1912 – ノーマル8 『コレッティを探せ』(1912年、マックス・マック監督)

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1912年に公開されたドタバタ喜劇。「探偵コレッティを48時間以内に捕まえることができたら100万マルク進呈!」の広告に人々が踊らされていく様子をコミカルに描いていきます。定番の追跡から女装まで様々な要素をコンパクトに詰めこみ、ベルリン市街地での撮影で都市風景をうまく取りこんでいます。

ヒロイン役で登場しているのは英女優のマッジ・レッシング。1900~10年代の綺麗目ポストカードも多く残っている女優さんながら、本作ではかなりはっちゃけた感じでドタバタを楽しんでいます。また途中に初期の個性派俳優として知られるハインリヒ・ピール(Heinrich Peer)も登場しています。

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女装中のマックス・マック(左)とマッジ・レッシング(右)
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ハインリヒ・ピール(右)

[原題]
Wo ist Coletti?

[製作年]
1912年

[IMDB]
tt0003565

[メーカー]
独DEFA社

[カタログ番号]
222

[フォーマット]
ノーマル/スタンダード8 60m(無声)

1913 – スタンダード8 パール・ホワイト初期短編集(クリスタル社/ブラックホーク版)

「パール・ホワイト関連 [Pearl White Related Items]」
& 「8ミリ 劇映画」より

8mm Pearl White Crystal Shorts
Standard8 Pearl White 3 Crystal Shorts

以前にパール・ホワイトが「連続活劇の女王」として人気を博す以前の初期短編を二作紹介いたしました。ホワイト初期作品の8ミリ化については英語情報もほとんどなく二作のみと思っていたため、先日別作品がイーベイに出てきて驚きました。折角の機会ですのでデータをまとめてみます。

1912年10月 -『仕立屋請求書始末記』Her Dressmaker’s Bills
1913年3月 -『或る夜の街』A Night in Town
1913年5月 -『女探偵パール』Pearl As A Detective
1913年7月 –『紙人形(ペーパー・ドール)』 The Paper Doll
1913年7月 -『ホールルーム・ガール』The Hallroom Girls
1913年9月 -『夜に彷徨ふ女(ロスト・イン・ザ・ナイト)』 Lost in The Night
1914年1月 -『リング』 The Ring

Pearl White Crystal Shorts 00

確認できた限りで以上7作(全作未DVD/ブルーレイ化)。制作はクリスタル社。監督はいずれもフィリップス・スモーリーで共演男優はチェスター・バーネット。今回入手したのは『或る夜の街』『女探偵パール』『ホールルーム・ガール』の三本を400フィートリールにまとめた一本。

『或る夜の街』A Night in Town

パール・ホワイトは裕福な家に使える小間使い役を演じています。夫婦が旅行で家を空けると、パールと執事はこの時とばかり勝手にクローゼットを開け高価な服をまとい、パーティーを始めます。そこに家主が不在と知らない親戚の男性がやってきてしまい、執事は慌ててパールを「旦那様の奥さん」と紹介してその場を乗り切ろうとします。ところが男性がパールに一目ぼれしてしまい…

『女探偵パール』Pearl As A Detective

パール・ホワイトは興信所の女探偵として登場。夫が机に置き忘れていた手紙から浮気を疑った妻(グレース・ダーリング)が興信所に調査を依頼。担当に指名されたのはパールでした。夫に接近し、会話を重ねる中で二人は意気投合してしまい、抱擁している場面を妻に見咎められてしまいます…

『ホールルーム・ガール』The Hallroom Girls

ルームメイトである仲良し女子二人組と、その二人と交際中のこれまたルームメイトの男子二人組。ところが彼氏の親友、彼女の親友に手を出し始めたことで関係が怪しくなり女性陣は取っ組みあいの大喧嘩に。警官まで巻きこんで男性二人が逮捕されてしまうのです…

概要から伺えるように3作とも軽めの恋愛喜劇です。

演出、脚本に新味はなく、本作を見た人の「がっかりした」評価も順当ではあります。ただし1913年の作品としては及第点、むしろ当時は質に無頓着なこの手の量産コメディが「普通」で、女優パール・ホワイトがそういった賑やかな現場で活躍し鍛え上げられていった(そして後に黒歴史としてなかったことにされる)雰囲気は伝わってきます。個人的には『女探偵パール』でのスーツ姿、『ホールルーム・ガール』の室内装飾や衣装、屋外撮影の空気感が気に入りました。

ホワイトのクリスタル期作品についてはオンラインで唯一「Those Awful Reviews」が分析しています。アニタ・スチュワート主演の傑作『呪の列車』35ミリ版を自力で発掘、デジタル化・リストアしている人物の手によるもので作品の良し悪しを的確に見極めています。

1919 – 9.5mm 『百萬長者の娘ッ子』(ジョージ・アーチェインバウド監督、米)

「9.5ミリ動画 05a 劇映画」より

1919 - A Damsel in Distress 00

マルジヨリイは氣まぐれな不思議な而して可愛いゝはすつぱな小娘でありました。それでこの娘の理想する男は今様の火の神様で鍛冶屋場の烈しい爐の上にある晩彼女に現はれたのであります。所が或る日、兄の監視を逃れるため、彼女は自動車の中へ輕率にも飛び込みました。と、其處には彼女を喜んだ顔つきで眺めてゐる一人の若い男が居りました。。

『パテーベビーフヰルム 解説書 No. 1』
(大橋善次郎編集・出版、1926年)

1910年代の雑誌で時々姿を見かける女優さんにジューン・キャプリスがいます。彼女が仏パテ社と契約を結んで主演した作品が『百萬長者の娘ッ子(ダムゼル・イン・ディストレス)』でした。

お金持ちのお嬢様が偶然出会った美青年と繰り広げる軽めの恋愛劇は(当時パテ社のスタジオがあった)ニューヨークでのロケ撮影。乗用車、タクシー、街並み、ファッションや髪型など時代の雰囲気を満喫できる作品となっています。

[タイトル]
Mam’zelle Milliard

[原題]
A Damsel in Distress

[製作年]
1919年

[IMDB]
tt0010042

[メーカー]
仏パテ社

[仏パテ社カタログ番号]
739

[字幕]
仏語

[フォーマット]
9.5mm 10メートル×6本 仏語字幕 12476フレーム(約15分)

ビーブ・ダニエルズ Bebe Daniels (1901 -1971) 米写真家ドナルド・キース氏撮影・旧蔵サインコレクション(6)

「ドナルド・キース氏撮影・旧蔵サインコレクション」「合衆国・カナダ・オーストラリア」より

Bebe Daniels c1920 Inscribed Photo
Bebe Daniels c1920 Inscribed Photo

ビーブ・ダニエルズ嬢はテキサス州ダラスにて生れ、ロサンゼルスの修道院學校で教育を受けた。舞台での子役が演技歴の皮切りである。役柄を次第に広げ、いつしかうら若き乙女役を引き受けるようになつていた。二年の間、嬢はロウリン=パテ社の名を高らしめた喜劇作品でハロルド・ロイドの向こうを張った。フェイマス・プレイヤー社に合流し『男性と女性』で長編劇映画のデビューを果たす。次いで『エヴリーウーマン』『ダンス狂』『何故妻を代へる』で目につく役柄を任された。嬢の努力と才覚は遂に報われ、現在はリアルアート社の花形として迎えられ、第一弾『貴方には判らない』で大々的に売り出されている。ダニエルズ嬢は身長5尺4寸、体重14貫9百目、黒目黒髪。

Bebe Daniels was born in Dallas, Texas, and educated in a Los Angeles convent school. Her stage career started when she played child parts in stock. Gradually her scope of work broadened and she played ingenue roles. For two years Miss Daniels played opposite Harold Lloyd in the famous Rolin-Pathe comedies. She joined the Famous Players ranks, making her debut in a dramatic role in « Male and Female. » She then was prominently cast in « Everywoman, » « The Dancin’ Fool, » and « Why Change Your Wife. » Her efforts and talents have been rewarded as she is now a star in Realart Pictures, for whom her first starring vehicle is « You Never Can Tell. » Miss Daniels is five feet four inches high, weighs a hundred and twenty-three pounds, and has black hair and eyes.

Who’s Who on the Screen (New York: Ross Publishing Co., 1920.)

1910年代末のロイド喜劇で人気を得て、20年以降も喜劇を主戦場としつつも芸風を広げ(歴史劇『ボーケール』1924年、情念ドラマ『リオ・リタ』1929年)30年代半ばまで活躍を続けました。珍しい所ではRKO~ワーナーへと流れた後に出演した1931年版『マルタの鷹』での悪女役も印象的です。

Bebe Daniels in The Non-Stop Kid (1918)
『ロイドの猛獣結婚』(1918年)より
Bebe Daniels in Why Change Your Wife (1920)
『何故妻を代へる』(1920年)より
Bebe Daniels & Ricardo Cortez in The Maltese Falcon (1931)
『マルタの鷹』(1931年、ロイ・デル・ルース監督)でサム・スペード役のR・コルテスと並んで

[IMDb]
Bebe Daniels

[Movie Walker]
ビービー・ダニエルス

[出身地]
合衆国 (テキサス州ダラス)

[誕生日]
1月14日

[データ]
25.4 × 30.4 cm(カーボン製フレーム含)

1917 – 9.5mm マリー・オズボーン主演 『雙兒のキッディー』(ヘンリー・キング監督)

「9.5ミリ動画 05a 劇映画」より

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マリイ・オスボルヌはこの喜劇の中でドリイと而して偶然が接近させたゼイチイの二人の小娘の兩役を立派にやつてゐます。でその所演から二人は互ひの着物を取り替て樂しみその樣子に騙された兩親等はそれを取り違へそれでその間違ひはいろの面白さを我々に與へるのであります。

『パテーベビーフヰルム 解説書 No. 1』
(大橋善次郎編集・出版、1926年)

ハリウッドの重鎮ヘンリー・キング監督が、キャリアの最初期に出演を兼ねながら監督していた短編喜劇の一つ。以前サイン入り写真を紹介した初期の子役マリー・オズボーンを主演に据えています。

内容は瓜二つの少女(オズボーン二役)の取り違えの喜劇。裕福な実業家の娘として生まれながら誰にも愛されずいつも不機嫌な顔をしている少女フェイと、母を持たず貧しくとも健気に暮らしているベッシーが水辺で出会い、戯れに服を交換したことから取り違えられてしまい…と展開していきます。

オリジナル版はフェイの父親が所有する炭鉱のストライキなど格差社会や労働問題にも触れられていたようですが9.5ミリ版は取り間違えの場面を中心に簡潔にまとめています。

[タイトル]
Deux Rayons de soleil

[原題]
Twin Kiddies

[公開]
1917年

[IMDB]
Twin Kiddies

[メーカー]
仏パテ社

[カタログ番号]
757

[フォーマット]
9.5mm (ノッチ有) 10m *4リール

アンデシュ・デ・バール Anders de Wahl (1869 – 1956) スウェーデン

「国別サインリスト 北欧諸国 [Nordic Countries]」より

Anders De Wahl c1911 Autographed Postcard
Anders De Wahl c1911 Autographed Postcard

20世紀初頭のスウェーデン演劇を代表する性格俳優の一人。

1890年頃から舞台俳優のキャリアを積み始め、世紀末のロマン主義の理想と合致した愁いある美青年役(1899年のストリンドベリ原作『エリク14世』など)で人気を博しました。

1920年代以降人気に陰りが見え始める中で今度は確実な演技力を備えた老け役として若手を支える側に回っていきます。1907年と1912年に『ヨハン・ウルフシェーナ』を舞台化した際は愛国主義者のヘルゲ役で、30年代に再度同作に出演した際は息子をかばう父ヨハンを担当、といった具合です。

映画界参入の第一歩はスティッレル監督の『エロティコン』でした。

同作でアンデシュが演じたのは学究肌の昆虫学者。特に前半は空気の読めない、冴えない中年振りが強調されています。トーラ・テイエとカリン・モランデルとの絡みの場面では、女性陣がバチバチ火花を飛ばしているのに全く気づかない鈍感さで思わず微笑みが漏れます。この「ボケ具合」そのものが緻密に計算されたものでさすが一時代を築いただけある渋い演技でした。

Anders De Wahl in Erotikon

サイン絵葉書は1911年に上演されたアルイド・ヤルネフェルト原作作品『ティトゥス』で皇帝役を演じた際の一枚です。

[IMDb]
Anders de Wahl

[Movie Walker]

[出身地]
スウェーデン(ストックホルム)

[誕生日]
2月9日

[撮影]
Foto. Hofatelier Jaeger 1911

[データ]
87 Ensamätt : Axel Eliassons Konstförlag, Stockholm

[サイズ]
8.6 × 13.7 cm

カリン・モランデル Karin Molander (1889 – 1978) スウェーデン

「国別サインリスト 北欧諸国 [Nordic Countries]」より

Karin Molander Autographed Postcard
Karin Molander Autographed Postcard
1910年代のスウェーデンで多ジャンルに才能を発揮していたのがカリン・モランデルでした。舞台出身(初舞台は明治期の1907年)で演技の基礎がしっかりしていたこともあり、対応力の高さからスヴェンスカ・ビオグラフテアーテン社の花形の一人に躍り出ます。

Karin Molander in Kärlek och journalistik
『愛とジャーナリズム』(1916年)

とりわけスティッレル監督と相性が良くトーマス・グロール二部作(『最良の映画』『最良の子供』)ではトーマス役シェストレム相手に小気味よいやりとりの応酬を披露、作品の軽快なリズム感作りに貢献。

Karin Molander in Thomas Graals bästa film
『トーマス・グロールの最良の映画』(1917年)
Karin Molander in Synnöve Solbakken
『シヌーヴェ・ソールバッケン』(1919年)

やや趣向を変えヨン・W・ブリューニウス監督の郷土色溢れるロマンス『シヌーヴェ・ソールバッケン』(1919年)でもラーシュ・ハンソン相手に手堅い演技を見せていました。

そのキャリアの頂点となった一作が1920年『エロティコン』です。冴えない大学教授の姪として登場し、四つ巴の複雑な恋愛模様の一角を担っていきます。一見無邪気な娘でありながらも洗練された求愛の駆け引きをこなしていく難しい役柄をこなし無声映画史に名を残します。その後は舞台活動に比重を移し、映画作品のクレジットにその名を見かける機会はほとんどありませんでした。

Karin Molander in Erotikon
『エロティコン』(1920年)

[IMDb]
Karin Molander

[Movie Walker]
カリン・モランデル

[出身地]
スウェーデン(ストックホルム)

[誕生日]
5月20日

[データ]
Förlag Nordisk Konst Stockholm, 837, 1917

[サイズ]
8.4 × 13.4 cm