米リヴェア社「エイト88型」 ダブル8 動画カメラ + Elgeet-Revere 1/2 f:2.5 & Kent Telephoto 1 1/2 f:3.5

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「ダブル8」と呼ばれる16ミリフィルムを使用した形式の8ミリ動画カメラ。16ミリ用スプールを使うためやや幅広ながら手のひらにしっくり収まるサイズ感。使われている部品の質も良く当時のシカゴ産業界の好調振りが伝わってきます。


この機種をめぐる経緯については「メイド・イン・シカゴ博物館」で詳しく説明されています

この記事では、戦中に頭角を現していた新興メーカー・リヴェア社が1940年、業界トップのベル&ハウエル社の定番カメラ「フィルモ・コンパニオン」に勝負をしかけた一台とされています。スペックや精度の点でコンパニオンに劣っていたのですが、リヴェア社は値段を32.5ドルに設定(コンパニオンは50ドルほど)することで価格競争に打って出たのです。

スペックやブランド名重視の層が一定数いるのを承知の上で、そこまでこだわらないコスパ重視の層を切り崩していく戦略となります。一定の成果を上げたようで同機はリヴェア社のロングセラー商品の一つとなりました。

レンズについてはウォーレンサック社の12.5mm f=3.5(高級機はf=2.5や1.9)が標準仕様だったようです。戦後となりニューヨーク拠点エルジート社のレンズも採用し、今回入手した一台も同社のレンズを備えています。
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革鞄のポケットにもう一本レンズが入っていました。「Japan」の刻印が入った「Kent Telephoto 1 1/2」でした。このレンズはほとんど情報がなく、オンラインでも二人の方が言及されている(一人はデジカメによる作例あり)のみでした。古い日本製のターレット型8ミリカメラでたまに見かける「Sun Telephoto 1 1/2 f:1.9」と同様、廉価な国産Dマウントシネレンズの一つではないかと推察されます。

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1913 – スタンダード8 パール・ホワイト初期短編集(クリスタル社/ブラックホーク版)

「パール・ホワイト関連 [Pearl White Related Items]」
& 「8ミリ 劇映画」より

8mm Pearl White Crystal Shorts
Standard8 Pearl White 3 Crystal Shorts

以前にパール・ホワイトが「連続活劇の女王」として人気を博す以前の初期短編を二作紹介いたしました。ホワイト初期作品の8ミリ化については英語情報もほとんどなく二作のみと思っていたため、先日別作品がイーベイに出てきて驚きました。折角の機会ですのでデータをまとめてみます。

1912年10月 -『仕立屋請求書始末記』Her Dressmaker’s Bills
1913年3月 -『或る夜の街』A Night in Town
1913年5月 -『女探偵パール』Pearl As A Detective
1913年7月 –『紙人形(ペーパー・ドール)』 The Paper Doll
1913年7月 -『ホールルーム・ガール』The Hallroom Girls
1913年9月 -『夜に彷徨ふ女(ロスト・イン・ザ・ナイト)』 Lost in The Night
1914年1月 -『リング』 The Ring

Pearl White Crystal Shorts 00

確認できた限りで以上7作(全作未DVD/ブルーレイ化)。制作はクリスタル社。監督はいずれもフィリップス・スモーリーで共演男優はチェスター・バーネット。今回入手したのは『或る夜の街』『女探偵パール』『ホールルーム・ガール』の三本を400フィートリールにまとめた一本。

『或る夜の街』A Night in Town

パール・ホワイトは裕福な家に使える小間使い役を演じています。夫婦が旅行で家を空けると、パールと執事はこの時とばかり勝手にクローゼットを開け高価な服をまとい、パーティーを始めます。そこに家主が不在と知らない親戚の男性がやってきてしまい、執事は慌ててパールを「旦那様の奥さん」と紹介してその場を乗り切ろうとします。ところが男性がパールに一目ぼれしてしまい…

『女探偵パール』Pearl As A Detective

パール・ホワイトは興信所の女探偵として登場。夫が机に置き忘れていた手紙から浮気を疑った妻(グレース・ダーリング)が興信所に調査を依頼。担当に指名されたのはパールでした。夫に接近し、会話を重ねる中で二人は意気投合してしまい、抱擁している場面を妻に見咎められてしまいます…

『ホールルーム・ガール』The Hallroom Girls

ルームメイトである仲良し女子二人組と、その二人と交際中のこれまたルームメイトの男子二人組。ところが彼氏の親友、彼女の親友に手を出し始めたことで関係が怪しくなり女性陣は取っ組みあいの大喧嘩に。警官まで巻きこんで男性二人が逮捕されてしまうのです…

概要から伺えるように3作とも軽めの恋愛喜劇です。

演出、脚本に新味はなく、本作を見た人の「がっかりした」評価も順当ではあります。ただし1913年の作品としては及第点、むしろ当時は質に無頓着なこの手の量産コメディが「普通」で、女優パール・ホワイトがそういった賑やかな現場で活躍し鍛え上げられていった(そして後に黒歴史としてなかったことにされる)雰囲気は伝わってきます。個人的には『女探偵パール』でのスーツ姿、『ホールルーム・ガール』の室内装飾や衣装、屋外撮影の空気感が気に入りました。

ホワイトのクリスタル期作品についてはオンラインで唯一「Those Awful Reviews」が分析しています。アニタ・スチュワート主演の傑作『呪の列車』35ミリ版を自力で発掘、デジタル化・リストアしている人物の手によるもので作品の良し悪しを的確に見極めています。

1913 – スタンダード8 パール・ホワイト主演 『紙人形(ペーパー・ドール)』

「パール・ホワイト関連 [Pearl White Related Items]」
& 「8ミリ 劇映画」より

1913 Pearl White in Paper Doll
Pearl White in The Paper Doll (1913) Standard 8 Blackhawk Print

『ポーリンの危難』公開の前年、1913年のパール・ホワイトはクリスタル映画社と契約を結んでいて、この年だけでも百作を超える短編に出演する人気を見せていました。

観衆から暖かく受け入れられているのは劇場に顔を出す度に響き渡る万雷の歓声からも伺える。ホワイト嬢を「我らがパール」と呼ぶのが多くの者の習わしとなっていた。

ヴィックスバーグ・イヴニング・ポスト紙
1913年5月10日付

The warm place she holds in the estimation of the public is forcibly illustrated in the applauses accorded to her personnal appearance in any theater. « Our Pearl » has become the popular characterization of Miss White.

Vicksburg Evening Post
May 10, 1913

クリスタル社作品で現存が確認されており、8ミリで市販されていた一本が『紙人形』でした。不幸な偶然の重なりで恋人に殺人の嫌疑をかけられてしまった女性主人公アリス(パール・ホワイト)が間一髪でその疑いを晴らす内容です。

冒頭はグラスハウスでの撮影で、登場人物が一通り紹介されると屋外撮影に切り替わりピクニックとなります。思惑のすれ違いから彼氏のクレメンツ(チェスター・バーネット)とアリスに想いを寄せるレイナー(ジョゼフ・ベルモント)との諍いが生じ、カップルは喧嘩別れしてしまいます。

その後レイナーは拳銃の暴発事故で亡くなってしまうのですが、直前にクレメンツがレイナー宅を訪れていた様子が目撃されていました。動機もあり、状況証拠も揃っていることからクレメンツが殺人犯として逮捕されてしまうのです。事件を知ったヒロインが悲しみに暮れていると幼い妹がやってきます。さて二人が如何にして無罪を証明していくか…が見どころとなっています。

物語のメリハリや伏線が上手く機能しており、1911~13年頃の脚本術や演出術の高い水準を伺わせる好編となっています。

1913-paper-doll-11

1910年代前半の映画流儀にならい、『紙人形』の大半は膝上ショット(ミディアム・フル・ショット)で撮影されています。手紙等を見せる場面では手元の接写が使われたりするのですが、本作では拳銃に寄った場面が含まれていました。単調な流れに視覚的アクセントが生まれてくる訳で、こういった経験が蓄積されていく中で数年後に表情や事物のクローズアップ法とそのヴァリエーションが確立されていくことになります。

[タイトル]
The Paper Doll

[製作年]
1913年

[IMDB]
tt0003252

[メーカー]
米ブラックホーク社

[メーカー記号]
810-424

[フォーマット]
Standard 8mm 400フィート

1914 – 8mm パール・ホワイト主演 『ポーリンの危難:第2章 西の果ての女神』

「パール・ホワイト関連 [Pearl White Related Items]」
& 「8ミリ 劇映画」より

Standard 8 Pearl White in Goddess of the Far West
(1914, US Blackhawk Print)

パール・ホワイトの出世作となった名作活劇『ポーリンの危難』の第2章。ポーリンが相続した遺産を狙う悪党たちがアメリカン・ネイティヴを買収、誘拐を試みていきます。後半部には「崖を駆け降りながら巨石に追いかけられるヒロイン」の場面を含んでいます。

パール自身の中〜後期活劇と比べると全体の流れが意識されておらず章ごとの独立が高いのが特徴でしょうか。物語の整合性があやふやであったり、ご都合主義に驚く場面もありますが、辻褄を深く考えず各章の見せ場、アクションを追及していたと言うこともできます。

ブラックホーク社からの8ミリ版はコントラストがきつめで古風な質感。DVD版と比べると解像度に限界はありますが、見直していると新しい発見が出てきます。

[タイトル]
Perils of Pauline, Chapter 2 : Goddess of the Far West

[製作年]
1914年

[IMDB]
tt0004465

[メーカー]
米ブラックホーク社

[メーカー記号]
810431407

[フォーマット]
Standard 8mm 400フィート×3 (実質1000フィート)

1913 – 8mm パール・ホワイト主演 『夜に彷徨ふ女(ロスト・イン・ザ・ナイト)』 (米ブラックホーク社)

「パール・ホワイト関連 [Pearl White Related Items]」
& 「8ミリ 劇映画」より

Standard 8 Pearl White in Lost in The Night
(1913, US Blackhawk Print)

サイレント時代に活躍した活劇俳優(ウィリアム・ダンカン、エディー・ポロ、ヘレン・ホームズ、ルース・ローランド…)たちは最初から連続活劇スターを目指していた訳ではなく、キャリア初期の試行錯誤の末に流れついた者がほとんどでした。パール・ホワイトも同様で、1910~13年の間に様々な役柄で1~2リール物の短編劇に出演しています。

このうち米ブラックホーク社が2作を8ミリで販売していました。1913年作品の『夜に彷徨ふ女』がその一つです。

パール・ホワイトは夢遊病を患った婦人役で登場。貴金属盗難をめぐるミステリと家族ドラマのどっちつかずになってしまい、当時の基準から見ても並以下の出来映えなのですが、パール・ホワイトのキャラクター作りの変遷を見ていく上で興味深い作品です。

もう一作の『紙人形(The Paper Doll)』が面白いという話も小耳に挟みました。どちらともデジタルソフト化されていませんので機会があったら8ミリで入手したいと思っています。

[タイトル]
Lost in The Night

[製作年]
1913年

[IMDB]
tt0003083

[メーカー]
米ブラックホーク社

[メーカー記号]
810-417

[フォーマット]
Standard 8mm 400フィート

1912 – Normal 8 『コレッティを探せ』(1912年、マックス・マック監督)

1912年は映画産業が軌道に乗り始め、あちこちに劇場が作られて盛り上がっていた時期です。

『コレッティを探せ』はこの時期のドイツでヒットした作品で、「探偵コレッティを48時間以内に捕まえることができたら100万マルク進呈!」の広告に人々が踊らされていく様子をコミカルに描いています。

定番のドタバタ追跡から女装まで様々な要素をコンパクトに詰めこみ、ベルリン市街地での撮影で都市風景をうまく取りこむなど、確かに今見ても面白い一作ではないかと思われます。

[タイトル]
Wo ist Coletti?

[原題]
Wo ist Coletti?

[製作年]
1912年

[IMDB]
tt0003565

[メーカー]
独DEFA社

[カタログ番号]
222

[フォーマット]
ノーマル8mm 60m(無声)