1912- 9.5mm 『ナピエルコウスカ嬢のカンボジア風舞踏』(1912年)

「9.5ミリ動画 05a 劇映画」より

1912 9.5mm Napierkowska : Danses Cambodgiennes

ギリシヤの彫像のやうにすらつりつとした姿整で、華やかな衣装をつけてゆつたりとした態度の中に人をひきつけるその踊り子は、カンボチヤンダンスの不思議な現はれであります。中にも一座のスターは他のきらく數多の踊り子眞中に、更に一段と輝いて居るのを御覧ください。

『パテーベビーフヰルム 解説書 No. 1』
(大橋善次郎編集・出版、1926年)

仏パテ社が9.5ミリ小型映画を最初に売り出した時にカタログに含まれていた初期のフィルムで、1912年に公開された中編映画(『La Fièvre de l’or』)の一場面を抽出したもの。

映画全体は金銭欲に取りつかれた男が亡父の銀行を乗っ取り投資ブームを仕掛け、人々が踊らされていく内容を描いています。途中の祝宴場面に使用されていたのがスタシア・ナピエルコウスカによるカンボジア風の舞踏でした。

[タイトル]
Danses Cambodgiennes

[原題]
La Fièvre de l’or

[製作年]
1912年

[IMDB]
tt0250381

[メーカー]
仏パテ社

[カタログ番号]
47

[フォーマット]
9.5mm (ノッチ有) 10m *1リール

フラッター嬢の『転生の舞』(1907年、仏、セグンド・ド・ショーモン監督、モノクロ版)

「9.5ミリ動画 05a 劇映画」より

フリユツテ孃は人間の美しい蝶々であります。で、その羽根は我々の眼であらゆる不思議な變化を受けます。パテー ベビーはあなた方にかずかずの色をもつとその翼のこの可愛いゝ蟲を御覧に入れます。

『パテーベビーフヰルム 解説書 No. 1』
(大橋善次郎編集・出版、1926年)

仏パテ社の9.5mmフィルムカタログで12番となる初期の一本。

映画の誕生当初からリアリティを追及する動きと、ファンタジーに向かう動きの二つが見られました。メリエス作品などは後者に位置づけられ、今回ご紹介するスペイン出身のセグンド・ド・ショーモン作品もその流れに属しています。『転生の舞』は最初期の特撮/トリックフィルムで、蝶に扮した女性の羽が羽ばたくごとに模様と形を変えていきます。

パテ社9.5㎜版では手彩色(ステンシルカラー)の物も発売されておりますが今回入手できたのはモノクロ版。華やかな彩色版とはまた違った繊細な美しさがあります。

[タイトル]
Miss Flutter: Metempsycose

[原題]
Métempsycose

[製作年]
1907年

[IMDB]
tt0451432

[メーカー]
仏パテ社

[カタログ番号]
12

[フォーマット]
9.5mm (ノッチ有) 10m *1リール

手彩色版のデジタル化はこちらから(YouTube)

大正期「蛇の舞」ロイ・フラーの直筆メッセージ Loïe Fuller (1862 – 1928)

「合衆国・カナダ・オーストラリア [USA/Canada/Australia]」より

Loïs Fuller Hand-written Letter
Loïs Fuller c1918 Hand-written Letter

私のサイン?そんなつまらないものでよろしければ喜んで。ロイ・フラー

My autograph? With great pleasure if you consider it worth having. Loïe Fuller

2016年に公開された伝記映画『ザ・ダンサー』は主にロイ・フラーの葛藤や人間関係、創造の苦しみに焦点を当てた一作でした。実際の彼女は短期間話題を集めた踊り子だった訳でなく、優秀な教育者でありまた優れたビジネスウーマンでもありました。さらに1920年には自身の教え子を出演させた『生の百合(Le lys de la vie)』を監督。フィルムが現存していないとされていますが当時のスチル写真や映画評を見ると監督としても特異な感性を見せていたようです。

Loïe Fuller (Cinéa Magazine 1921-06-24 Cover)
「蛇の舞」を踊るロイ・フラー
(『シネア』誌1921年6月24月号表紙)
Le Lys de La Vie (Cinéa 1921-06-24)
『生の百合』紹介ページ

[IMDB]
Loie Fuller

[出身]
米国

[生年月日]
米国

[コンディション]
A-

[入手年月日]
2017年5月

イリーナ・レオニドフ Ileana Leonidoff (1893 – 1968) 露/伊

Ileana Leonidoff 1924 Autographed Photo
Ileana Leonidoff 1924 Autographed Photo

露國に生れ、露國劇壇に薫陶された南歐映畫女優は數多ある。エレナ・マコウスカ孃、ダイアナ・カレンヌ夫人、最近に至つてはタチアナ・パプロワ孃の如き、其れである。イレーナ・レオニドツフ孃も又露國生れの女優として一九一七年以来南歐に表れた女優である。我々は『アチラ』に於てイルヂゴに扮した孃を始めて見た。さうして孃もまた妖婦女優として、確に相當の技能を有する事を認め得た。その後『不滅の血路』に於ても近く孃の技藝に接し得て、その妖婦女優としての腕を認める事が出來た。尚孃のパスクワリ會社時代の映畫(アルマンドヴエイ發賣)『酒の罪』が日活に輸入されて居る。一九一七年以來アンブロジオ會社に結び、主腦女優として『アチラ』『不滅の血路』等數種の映畫に出演し、その後パスクワリ會社に一時契約し、昨年ベルチニ會社の主腦女優となり、數種の映畫に出演して名聲を得て居る。

「南歐映畫俳優月旦 イレーナ・レオニドツフ孃」
『活動画報』1919年4月号

イタリア未来派の代表作『Thais』 (1917年)でヒロインに抜擢され注目を浴びたのがイリーナ・レオニドフでした。

Ileana Leonidoff 03
『アッチラ』(1918年)より

ロシア生まれで若くしてイタリアに移り住み当初はオペラ歌手の修業を積みます。まず映画女優として名を上げて歴史映画(『アッティラ』)や恋愛ドラマに出演、1922年を境にバレエに活動を移していきました。ローマを拠点とし自身のバレエ団を結成海外公演を行っていた記録があり、1924年にロンドン公演を行っています。このサイン入り写真はその際の一枚と思われます。

綺麗な写真ですが数か所の汚れ、右下に目立つ破れがあります。

Ileana Leonidoff 1924 Autographed Photo

[サイズ]
15.0 × 20.0 cm

[IMDB]
nm0503064

[出身]
ロシア/ウクライナ

[誕生日]
3月3日

[コンディション]
C+

大正9年のアンナ・パブロワ・バレエ団(3)ヒューバート・ストーウィッツ (1892 – 1953) Hubert Stowitts

チャールズ・トープ氏旧蔵サイン帖より

サイン帖でひと際目立つこのサイン。後に画家として名をあげるストーウィッツがパフォーマーとしてパヴロワ団に同行していた時期のサイン。未来派の発想をサインに組みこんでいます。

映画出演歴もあり、レックス・イングラム監督作品『魔術師』(1926年)でヒロインの夢に登場する淫魔を演じていました。

[IMDb]
nm0832977

[誕生日]
6月26日

[出身]

大正9年のアンナ・パブロワ・バレエ団(2)ヴェラ・カラーリィ (1889 – 1972) Vera Karalli

チャールズ・トープ氏旧蔵サイン帖より

ロシア帝政期~ソヴィエト時代に活躍した舞踏家・映画女優で、1910年代半ばのエフゲニー・バウエル作品(『瀕死の白鳥』1917年など)で重用されていました。

私生活ではニコライ二世の従弟ドミトリー大公の愛人。1916年、同大公を中心にラスプーチン暗殺が決行されます。猜疑心の塊となっていたラスプーチンをおびき出すために女性が使われたという噂もありました。関与を疑われ、警察の調査対象となった女性が二人いて、その一人がヴェラだったそうです(『真説ラスプーチン』、エドワード・ラジンスキー著)。真相は現在でも不明。

サインは鉛筆書きで名前のみ。仏文化の影響を強く受けた帝政ロシア期の女性らしくヴェラの「e」にアクセント記号を付しています。

[IMDb]
nm0832977

[誕生日]
7月27日

[出身]
ロシア

大正9年のアンナ・パブロワ・バレエ団(1)アンナ・パヴロワ (1881 – 1931) Anna Pavlova

チャールズ・トープ氏旧蔵サイン帖より


1920年4月、アンナ・パヴロワはドゥルリー・レーン王立劇場の舞台に立ちます。パヴロワ団にとって初の長期ロンドン公演で、英語圏での知名度を決定づける内容となりました。

アンナ・パヴロワ 1920年6月5日
Anna Pavlova 5/VI 1920

数字の後にスラッシュ(/)を入れ、ローマ数字で月を表記するのはロシア語圏の慣習でした。サインは鉛筆書きで途中で芯が割れて線が二重になっています。

パヴロワ自身は映画女優の活動は行っておりませんが、チャップリン、メアリー・ピックフォードなどと対面を果たしています。

[IMDb]
nm0667816

[誕生日]
2月12日