年)ロマン・シネマ叢書・仏語版

亡き父の旧友でもある鉱山王ゴルドンを訪ね、ボストンに向かっていたベル・ボイド嬢は汽車で親切な青年ランデルと知り合いになつた。話を聞くとその鉱山王の下で働いている技師とのことであつた。

道中二人が仲良く話しているその時、件の鉱山王は秘かな策略を張りめぐらせていた。ゴルドンとベルの父親、そしてもう一人の友人の3人がかつてインドで交わし、3つに割いてそれぞれに持ち帰った「契約書」を集め直そうとしていたのである。自宅に招待したベル嬢を息子と結婚させて懐柔しようとしたが、嬢は何としても首を縦には降らなかつた。

このやりとりを物陰で聴いていたのは女中ヒルダであつた。女はゴルドン家を離れると鉱山労働者たちの集う一角へ向かつた。外国人労働者が大半を占める中、一人白人の男がいた。彼こそがかつてゴルドン、ベルの父親と共に契約を交わした「虎の面」であった。男はヒルダとその仲間に命じてベル嬢の拉致を試みる。危難に陥った嬢を救おうとするのは青年ランデルただ一人であつた…

1910年代後半~20年代初頭のルース・ローランドは米パテ社連続活劇の稼ぎ頭としてパール・ホワイトに肉薄する勢いを見せていました。『覆面の呪』『幽霊騎手』『虎の足跡』『ルスの冒険』『森林女王』など多くの作品が日本でも公開されています。しかしその出演作はほとんどが断片でしか現存しておらず、映画祭などで上映される機会も少ないため評価されにくくなっているのが現状です。

『虎の足跡』のフランス語小説版はスチル写真を多く採録。蒸気機関車を絡めた追跡場面、谷間に張ったロープでスルスルと移動していく場面など活劇の「お約束」がきちんと守られているのが分かります。作品中盤では悪漢が丸太で扉を破っているシャイニング風の展開もありますね。

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大手パテ社が配給を手掛け大々的に宣伝していただけあってセットや衣装もしっかりしています。猪俣勝人氏『世界映画名作全史 戦前編』では「名金」、「鉄の爪」と「虎の足跡」の3作が活劇枠で紹介されていましたが、日本の愛好家にも良い印象を残した作品だったようです。

Serial Squadronが公開している現存フィルム断片

[タイトル]
Le Tigre sacré

[出版年]
1920年

[出版者]
ルネサンス・ドュ・リーヴル

[叢書]
ロマン・シネマ

[ページ数]
240頁

[サイズ]
16.5 x 24.5 cm

[原題]
The Tiger’s Trail (1919)

[製作]
アストラ映画社

[配給]
パテ社

大正9年 (1920年) アントニオ・モレノ&ポーリン・カーリー主演『見えざる手』 仏語小説版

1919-20 The Invisible Hand (Vitagraph) French Novelisation Cover

1919年末から20年に公開された15章仕立ての連続活劇。日本でも1921年に『見えざる手』として公開されており、法令館キネマ文庫からは日本語小説版が発売されていました。

美形男優として人気のあったアントニオ・モレノ、フェアバンクスや早川雪洲との共演で注目を浴びつつあったポーリーン・カーリーをダブル主演に迎え入れるなどヴァイタグラフが力を入れて製作していた様子が伝わってきます。20年秋に二人を再度主演に据えた『隠された謎(The Veiled Mystery)』が公開されたのを見ると観衆の反応も悪くなかったようです。

内容は連続活劇王道をいくもので「鉄の爪」と呼ばれる悪党団を相手にした丁々発止のやりとりが描かれていきます。敏腕刑事(アントニオ・モレノ)が一味の捕縛を試みる中、その捜査を助けるため女性探偵アン(ポーリン・カーリー)が凶賊の内部に忍びこんでいきます。ダブル主演の利を生かして二人の連携や危機を描き分ける形で単調になりがちな活劇パターンに新味を与えようとしています。

1919-20 The Invisible Hand (Vitagraph) French Novelisation

ハリウッド連続活劇では「予想もつかない場所からニュッと手が伸びてきて主人公を襲う」パターンが好んで使われます。ルース・ローランド主演の『タイガーズ・トレイル』(The Tiger’s Trail、1919年)が有名(YouTube)なのですが『見えざる手』はこの方向性を押し進めた要素を含んでいます。

大正5年 (1916年) パール・ホワイト主演『陸軍のパール』&エラ・ホール主演『マスター・キイ』仏語小説版

「パール・ホワイト関連 [Pearl White Related Items]」より

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1916年末に公開された連続活劇『陸軍のパール』の仏語小説版。1914年公開『マスター・キイ』と2in1の形で出版されたものです。10冊発売された冊子を合本にしたハードカバー特装版。

パール・ホワイトの連続活劇の流れは1914年『ポーリンの危難』に始まり、同年末から15年の『拳骨』、16年『鉄の爪』、17年『運命の指輪』、18年『家の呪い』へと続いていきます。本作品『陸軍のパール』は『鉄の爪』と『運命の指輪』の間に位置、公開時はかなり話題を呼んだようで、フランスだけではなく日本でも法令館キネマ文庫から小説版(1921年)が出ていました。

肝心のフィルムの大半は遺失したとされており全体像を知ることはできなくなっています。ヒロインが潜水服をまとっているスチル写真が有名であるにも関わらずどのような文脈で登場してくるのか分からない謎多き作品。


連休中に『拳骨』を読んでいる最中でこちらまで目を通している時間はなさそうなのですが、写真やキャプションを追っていったところ:

・前半は『拳骨』と同様に謎の悪党一味(静かなる脅威団 ”Silent Menace”)が登場してヒロインを危地に陥れる
・中盤以降は軍隊との連携が強調されていく
・各章での派手な立ち回りで盛り上げるのではなく大団円に向けた息の長いストーリー感がある
・潜水服姿のパールは最後の決戦の場面で登場
・全体的に愛国主義色が強い

…という特徴は伝わってきました。最後の愛国主義色はアイリーン・カッスル主演の『パトリア』(1917年)と繋がってくる感じでもあります。
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以前から何度か紹介している『ゾーズ・オウフル・レビュー』は第10章のネガを見つけたようで英語で長いレビューを書いています。またアーカイブ・フィルムの名手ビル・モリスン監督によるドキュメンタリー映画『ドーソン・シティー:凍結された時間』で描かれていた「アラスカ国境近くで土の中から発見された大量の35ミリフィルム」に『陸軍のパール』の35ミリ版が含まれているそうです。
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[出版年]
1916年

[出版者]
ロマン・シネマ社(パリ)

[翻案]
マルセル・アラン

[ページ数]
240頁(陸軍のパール) + 288頁(マスター・キイ)

[サイズ]
16.5 x 23.5 cm

大正6年 (1917年) 仏連続活劇『ジュデックス』小説版

「ルイ・フイヤード関連コレクション」より

1917 Judex (Arthur Bernède & Louis Feuillade)
1917 Judex (Arthur Bernède & Louis Feuillade)

第一次大戦中の1917年に公開されて人気を博した連続活劇『ジュデックス』の小説版。

映画の各エピソード公開と同時進行で小冊子として売られていたもので、映画の完結後にハードカバー版が作られていました。こちらはそのハードカバー版で全12章、288頁あります。

同作は先行する『レ・ヴァンピール(Les Vampires)』の成功を受け、ほぼ同一キャストで作られた活劇でした。『レ・ヴァンピール』が活劇の伝統を受け継ぎ、一話一話の完結性が高く、目まぐるしいアクションを繰り出していく手法を採用していたのに対し、『ジュデックス』はより静かな復讐譚の形式を取っています。

物語はかつて冷酷な銀行家(ルイ・ルーバ)に騙されて父親を失ってしまった兄弟(ルネ・クレステとエドゥアール・マテ)による復讐物語として始まります。クレステ演じる義士「ジュデックス」は銀行家を単純に成敗はせず、とことんまで苦しめようと城の一角に軟禁。しかし銀行家の娘ジャクリーヌ(イヴェット・アンドレヨール)への恋愛感情が芽生えてくる中で自分の行為に疑問を抱くようになり始めました。一方銀行家の資産を狙い暗躍する一派(ミュジドラ)がジュデックスとジャクリーヌ双方を狙い始め、物語は南仏での死闘へなだれこんでいきます。

仏ゴーモン社にとっても大きな企画だったようで、小説版は当時人気の高かった大衆作家アルチュール・ベルネード(『ルーヴルの怪人』原作者)に依頼、けだし名文家ではないものの、こなれた筆致で映画世界を小説に落としこんでいきます。

1917-judex-cover-02

[出版年]
1917年

[出版者]
ルネサンス・ドュ・リーヴル

[ページ数]
288頁

[サイズ]
16.5 x 24.5 cm