1926年4月18日 – 9.5mm『イラン・ゴレスタンの小さな家』

A Golestan. La petite Villa. 18-4-26. (A Rare 1920s Iranian Family Portrait)

9.5mm Home Movie  - A Golestan (Iran) 1926

1926年に中東イランで撮影されたホームムービー。

A Golestan (Iran 1926) 9.5mm home Movie 01

一軒家の2〜3階テラスと思われる場所に家族が集合した様子を記録しています。冒頭では男性二人が話していて中央の椅子に少年が座っています。続いて家の主と思しき男性が飼い犬を抱えていて一歩体をずらすと背後に立つ女性(娘さんでしょうか)の姿が現れました。

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登場する人物は次第に増えていき、いつの間にやら大所帯に。

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ここでカメラの位置が変わります。男性たちが家を出たようで、残った女性陣が飼い犬とじゃれている場面。奥では奥さんがハンカチを振って遠くの男性たちに挨拶を送っています。フィルムはここで終了。

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ゴレスタンはイラン北東部、カスピ海に面した州名です。モロッコやアルジェリアで撮影された9.5mmホームムービーは時折市場で目にしますが、中近東での撮影記録は非常に珍しいものです。

カメラの移動が少なく周囲の様子が分からないのが少々残念。それでも建物や服装が西欧化され洗練されている様子が伝わってきます。言われないとイスラム圏だと気付かないくらい。カメラを意識して動きがぎこちなくなっている様子も微笑ましく、興味深い内容です。

1920年代後半 – 9.5mm 『ペナンヒル・ケーブルカー登頂』 戦前・アジア旅行記 1/7(マレーシア編)

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Penang And Up The Peak (Malaysia late 1920s)
US Tourists in South and South East Asia 01

5年ほど以前に入手した7本組のフィルムからで、1920年代後半に東南~南アジアを訪れた米国人旅行者が記録した動画です。現在マレーシアの一部となっているペナン島周辺を撮影しています。

冒頭に宗教建築物の遺構が映し出され、手前に立っている旅行者の姿が見えます。次いで川下りとなり、ボートを操舵している男の後ろ姿。跳ねる水に迫力があります。

その後、ペナンヒルを登っていくケーブルカーが登場。上りと下り列車がすれ違う個所だけ複線になっています。現在は高速ケーブルカーとして人気を呼んでいますがその開通は1923年。初期の車両を捉えたものと思われます。

ケーブルカーから山麓を見下ろし、ペナンヒル周辺で働いている地元民を捉えた後に動画は船上視点に切り替わり、海岸に密集する集落、船を追走してくるボートを映し出していきます。

1920年代 -9.5mm 個人撮影動画 フランス『森の精』

« Le Faune », film d’amateur français des années 20

1920年代の半ば~後半に撮影されたと思われるフランスの個人撮影動画。観光で南仏を訪れた家族が寸劇を披露している様子が記録されています。

まずは字幕で場所の説明がされています。南仏ニース近郊を訪れたようで、キャンピング地として人気のあるルー川付近(Les Gorges du Loup)で撮影されたようです。

冒頭、木陰から登場人物たちが順に登場、ファッションショーのランウェイよろしくカメラに向かって歩いてきます。先頭に娘さん、続いて奥さんが登場、最後にお父さんが姿を見せます。

画面が切り替わりと木陰で休んでいる女性二人。奥の方から毛皮をまとった「森の精」が出現、逃げ出した女性を追いかけ始めます。特にオチのようなものはなく、最後は三人が仲良く肩を寄せあって幕を閉じます。

他愛ない即興の素人劇ながら素敵な思い出作りではないでしょうか。

撮影者は息子さんと思われますが、もう一台別に手回しのパテベビー動画カメラを携行していたようで画面に写りこんでいました。

2台目のカメラ
2台目の手回し動画カメラ

1930年代中頃 – 9.5mm 個人撮影動画 『無題』 (石清水八幡宮・鳩・ 中村家住宅・安居橋・木津川・京阪電鉄) 【八幡市-尼野家関連フィルム群 1/3】

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『お寺参り』『時代祭』と同時期に同じカメラで撮影された一本。時折、遠景に小さく人が入りこんでくる他は主に建物や風景を記録しています。

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動画は石清水八幡宮の碑で幕を開けます。境内に鳩が群れていて、飛び立った鳥が軒に移動する様子や接写を交えながら神社の様子を小刻みに記録しています。

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その後八幡宮を離れ、木造りの安居橋付近を撮影。白壁が美しい蔵と、その奥の二階建ての母屋が一瞬映し出されます。2012年に国登録の有形文化財に登録された中村家住宅(旧尼野氏別邸)です。現在は母屋の二階が取り壊され、蔵も一部改修されています(参考写真は2017年5月撮影のグーグルマップより)。

庭園の石灯篭

中村家の敷地内で撮影された石灯篭。現在でも中庭に残されているようです。

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カメラはその後木津川方面に向かい、御幸橋近辺の撮影を続けていきます。橋を渡る業務用車両や、遠くを走る列車も見えています。鉄橋に近づき、八幡駅通過の京阪列車と思われる2両編成の列車を撮影、さらに大胆に線路内へと入っていき、鉄橋の様子を映しています。

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戦前の八幡市の様子を伝える貴重な動画ですが、興味深いのは途中で一瞬映し出された中村家住宅(旧尼野氏別邸)です。先日デジタル化した『お寺参り』の動画でも尼野氏の墓石や、同氏由来の大きな石碑が映し出されていました。それを考えあわせると尼野氏別邸も偶然見つけた建物を撮影した訳ではなく、撮影者が自身にゆかりのある家を記録したのではと思われます。引き続き調査を進めていく予定です。

1929 – 9.5mm 日本・個人撮影動画 『昭和四年 松岡宅ニテ寫ス』

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以前にデジタル化を試みた『昭和四年 夏子』と同じ撮影者さんによる動画。

1929年(昭和4年)頃の動画カメラはレンズが暗く、コーティングもされていませんでした。そのため雨天や夜、室内や逆光の撮影を苦手にしています。手元にある古い個人撮影動画でも、室内撮影を試みているのは数本にすぎません。

薄暗がりで撮影された『昭和四年 夏子』はその意味で興味深いフィルムだったのですが、今回の『松岡宅ニテ』も室内での逆光撮影という難しい設定に挑戦しています。

動画は和室を内側から撮る場面で始まっています。男一人と女二人がお茶を挟んで語らっているようです。

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視点が切り替わり、庭側から部屋を撮っていきます。着物の女性が手元の箱の向きを変えました。回転しているレコード。蓄音機です!

カメラは左右にゆっくりと振れながら、松岡氏と女性二人の語らいを記録していきます。

奥にいる洋装の女性と手前の方は目鼻立ちが似ています。おそらく奥が『昭和四年 夏子』に登場した夏子さんで、手前がそのお母さま(撮影者の奥様)に当たるのではないか、と。

動画は松岡氏の爽やかな笑顔で終了。新しいテクノロジーが生活に入りこみ始めた1920年代の人々の日常を垣間見ることができます。

1930年代中頃 – 9.5mm 個人撮影動画 『お寺参り』(断七日の法要/尼野貴重記念碑) 【八幡市-尼野家関連フィルム群 2/3】

1930年代前半頃。「八幡市-尼野家関連フィルム群(仮)」と名付けた3本組フィルムの一つで、家族でのお墓参りを撮影したもの。以前に紹介した『時代祭』と同じ動画カメラで撮影されており、短いショットを積み重ねる撮影スタイルも共通しています。

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冒頭は家からの出発場面で、その後(やや露出過多となっていますが)車内から移動を捉える様子が写されています。

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大きな石碑の立っているお寺に到着。お墓に卒塔婆が立てかけてあり、「断七日(=四十九日)」の文字が見えます。お坊さんがお経を読んでいる姿を幾つかのアングルから撮影。カメラの手回し速度が遅くなったせいで動画がコマ落としのようになっています。

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お坊さんが車で去った後、しばらくお墓周辺で記念の撮影をしているようです。石碑が再登場、篆書で書かれた文字は「尼野貴重紀念碑」となっています。「きちょう」ではなく「たかしげ」と読むのでしょうか。別に映っていた墓石にも「尼野氏」の文字が見て取れます。

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明治~大正期の関西に尼野貴之(あまのたかゆき)という人物がおられました。大阪中之島に大阪ホテルを建てた実業家として知られています。尼野家に養子に入った方で先祖に「貴重」という方はおられません。貴之氏の子供さんに同名人物を見つけることは出来ませんでしたが(※)、何らかの理由で早世された方を祀った可能性はあるかと思います。

尼野貴之氏は京都八幡市に別邸を所有しており、現存する建物が文化遺跡として保存されています。この建物近辺で撮影されたと思しきフィルムがもう一本ありますので、今後デジタル化を試みていきます。

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※「近代名士家系大観」によると、長男が貴英(明治43年生)、次男重之(明治45年生)、三男が三郎(大正4年生)とされています。(https://ameblo.jp/derbaumkuchen/entry-12085103418.html)

『無題』 戦前 フランスの遠足/校外学習風景? 1930年代) (Sortie scolaire? 9.5mm film d’amateur français des années 30?)

1930年代と思われるフランスの遠足風景を捉えた一本。

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冒頭はカメラを固定し、その前を子供たちが次々と通り過ぎていきます。まずは男の子、次いで女の子、その後に保護者か先生らしき大人が続いてきます。背後には大きな川が流れていて、採掘か何かをしている労働者の姿も見えています。

場面が変わり、男の先生が女の子4人と輪を組んで踊り始めました。踊りの輪が周りにも伝わっていったようで、他の生徒たちも手をつないで大きなうねりになっていきます。

最後は男の子たちが馬跳びをしている様子。遠出を楽しんでいる子供たちの姿に癒される一本です。